おそらくメインになる予定の『蘭渓道隆坐禅図』は面壁坐禅、つまり巌窟の奥の壁に向かって坐禅していながら、顔を見せるところが工夫を要する。最初に考えた建長寺に残る座禅窟は、そのために背景にするのは断念した。今は壁を背にする臨済宗も、その昔は禅宗の開祖達磨大師と同じく面壁坐禅であった。その達磨大師は『慧可断臂図』で面壁しながら振り向かせたし、坐禅の状態ではないので『月下達磨図』は面壁ではなく、ただ岩窟の外を眺めていることにしたい。 構図を考えてみたが、蘭渓道隆師は、真ん中に滝を流すつもりでいるが、考えたやり方で、思ったような滝になることが前提である。手のひらに乗る石ころで中国の深山を作る前もこの調子であったから、まずはやってみないと判らない。
| Trackback ( 0 )
|