国宝に指定されている茶碗は8点、そのうち2点が和物(国産)、一つは三井記念美術館が所蔵している志野「卯花墻」、そしてもうひとつはサンリツ服部美術館が所蔵している本阿弥光悦の白楽茶碗「不二山」。不二山については、どういうものであるかは知っているし、写真も見てはいるが、本物にお目にかかったことはなかった。会いたいものだとは思っていたが、機会がなかった。所蔵している美術館は分かっていてもいつも展示しているわけではない。不二山の公開は 去年もこの時期だった。で、行きそびれてしまった。今年はなんとしても行ってこよう。サンリツ服部美術館は上諏訪にある。諏訪湖はそんなに遠いという意識はないが、ここから電車で行くとなると不便である。
で、お天気もよいので、papasanに運転してもらい、出かけたのである。 最近、遠出はしていないから、気を使いながら。東名で御殿場に、そして大月から中央高速に乗った。車の中からコンデジでまわりの景色を適当に撮っていた。箱根から見た富士、山中湖辺りの富士、中央高速からの富士、それぞれ姿の違う富士を写真に撮っていた。雑木林の紅葉も盛りは過ぎていたとはいえ見事だった。
境川辺りから見える雪をかぶっって真っ白な農鳥岳(3026m)、間ノ岳(3189m)、北岳(3193m)がきれいだ。写真は農鳥岳が欠けてしまっている。
この白峰三山の左に、やはり雪を頂く山が連なっている。どこだろう?
八ケ岳の上空だけは雲に覆われて、姿を見せてはくれなかった。ここは上の方には積雪は見えたが、白くはなかった。甲斐駒も千丈も雪はふりかけ程度だった。
諏訪ICで降りた。さて、美術館はどこだろう。湖畔だからと見当をつけたはいいが、湖畔の右岸だか左岸だかわからず、左へ行ったら、間違って、結局湖畔を1周する羽目になってしまった。仕方がないので、美術館に電話をし、現在地を教えて、行き方を教わった。北沢美術館の前に来た。そこで北沢美術館に駆け込んで、サンリツ服部美術館はどこだか聞くと、なんと隣だった。
サンリツ服部美術館:http://www.sunritz-hattori-museum.or.jp/
展示室は2階、1室はテーマの油絵、湖の面した明るいカフェを横切って2室目に茶入れ、棗、仕覆が飾ってあった。仕覆は緞子と変わったところでは更紗を仕立てたもの。そして奥の展示ケースの中に、待望の不二山が鎮座していた。
陶器にこう言った表現は相応しくないかもしれないが、この茶碗、生きている、と感じた。茶碗のまわりをぐるりとじっとまわって見た。背伸びして中をのぞいても見た。すばらしい。素人にも感動が伝わってくる。二つと出来ないから不二山と銘をつけたという話は読んでいる。写真で見た限りでは、そんな素晴らしいものとは思えなかったが、写真がひどすぎたんだ、やはり実物を見なければ。手に取ればもっと伝わってくるものがあるだろうが、それは無理としても。はるばる来ぬる・・、来た甲斐あったというもの。志野も素晴らしいとは思ったけど、不二山の感動はより大きい。光悦さん、すばらしいよ、感動をありがとう。