明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



河本店内のディテールはおおよそ撮れた。来週は防空壕といきたい。長年床下で、客の与太話を黙って聞き続けてきた穴である。 普段何気なく眺めているだけなので、家で改めてデータを現像してみて、そのカオスぶりに呆れ、いや感心してしまった。カオス部分担当はあんちゃんである。(私は30年通おうと、他の方々のようにあんちゃんとは呼べない。谷啓がハナ肇をハナちゃんと呼べなかったように。)部位によっては気付いた人を笑わそうとしているかのようでもある。なのに店内が落ち着くのは、長年のタバコや練炭や煮込みや、ここが肝腎。お客の念で、すべてがコーティングされているからであろう。 昔、同じような店を、郷に帰って再現しようと採寸していった人がいたらしいが、その後どうなったかは知らない。コーティング部分が重要なので採寸したところで無駄であったろう。骨董品なら土に埋めたり何かに漬けておいたり、と方法はあるのだろうが。それにしたってまがい物には違いない。  通いだした頃、開店の4時にでかけ、二言三言、真寿美さんを独占し、他の客が入ってくると藤竜也調で、黙って一時間ほどで帰っていた。当時は長っ尻は格好が悪いと思っていたし、近所の人と飲んだって住みにくくなるだけ。と思っていた。4キロ四方誰も住んでいない廃村で、先輩二人と焼き物をやっていた時は、ふもとでは赤軍ではないか、と噂されていたそうだし、街中に住めば夜中中灯りが点いている。と怪しまれる。その分愛想良くしているのは疲れるものである。それが今では長っ尻になり、常連に大事な作品に登場してもらい、公私共々お世話になる始末である。酒場とはなんぞや。と撮りながら。

 ※7月25日田村写真にてオイルプリントワークショップ

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