明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


中央公論Adajio 13号『小津安二郎と築地市場を歩く』25日配布にあわせて、古石場文化センターの小津安二郎像展示が始まる。表紙の撮影には、下半身まで写さないので膝から下は作っていなかった。できれば搬入を数日早くといわれていたし、もっとはやく仕上げておくべきであったが、私の性格からして、すでに結果が出ていて、撮影も終えている小津を後回しにして、ディアギレフに没頭するのは判っていた。やらなければならず気になっているのに、今作りたいもの作る。こんなに集中の高まるシチュエーションはない。“身体に悪いものは美味しく、やってはいけないことは楽しい”というわけで、ディアギレフはもっと楽しみたいのに、悔しいくらいはかどり、手と靴の造形を残し本日中に乾燥に入るだろう。そのぶん小津の仕上げは搬入当日ということになりそうである。 小学生の低学年、学校の図書室。始業のチャイムが鳴っているのが聞こえていて、お尻は椅子から浮いているのに本から目が離せなかった。私の吸収力、制作能力が燃え上がるのはこんなときである。締め切りに追い詰められたときに浮かぶ、時間的に無理、というアイディアの素晴らしさ。 私がなんの役にも立たない、世の中に無くても良いものの制作に限ってファイトを燃やすのは、商人の息子である私の奥底にひそむ、罪悪感のようなものが、ボイラーに放り込む石炭の役目を果たしているのは間違いない。しかし図書室は出入り禁止になったし、バチがあたらない程度にしておくべきであろう。私に自覚がないだけで、すでにバチは当たりまくっている、という客観的な意見もある。

01/07~06/10の雑記
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