明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



随分先の話であるが、ある文豪を作る予定がある。残されたポートレイトを見ると、現代の作家と違い、文豪といわれれば、そのように見えてくるわけだが、一つには、当時の写真用感材の低感度によることもあるだろう。感度が低い分、数秒間、時代によっては数分間ジッとしていなければならない。しっかりした椅子に腰を掛け、職業写真館で撮影する場合は、その重い頭を動かないよう“首押さえ”なる道具でささえなければならないし、そうでない場合は、しばしば顎を手でささえるポーズを取り、さらにブレるので笑うわけにいかず、自動的に沈思黙考の文豪調になるわけである。 もっとも、残されているのがそんな状態なので、私の創作の余地も、無限にあるというわけなのである。

過去の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )