明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



被写体制作と撮影の二刀流というのは、だからこそ、被写体と作品のイメージのズレが気になる。誰でも画像処理その他でそのズレを埋めようとするのだろうが、私の場合、いつしか粘土で造形するつもりでペタペタとコピペを多用するようになった。 18でデッサンなどやったことなくても入れた工芸学校で、授業でリンゴを作る課題があった。美大浪人や経験者などいたが、当たり前のように、いきなりリンゴ大に粘土を丸める未経験者の一団がおり、私もその一味であった。そこで当時は若く、後に女子美の学長となる先生に、リンゴの芯をイメージし、いきなり丸めず肉付けしていくよういわれた。そういうものか。以来、陶芸の道からは足を踏み外したが、未だにペタペタやっている。あのリンゴから幾年月、本日はモニター見ながらウロウロ歩き回って落ち着きのないアムール虎をバラバラに切断してペタペタやって地面に横倒らせ、その腹に寄っかかって眠る老人、豊干禅師をこちらは粘土でペタペタ。

Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念

10月13日(木)〜11月6日(日)



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上野動物園で撮影した落ち着きがなく、ウロウロ歩きっ放しだったアムール虎を、一日かけてぶち倒し寝転がした。自然に寝転がる虎を撮るより私らしく、正解であったろう。寝ている虎が撮れない、多摩動物園じゃどうだ、とマコトを写すという写真に対してブツブツ言っていながら情けなかったが、これで『四睡図』が加わり、当初の予定通りのラインナップとなるだろう。    最近質感に変化が出てきたことと関係があるが、素人の女性を作中に登場させる場合、差し障りもあり、顔を変えることが多い、私の場合、粘土造形の要領で、コピーアンドペーストで制作する。『ゲンセンカン』の女主人は顔をマンガに寄せた。しかしそれはむしろ、人形作品でこそ行うべきだ、と今回、積極的に多用している。粘土の要領でのコピペによる再造形は、本当のことなどどうでも良く、夜の夢こそまことである私を、さらに増長させる結果となるだろう。明日は虎に寄りかかり眠る豊干を制作。

Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念

10月13日(木)〜11月6日(日)



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