最近コオロギ食が騒がれているが、昆虫食というと忘れられない物がある。岐阜の山の製陶工場に勤めていた時、3時の休憩時に、下請けの窯屋さんが上手く炊けた、と蜂を飴色に煮た物を小皿に持って来た。それは缶詰で蜂の子として売っているような物ではなく、3センチ以上あるような、大きなスズメバチが、そのままの形で成虫、サナギ、幼虫であった。びっくりしたが、工場長は東京の若者が食べる訳ないだろう、という顔して勧めるのでつまんでみたのだが、噛み心地はそれぞれだが、まさにロイヤルゼリーをイメージさせる濃厚さなのであった。これは美味い。とパクパクやっていると、慌てた工場長が「若いもんには精が付き過ぎて毒だ。」なんていって取り上げられたから、出来も良かったのだろう。スズメバチ駆除の番組で、殺虫剤を使わない業者を観ると、あの味を思い出し、住民のため、なんて顔してるが、本当は楽しみで堪らないのだろう、なんて思いながら観ている。