若い女性のブロムオイリストから「順調ですか?」とメールが着た。私は正直に「絶不調!」と答えた。 90年代始め、オイルプリントを大正時代のテキスト通りやっても上手く行かない日々が続いた。しかしそれも昔の話である。昨年、グループ展にオイルプリントの新作を10年振りに出品した。今年は4月の下旬からの個展も決まっている。ところがである。 私はブログに都合の悪いことは書かない。度々登場した可愛がっていた熱帯魚が死んだことは書かないし、養生していた糠床を駄目にしたことも書かない。スランプに落ち入っていることも当然書かない。ブロムオイリストに“大丈夫、石塚さんなら”と励まされる始末である。 今までどのくらいプリントしたか判らないが、慣れ親しんだ行程を踏んでいるつもりである。ところがプリントしてみるとまったく上手くいかない。オイルプリントは手技の占める割合が多いため、歯車が狂い出すとこういうことになるのか。絵に描いたようなスランプである。本日、思いあまってネガの見直しなど田村写真に相談にいった。テスト用に重クロム酸アンモニウムが塗布されたゼラチン紙を見ると重クロム酸の色が薄いではないか。前回受け取った重クロム酸溶液は、アルコールで薄められていなかった。つまり私は数日の間、原液を塗布していたのだった。そういえば重クロム酸アンモニウムが用紙の裏にまで黄色く染み出していた。自分のHP見たってあんなに濃くないではないか。 一人前にスランプとは笑止千万である。例によって都合の悪いことは書かないはずであったが。昨日のブログで『上手く行く気がしないと、まず上手く行かない。ここに面白さと難しさがある』などとスカしたことを書いてしまった罰を自らに、という訳である。
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