明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



野暮用があり、お茶の水を母と歩く。私の記憶では幼稚園以来という気がしている。医科歯科大学が見える。あの病院は歯の治療の時、泣きわめく子供を縛るロープを用意してある。少なくとも昭和30年代。私は看護婦に椅子に縛り付けられた。 近所に、軍医上がりだという歯科医がいた。記憶の中には、断末魔の叫び声を上げるシルエットに、ノミをあてがいハンマーを振るう人物の姿がある。後年、母に確かめると実際の話であった。シルエットの人物は母だったのではないか?そんなこともあり、デパートに連れて行くなどと、幼稚園の先生と結託した母に騙され、医科歯科大に通ったわけである。唯一の楽しみは、帰りに構内のミルクスタンドで、牛乳瓶に入った乳酸飲料を飲むことであった。ホームで電車を待つ間、下を流れる神田川で、フンドシ姿の小父さんが行水をしていたのを総武線の車中から見たと言うと、母も覚えていた。 そんな諸々のせいだろうか、私には雨の御茶ノ水ほど哀しく感ずる景色はない。

過去の雑記
HOME


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )