明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



自転車の16インチタイヤが届く。今まで16×1、25という細いタイヤを履いていたが、16インチという、幼児用自転車なみの小径で、1、25という細いスリックタイヤは、舗装道路こそ快適だが、段差を拾いすぎる。そこで1、5にサイズアップすることにした。抵抗は増えるが、その分安心感はある。  続いて神奈川近代文学館より、『大乱歩展』ポスター校正刷りが再び届く。画像が粗いのでは、という意見があったようだが、35ミリカメラで撮った5、6センチの乱歩の頭を、実物大以上に引き伸ばしているのだからしかたがない。私は、ピントはあまり気にしないタイプである。実在の人間に、出会いがしらにカメラを向けたなら、という雰囲気を大事にしたいからである。三脚立てて、ピントを気にしていたら、概ね、ただのお人形さんになる。私がカメラを始める前、仕事でプロのカメラマンに作品を撮影してもらっていると、スタジオで商品撮影のように撮るので、人形として正確に写ってはいるが、それ以上になかなか成らなかった。今回のポスターは、こんなに大きく引き伸ばすことなど想定していなかったが、ピントの甘さか手のブレか、はたまた旧いボロレンズのせいか、リアルである。ここまで拡大されると、乱歩も一人で大きくなったような顔をしていて、私が作った気がしない。大迫力に満足。 『大乱歩展』には乱歩像と共に、写真作品も展示の予定だが、『D坂の殺人事件』用に、乱歩が弟等と団子坂で営んだ『三人書房』も候補に上がっている。これは当初、雰囲気のある古書店に看板だけ換えて使おうと、HPでアンケートをお願いし、さてロケハンにという時に、貼雑年譜に載っていた、乱歩直筆スケッチの三人書房に気がつき、結局、それに乱歩の文章を踏まえながら、できるだけ忠実に再現することにした。書籍の印刷では判らないが、一つイタズラをしていて、ショウウィンドウの中には乱歩のサイン色紙とともに、『ドグラマグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』が飾ってある。  ただ一つ気になっていることがある。実際団子坂はかなり急な坂である。しかし乱歩のスケッチでは、そこまで表現されていなかったので地面は平らにしたのだが、考えてみたら、あの線描のスケッチでは、地面の傾斜まで表現できなかったであろう。出品が決まれば、店の前の地面に傾斜を付けるつもりである。もちろんどちら側に傾斜させるかは、調べた上で再現するのはいうまでもない。 アダージョ用人物、着せるべき軍服の詳細も判明し、肝心の頭部の制作に集中する。

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