明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



以前にも書いたことだが、最近酒場にはお喋りな男が溢れている。中に相手がその話に関心があるかどうか、全くお構いなしに、一方的に自分のしたい話をし続ける人がいる。こういう人達に限って家に帰ると寡黙だったりする。私も相槌を打つタイミングが上手くて、相手をリズムに乗せてしまうところがあるようなのだが。 只今私の中でブームの運送会社を定年になったKさんだが、“世の中から女が居なくなったら死んだほうがマシ”などといってる時の、この小さいオジサンの笑顔はなんともいえない。ところがこのKさんには呆れた。 同じ話を連日繰り返し聞かされていて、(聞いてる私も私ではあるが)さすがに私も、自分の話題をちょっとしてみようとした時である。話し出してわずか数秒。ふと見ると、たった今まで身振り手振りを交えて楽しそうに話していたKさん。全くの無表情になって、手元のお銚子あたりをボーッと見つめているではないか。人の話を聞いていない人はいる。しかし心そこにあらずとも、聞いているフリくらいはするものである。ところがKさん、電池を抜いたブリキの玩具のようにピクリとも反応しない。「60にもなって、人の話ぐらい聞けるようになれよ!」呆れてKさんのホッペタを捻りあげる私。「ちょっと他のこと考えちゃった」。笑うKさん。他のことって、あんたの考えてることって一つだけだろう!まもなく年金生活に入る人にいうことではないが、女性だったら、セックスもこの調子なんだろうなって絶対思うぞ。

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