明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



乾燥に入る。同時に刀や尺八の先っちょだけ作る。どうやら次号のアダージョの特集人物は二本挿しのようだし、刀を粘土で作らず、模造刀を入手して合成するのもいいかなと考えるのだが、“円月殺法”や“諸羽流正眼崩し”などと、部屋で1人刀を振り回してニコニコしている自分を想像して躊躇している。  本日は、義太夫三味線奏者の鶴澤寛也さんが、神楽坂に稽古場を開いたというので、お邪魔することになっている。できたものを乾燥機に放り込んで、なんとか一時間遅れて到着。稽古場というと板の間に神棚があるような場所を想像していたが、私がイメージしていたのは道場だったようである。すでにエッセイストの坂崎重盛さん、蕃茄山人さんがみえており、着席早々、遅れてきた分、最後に金粉が溜まったシャンパンをいただく。和風の戸棚に染付けの皿などが並び、上に坂崎さんが贈られたという浮世絵が飾ってある。よく観るとDである。しかも12人いる内の9D。まさに制作中で、本日も披露しようと持参した首の人物である。K本のカレンダーに始まり、最後にこれとは、よくできた話である。皆さんとは楽しく会話も弾む。坂崎さんとは育った地元が近く、学生時代アルバイトをされていた店の前を、鼻を垂らした子供の私は、何度も行き来したはずである。甥い子さんの某有名ミュージシャンは、中古カメラ市でお見かけする。寛也さんは、寛也さんの古くからの友人である蕃茄山人氏の紹介で、拙著で乱歩の『人間椅子』や、アダージョ『谷崎潤一郎と日本橋を歩く』でご協力いただいた。本日は実に楽しい集いであった。これで神楽坂の寛也師匠として、お弟子も増えることになるのであろう。

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