明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



S運輸に40数年間在籍し定年を迎えたKさんは、ここ数日ご近所の飲み仲間、店のマスター、ママさん等とお祝いをくりかえしている。どこか遠くへ行くわけでもなく、寮を出て、相変わらず近所のアパートを借りて住むのだが。 しばらくゆっくりするつもりらしいが、ボケるから何かやったほうが良いと、どこへ行っても皆にいわれている。今の所、次に何をするアテもなく、急に寂しくなって寮の屋上から飛び下りようか、と時折考えるそうである。かと思うと、その屋上で同僚と女を取り合い決闘をし、血だらけになったすえ勝利した話を嬉しそうにする。30代の頃は3人の女性と同時に付き合い、それが露見し4人で話し合ったが女性同士が意気投合して、皆ででカラオケにいったそうである。人徳といっていいのか判らないが、女性好きで異常な寂しがり屋のKさんは、皆に呆れられながらも愛されているのは確かである。私もなんでこんな運送会社の小さなオジさんとしょっちゅう飲んでいるのだろうと思うのだが。(酔うと何いってるか判らないし) 先日Kさん主催で、定年のお祝いを兼ねたカラオケに呼ばれた。私は極度の人見知りだし、本来知らない人ばかりの、そんな所に出かけるはずがないのだが、Kさんを祝おうという人たちなら大丈夫かも、と平均年齢のやたらと高い集まりに出かけたら、何ということもなく楽しく過ごせた。私を幾つだと思っているのか私が歌うたび、なんでそんな古い歌知ってるの?といわれるのには閉口したが。 普段一人閉じこもって粘土と格闘していると、創作活動などという渡世とは無縁な人たちと飲むのは単純に楽しい。そのかわり、子供や奥さんなど家族のためにがんばり、それが生きがいだとする人達に、私の渡世では、それは一番やってはいけないことで、そんな“不純”な動機でがんばった物など、人様にさらしてはいけないのだ、などという話はしない。

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