4月4日~5月24日。神奈川近代文学館の『没後50年 谷崎潤一郎展』に急遽谷崎像を出品することになった。2体あるうちの初代は、当時合成などしておらず、女体に直接配置することしか考えていなかったので小さい。その後、表紙を担当したフリーペーパーで谷崎を特集することになり、改めて大きめに作り治した。実際の人物の横に並べて共演させようと考えたので、それには初代はデイテール不足であった。眼鏡や羽織の紐など実物を合成した。よって羽織の紐を作らなければならないので、久しぶりに引っぱりだした。 私にとって谷崎の1作といえば『春琴抄』であるが、若い時代の谷崎ならともかく、私が制作した年格好では佐助役をさせる訳にもいかない。となると作って面白いのは『瘋癲老人日記』あたりだろうか。晩年は両手にケーキだったかを持ち、高価な着物で手を拭きながら家の中を歩き回っていたそうである。嵐山光三郎さんの『文人悪食』には病的な潔癖症でばい菌恐怖症の泉鏡花と食いしん坊の谷崎が鳥鍋をつつくシーンが書かれているが、さっさと食べてしまう谷崎に対し、何でも煮立たせないと食べられない鏡花がたまりかね、鍋の真ん中に葱で柵を作る話しが可笑しい。
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