明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



ディアギレフは難産の末、母親が死んだほど巨大な頭の大男である。それにあわせて作っているソファーは当初、玉座のごとくの一人掛けを考えたが、ドンヨリとした眼で美少年ダンサーを眺めるには、肘掛に身体をあずけ、横たわるようなリラックスしたポーズにしたい。さらに後の撮影を考え、幅が50センチほどの2人掛けのソファーにした。そこにいずれ、ニジンスキーやカルサヴィナ、コクトーやピカソ、ストラヴィンスキー、サティ、またはココ・シャネル、それらの人々を、ディアギレフの隣りや肘掛に座らせることを考えてのことである。ニジンスキーにハマってこの世界に興味を持ったが、やはり結局、軸になるのはディアギレフということになるだろう。特に創作を行ったわけではなく、詐欺師すれすれのプロデューサーといったところで、いまひとつ評価されにくいのが残念な人物である。もっとも常に破産寸前で私服を肥やすこともなく、単に自分の信じた芸術のために生きた人物なので、死んだあとの世界や評価のことなど、知ったことではないだろう。

01/07~06/10の雑記
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