被写体制作と撮影の二刀流というのは、だからこそ、被写体と作品のイメージのズレが気になる。誰でも画像処理その他でそのズレを埋めようとするのだろうが、私の場合、いつしか粘土で造形するつもりでペタペタとコピペを多用するようになった。 18でデッサンなどやったことなくても入れた工芸学校で、授業でリンゴを作る課題があった。美大浪人や経験者などいたが、当たり前のように、いきなりリンゴ大に粘土を丸める未経験者の一団がおり、私もその一味であった。そこで当時は若く、後に女子美の学長となる先生に、リンゴの芯をイメージし、いきなり丸めず肉付けしていくよういわれた。そういうものか。以来、陶芸の道からは足を踏み外したが、未だにペタペタやっている。あのリンゴから幾年月、本日はモニター見ながらウロウロ歩き回って落ち着きのないアムール虎をバラバラに切断してペタペタやって地面に横倒らせ、その腹に寄っかかって眠る老人、豊干禅師をこちらは粘土でペタペタ。
Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念
10月13日(木)〜11月6日(日)