I’ sorryは「ごめんなさい、もうしわけない」だが、それを強調する面白い言い方がある。
今日のGetUpEnglishはこの表現を学習しよう。
I’m super sorry...はよく使われる言い方だ。これはStar Warsの文庫本シリーズでむずかしい英語の表現をわかりやすく説明してくれた映画監督のBryce Marreroのメールにあった表現だ。
○Practical Example
I'm super sorry about not informing you of the address change. I can be a very terrible procrastinator sometimes lol I apologize.
「住所が変わったことを知らせなくて、超ごめん。ついはやらなくちゃいけないことをぐずぐず先にのばしちゃうんだ(笑う)。ごめんね」
●Extra Point
I’m sorryもI’m powerfully sorryもくだけた言い方だが、昔からあった言い方だし、Mark TwainのAdventures of Huckleberry Finnで、Jimは次のような言い方をする。
◎Extra Example
“ . . . Sometimes dey’d pull up at de sho’ en take a res’ b’fo’ dey started acrost, so by de talk I got to know all ’bout de killin’. I ’uz powerful sorry you’s killed, Huck, but I ain’t no mo’, now.” ――Mark Twain, Adventures of Huckleberry Finn (1884/5), Ch. 8
この表現について、この翻訳書『ハックルベリー・フィンの冒けん』を最近刊行した柴田元幸氏は、1月24日の青山ブックセンターのイベントで、このように述べている。
『ハック・フィン』の英語も間違いから生まれる切実さやおかしさに満ちています。その一番極端な例 が黒人奴隷のジムのしゃべる英語です。この一節は、ジムが持ち主から―― 彼は奴隷なのでずっと誰か 持ち主がいるわけで ―― 逃げて隠れていて、それと並行してハックが殺されたという噂が広まっていて、隠れていたジムがハックが死んだという噂話を聞いたと語るところです。 Sometimes dey’d の dey’d は they’d で、pull up at de sho’ の de sho’ は the shore で「ときどき その船を岸べによせて」。en take a res’ b’fo’ dey started acrost の en は and で、res’ は rest, b’fo’ は before, acrost は across だから「ひとやすみしてから川のむこうがわに行く」、そうやって川から ハックの死体が出てこないか、川をさらっているんですね。で、ジムは so by de talk, つまり「その話 をきいていて」(de は the)、I got to know, 「おれもわかったんだ」。all ’bout de killin’ は正しい言い 方にすれば all about the killing です。I ’uz は I was, powerful sorry は powerfully sorry が正しい。 つまり「おれはすごくかなしかった」。you’s killed, これは正しくは you were killed です。I ain’t no mo’, now, これは I’m not [sorry] anymore now ということです。 この一節を「標準化」すると、Sometimes they’d pull up at the shore and take a rest before they started across, so by the talk I got to know all about the killing. I was powerfully sorry you were killed, Huck, but I’m not anymore now. となります。 言っていることはまったく同じですが、伝わってくるものがまったく違います。あっ、もうひとつあっ た。これは文法ではなく論理の間違え方が面白いのですが、I ’uz powerful sorry you’s killed「あんた がころされておれすごくかなしかったよ」は、このままだと相手が本当に殺されていて、そのことが悲しかったという意味になります。正しくは、I was powerfully sorry to hear you were ... と言わない といけない。このように直すところだらけです。でも直してしまったら、文章の味わいはあらかたなく なってしまいます。
これを読んだだけでも、柴田氏がどれだけこの永遠の名作を深く読み込んで、「表現のマ間違いの面白さとパワー」を日本語で伝えようとしたかがわかる。
このレポートは、研究社のホームページで読めます。ぜひご覧ください。
http://www.kenkyusha.co.jp/uploads/HuckleberryFinn/HuckleberryFinn_ABC_0124_2018.pdf