総裁候補たちの退屈な言葉と国民の政治知識

2006-09-10 13:10:25 | Weblog

 9月8日の金曜日の夜7時からのNHKの「自民党総裁選告示/候補者に生中継で聞く」の番組の出だしで、記者が「二人に比べて、自分の長所はどこか」谷垣・麻生・安倍の各候補にそれぞれ聞いた。

 谷垣「二人に比べてどうというような僭越なことはあまり考えたことはないのですが・・・・」(これでカメラは麻生氏に移る。比べてどこが「僭越」だと言うのだろう)

 麻生「優れているというところをお二方に比べてと言えば、一番長く生きていることかもしれませんね」(かすかな笑いを得る)

 安倍「私は麻生大臣とまったく逆で、三人の中で一番若いということです」

 聞いていて、アホらしくなってチャンネルをパッチと変えてしまった。尤もビデオを撮ってはいたが。

 なぜこうもまともなことしか言えないのだろうかと腹立たしくさえなった。特に谷垣・麻生両氏は勝ち目のない選挙なのだから、開き直って毒のあるようなこと、何か挑戦的で刺激的なことを言って、一矢を報いることをしないのだろうかと情けなくなった。例えば、「勿論二人よりも優れているところは何と言っても私の政策です。ただ政策が優れているからと言って、人気と比例するわけではないことが唯一不満なところです」

 谷垣氏にはこれくらいのことは言ってもらいたいと思った。人気と政策が必ずしも比例しないことは一面的には事実として存在する関係式である。それを利用しない手はない。

 今日の朝日朝刊(06.9.9)に「安倍支持50%超、『公約内容を認識』11%」の見出し記事が載っていた。「安倍氏の政権公約については、『発表したことを知っている』が61%を占め、『知らない』は27%、『内容を知っている』は最も少なかった。次の首相に安倍氏を挙げた人でも、『内容を知っている』は10%だった――」

 自分たちの生活に直接的・間接的に影響する国政に知覚的態度を取れない国民も問題だが、面白くも何ともないまともなことしか言えない日本の政治家の言葉の刺激のなさ、つまらなさも問題であろう。昨今の報道娯楽番組の司会者にお笑いタレントが起用されるのはテレビ局がカネをかけて養成しながら、まともなことしか言えないアナウンサーよりも的確でユーモアある言葉を自在に操れるお笑いタレントの方が視聴者を惹きつけるだけの利用価値があるからだろう。

 じゃあちょっと聞いてみようかとチャンネルを回しても、面白くも何ともないまともな言い回しでしか政策を語ることができない場面にどれ程の人間が我慢するだろうか。7時代の裏番組は何をやっているのだろうかとチャンネルを試しにまわしてみたら、朝日テレビの「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」は別としても、TBSが「金スペ、紳助に騙されるな」でお笑いタレントと若い女性タレントが勢ぞろいしていて、フジテレビが「歌舞伎界禁断の裏側大暴露」とかの刺激的な番組名の歌舞伎の常識を破る現代風の演目を載せている市川何とやらの番組で、日テレが巨人対ヤクルト戦――。勝敗ありと見たが、間違った判断だろうか。

 退屈な場面の逆説が小泉首相の「ワンフレーズ」の的確性であり、是非は別として人気を博した理由であろう。

 国民を政治に無知な状態に置いておくためには、政治家のユーモアは必要ないのかもしれない。メディアの高い支持率を得ているという報道に触れるだけで、その人がいいのかもしれないと無条件・無考えに従う、メディアの判断を上位に置いた権威主義性からの支持が支持を生む、あるいは人気が人気を生む雪崩現象。

 ポスト欲しさから、自己保身や自己権力の拡張から優勢な候補に擦り寄って支持を表明する。雪崩を打つのは自民党の派閥議員だけではないと言うことなのか。兎に角も相互関係にあるということであり、それぞれが別個に存在しているわけではない。

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