明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



エドガー・ポーを上から徐々に襲う刃がついた振り子。日々追い詰められていくアルコール中毒者の悪夢のようである。デザインが決まる。あまり詳細に書かれていると作りようがないが。描き方は、人によって大差はない。柄?の部分は、振り子と同じ材質か、木製の棒状の物である。そこで昔の柱時計にあったような、三本の金属製の棒を組み合わせたデザインにした。機能的には意味はないが、ただ一本よりメカニカルであろう。これが果たしてぶら提げた時に、思ったような軌道を描いて左右に揺れてくれるのかはやってみないと判らない。当たり前だが、こんな物を作るのは始めてである。 画の効果を考えてであろう。原作どおり、刃渡り30センチに描いている画家はいないように思える。ほとんどがもっと巨大である。当初、私も大きいほうが良いと思っていたが、ぶら提げる“装置”とのバランスを考えると重すぎてしまうだろう。その点は、制作を依頼する友人に相談して進めるべきだが、結果思ったような動きをしないようなら、展示はしない撮影用とするまでである。 近いうちに多摩動物園にオランウータンを撮りに行きたい。『モルグ街の殺人』である。翻訳家の金原瑞人さんによると、本当は“モルグ通り”が正しいそうだが、金原さんも“モルグ街”とされたように、もう耳慣れてしまい通りではしっくりこない。 原作ではオランウータンは剃刀を振り回し、血に興奮する凶暴な存在に描かれているが、森の哲人にそんなイメージはない。ビアズレーも描いているが、おそらくビアズレーはオランウータンを知らなかったのだろう。どちらかというと尻尾の長い、巨大な日本猿である。しかし、ボルネオから捕らえてきた野生のオランウータンが耳飾をしているところがエライ。 せっかく二百年も前の作家であるから、せいぜい“後出しジャンケン”で各作家とかぶらないように行きたいものである。

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 世田谷文学館展示中

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