陰影がない世界では、艶や輝きも存在しない。川瀬巴水など新版画の作家達は、陰影のない浮世絵と陰影のある西洋画法の盾と矛を上手に使い分けている。その間で水の反射、輝きを表現している。石塚式ピクトリアリズムは絵画調ではあるが、あくまでカメラで撮影された写真なので特に水の表現には限界があった。 艶といえば、数年ぶりに大覚禅師の肌を磨いて肌艶を加え撮影。曇天だろうと電灯の灯りだろうと色温度などかまわないが、本格的に〝現世“に帰って参りました、という気分で〝まことの陽光“を使いたい。岩山の先端に立つという設定で石を撮影。主役は画面の真ん中に、出来るだけ大きく配したくなるが、長辺150センチのプリントにする予定なので、背景の青空を広く見せたい。