一カットのために被写体を作るのは大変だし画は決まっているので写らない部分は作らないことが多かったが、展示が出来ないし、何より一度作ってしまえば、どこからでも撮れる立体のメリットを失うことになる。制作中の蘭渓道隆と無学祖元は展示も考え全体を作っている。 ジャズ、ブルースシリーズの頃、肖像写真が一カットしか残されていない、ブラインド・レモン・ジェファーソンとトミー・ジョンソンを作ったことがあるが、斜め45度の肖像画一枚で作った蘭渓道隆は、以来数十年ぶりである。被写体制作と撮影の二刀流を、ブツブツ言いながら続けて来たが、今までの様々な企てを、集積したような試みといえそうである。これが上手く行けば、今後新たに制作可能なモチーフが見えてくるはずで、程なく何で私はこの人物を作っているのだろう?と首を傾げ、実はシナリオ通りに導かれて来たことに気付くというパターンだろう。明日には乾燥に入る予定。