明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

EGO  


今月11日、EMIミュージックジャパンから、ながらく廃盤だった高橋幸宏氏の『EGO』が再発となった。ジャケットのオブジェを制作したのだが、初版発売からすでに21年たっている。当時黒人ばかり作っていた私に、何故この話がきたのか今思うと不思議である。レコード会社を移籍した第一弾で、“死と再生”というテーマと、岩肌のようなモチーフで、という依頼であった。イメージを掴みかねた私がテストで作った物を見た担当者に、1か100か思いっきってやって下さい。などといわれたので、知人の陶芸工房で土と石膏を使い、徹夜で仕上げた。顔の部分は、窯のなかで陶器が倒れないようにあてがったりするのに使うただの土である。水分を含んだ感じがよかったので、撮影が終わるまで乾かないよう、霧吹きで水分を補充し続けた。スタッフとともに仕上がりを見に来た幸宏氏が帰った後、デザイナーが黙っているので、冗談のつもりで「やり過ぎですか?」というと、まさかの「そうですね」という答えが帰ってきたのを覚えている。社内的に賛否いろいろあったようだが、それでも無事に発売となった。当時唯一、ジャケットデザインについて評が出ていたミュージックマガジンで、立花ハジメがLPサイズで見たいジャケットだと評してくれたのが嬉しかった。今見ても古びていないと思うが、名盤の声も高く、廃盤を惜しむ人が多かったので良かった。

01/07~06/10の雑記
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