明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

虚実  


現在制作中のTは、横にカメラを並べようと考えている。Tの使用したカメラは数種判っている。当初、同じ機種を調達してと考えていた。その辺りに詳しい方に打診もしていたのだが、どうもインパクトに欠けるような気がしてきた。当時、カメラは一般人が容易に手に入れることはできなかっただろうが、アンティックなカメラと思うと、物凄く希少な、というカメラとも思えず、Tが使用した物と考えると少々地味である。 私は何処かにいる誰かが、私が密かにこだわった部分に気付いてくれる所を想像してほくそ笑むのだが、仮にTの使用したカメラと同じものを使用して気付くのは、たまたまTの使用したカメラを知っている、ごく一部のアンティックカメラ好きオヤジであろう。私はそれでもほくそ笑むのか? 笑めないので結局こだわらないことにした。そして、Tだったらこんなカメラが似つかわしいだろう、というカメラをでっち上げることにした。蛇腹は赤か緑。そのぐらい派手がTらしい。実際は、そんな物を選ぶような人物ではなさそうだが、馬鹿々しいくらい事実こだわって面白い場合と、そうでない場合がある。
先日遅ればせながら『アバター』特別編を観た。初めて3D映画なるものを観たのだが、字幕が最前にくるのは仕方がないのだろうが気になる。遠景はなかなかだが、人物が大きく手前にくるシーンでは違和感があった。しかしそう思っていたのは始めのうちだけで、すぐ慣れてしまい、爆発でこちらに飛んできた木っ端に、不覚にも反応してしまった。実にリアルに出来ていて、今はここまで出来るのか、と感心した。しかし身体はまだまだ騙されないようで、山岳アクション物などでは、高所を好まない私はしょっちゅうゾッとするのだが、この映画では、一度もそうはならなかった。 昔ジョン・ウェインだか、ジョン・フォードが亡くなったとき、NHKのアナウンサーが、戦後の日本人が励まされて云々といっていた。私は連中に射的の的のようにされてるインディアンを見て、励まされる分けないだろ、と思ったのだが。日本人は案外励まされるのかもしれない。

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