夏休み中の高校生を見ていると、私自身が過ごした高3の夏を必ず思い出す。
東京・高田馬場にある早稲田予備校の夏期講習に、門前仲町にあった朝夕食事つき・冷房完備の早稲田予備校深川寮から2週間通った。受講料・寮費・交通費で、おそらく20万円近かったと思う。
結論から言うと、実力はつかなかった。これは予備校のせいではなく、自分が原因。確固たる基礎力もないのに、講座名だけにひかれて受講し、予復習もせず、授業に出るだけで満足していた自分。夏だからという理由で背伸びした勉強をしてしまい、暗記を中心とした基礎力を固める勉強を避けていた自分が情けない。そして、多額の金額を出してくれた親にも申し訳なかった。
秋以降も、結局、暗記から逃げ、問題集を何となく解いて勉強を「やった気」になっていた。ほぼ毎週模試を受けていたにもかかわらず復習もせず、受験勉強といっても常にテレビを見ながらの状態。その状況から抜け出したいのに自分を甘やかし続け、大学受験生の“フリ”をしていた自分。不安に駆り立てられ、やりもしない参考書や問題集を次から次へと買い続けたダメダメ受験生。そんなのを勉強とは呼べるわけもなく、怠惰で居続けた代償は、大学の全落ちと浪人という現実で払わされた。
長野県の高校は、すでに夏休み後半に入っている。高3生の多くが学校の補習や予備校の夏期講習を受講しているが、それらによって暗記を中心とした勉強時間が奪われていないか不安になる。この夏、基礎事項の暗記徹底を怠ると、間違いなく私と同じ過ちを犯すことになる。大学受験で求められているのは基礎知識の瞬時の出し入れ。進学校の生徒であれば、共通テストの問題は「見たことがある」「やったことがある」レベルの問題ばかりだろう。そのような問題を解くときに迷いが生じるようでは、基礎学力はまだまだだ。
周囲の大人が何を言っても、高校生たちはその現実を目の当たりにしないと、事の重要さに気づけない。日々の姿勢が良くも悪くも結果となって表れる因果応報な受験勉強。この当たり前に気づけた時、大人になっていくんだろうな・・・。
何事も、自ら経験し、そこから何を感じ、どう成長するか。大学受験は、そんな成長過程を自ら認識できる、人生最初の試練であり財産であったと、今なら断言できます。