7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後の記者会見で朦朧・ろれつ旋回不能状態で(旋回できなくなった飛行機が墜落するように本人も大臣職から墜落した。)世界中を騒がせた経済大国日本の財務大臣中川昭一が会議後、その足でバチカン博物館を見学、触れることを禁止している陳列品に手を触れ、警報機まで鳴らすお騒がせの続編を演じていたことを新聞・テレビ各社が報じている。
改めて我が日本の偉大な財務大臣(その時点では)中川昭一の行動を多少のズレはあるが、各社報道から時系列で拾ってみる。
・2月13日
正午に日本を出発、同日17時00分(日本時間14日未明)にローマ到着。
午後6時40分~午後7時15分
日米財務相会談
午後7時30分~午後820時30分(?)
G7夕食会。9時30分までの予定を途中退席。
午後10時40分~翌00時30分
宿泊先ホテル自室で財務省玉木林太郎国際局長や新聞記者男女各2人らと共に懇談会。ジントニッ
クを4~5杯飲む。
・2月14日
午前8時15分~午後1時00分
7カ国財務相・中央銀行総裁会議・G7昼食会
午後1時50分までの予定のG7昼食会を午後1時00分頃途中退席
午後1時過ぎ~午後2時45分
宿泊先ホテルで昼食
宿泊先ホテルのレストランで財務省玉木林太郎国際局長、日本人女性記者、イタア人通訳など数人
で会食。
午後2時50分~午後3時05分
日露財務相会談
午後3時05分~午後3時45分(?)
日露財務相会談が行われた部屋で仮眠
部屋に戻り程財務省幹部らと打ち合わせ
午後3時45分~午後4時00分
約17分間の世界中お披露目朦朧記者会見
午後4時05分~午後6時05分
会見を終えた足でバチカン市国の博物館を見学。
見学時間は2時間に及んだという。・・・・・・
日露財務相会談ですでに様子がおかしくなっていたということだが、バチカン市博物館の我が日本の財務大臣中川昭一の様子を報道から拾ってみる。
<今月14日午後4時(日本時間15日午前0時)すぎ、ローマ中心街のホテルで、眠り込みそうな表情で会見を終えた中川氏は、その足で博物館に向かった。イタリアを去る間際の2時間の「視察」で、当初から予定に組み込まれていた。
財務省職員を伴った中川氏を現地の大使らが案内する形で、一行10人は博物館職員と共に館内を回った。午後4時の閉館時刻を30分ほど過ぎていたため、一般客はいなかったという。
中川氏は館内を好きに歩き回った。触ることを禁じられている石像を2回ほど触り、一度は警報のブザーが鳴った。
疲れていたようだが、酒臭くはなく、酔っている様子はなかったという。同行した上野景文駐バチカン大使は「確かに、天皇陛下が(礼儀正しく)視察するような形でなかった。美術が好きで触ってみたかったようだが、周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」と話している。>(≪中川前財務相:バチカン博物館でマナー違反 石像触り警報≫毎日jp/2009年2月21日10時44分)
<関係者によると、中川氏は14日夕、財務省幹部や上野景文・駐バチカン大使、安藤裕康・駐イタリア大使らとともにミケランジェロの彫刻「ピエタ」などで有名なバチカン博物館を約2時間、バチカン関係者の案内で見学した。その間、複数の展示品に手で触り、ある彫刻作品を見ていた際には後方にふらふら回って近づき過ぎ、警報機が鳴ったという。
同行者の一人は、見学中の中川氏が「くたびれた様子だった」といい、別の同行者は「あまり静かな訪問でなかった」と認める。上野大使は「それほど問題はなかったと思う」と語り、案内役のバチカン関係者も「抗議が必要なほどではなかった」と話している。>(YOMIURI ONLINE)
<到着時から中川氏の足取りはフラフラとおぼつかなく、言葉もはっきりしなかったという。案内役の説明を聞かずに歩き回ったほか、入ってはいけないエリアに足を踏み入れたり、触ってはいけない展示品を素手で複数回触ったりした。そのため警備室の警報が少なくとも1回鳴ったという。
バチカン博物館でも特に有名な、「八角形の中庭」の「ラオコーン」像を見学した際には、観光客が近づき過ぎないようにするための高さ約30センチのさくを乗り越えて石像の台座に触るなど、非常識な行動をとったという。
博物館には通常、午後4時までに入館しなければならないが、中川氏らが訪れたのはその後だったため、システィーナ礼拝堂以外では一般の観光客の姿はほとんどなかったという。>(asahi.com)――
上野景文駐バチカン大使「確かに、天皇陛下が(礼儀正しく)視察するような形でなかった。美術が好きで触ってみたかったようだが、周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」
さすがは大使を務めるだけあって、限りなく小賢しく、限りなく小狡い人間に出来上がっているようだ。その上、国会議員や大臣とかにペコペコと頭を下げる人間のようにも見える。
ごくごく静かに見て回る天皇と比較して、それ程ではなかったがとすることで問題を小さく見せようとしたのだろうが、お笑い芸人がお笑いを取るための譬えではない。財務大臣という地位にある公人でありながら、手を触れることを禁止している石造に触れ、警報ブザーまで鳴らしているのである。そういった不謹慎なマナー違反行為を天皇の視察態度と比較する。
私自身は天皇主義者でも何でもないが、天皇は憲法で日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴だと一応は規定されている。そのような地位にある人間を引き合いに出して、それとの比較でたいしたことはないように見せかける。中川昭一の博物館で見せた不謹慎さとは別の意味で、中川以上に不謹慎なことではないだろうか。
中川昭一が公人にあるまじき態度で博物館の手を触れてはならない陳列品に手を触れてまわったことに対して、上野景文お追従大使は「美術が好きで触ってみたかったようだ」と庇っているが、真に「美術が好き」なら、公人・私人の関係なしに立場と場所を心得るものである。鑑賞のルールを厳格に弁えるだろう。
見え透いた庇いになるから、合理的な言葉とはならない。陳列品の文化財としての価値・貴重さに思い至っていたなら、その凄さに敬意を表する気持が湧くはずである。
その逆で手で触って回る。公人であることの責任の重大性を考えたなら、一般人の文化財に落書きする行為とさして変わらない。
上野は「周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」と言っているが、これも合理的な根拠を欠いた上辺を飾る言葉に過ぎない。
上記「毎日jp」記事が中川らが訪れたのは「財務省職員を伴った中川氏を現地の大使らが案内する形で、一行10人は博物館職員と共に館内を回った。午後4時の閉館時刻を30分ほど過ぎていたため、一般客はいなかった」と伝えている。
館内を案内したのは「博物館職員」(上記「YOMIURI ONLINE」は博物館内を案内したのは「バチカン関係者」だと伝えている。)だということだが、いわば一般客がいないこともあって、案内者は日本の大臣様一行だからと眉を顰める程度で我慢した可能性が救いとなったということもある。
一般客がいたなら、バチカン関係者だとしても博物館職員だとしても、いくら大臣様一行のやることだからと注意しないで済ますわけにはいかなくなる。何も注意しなければ、一般客に対して示しがつかなくなるからだ。
それだけで終わらないかもしれない。見て見ぬ振りに対してマナーを違反した当事者にこそ向けられるべき非難が注意しない案内者にまで累が及ぶ危険が生じることになるだろう。傍についていながら、自分の子供が他人に迷惑のかかるいたずらをしているのに何も注意しない親と同じような非難の的となるに違いない。
また中川にしても、一般客がいないことをいいことに調子に乗って陳列品に手を触れてまわったとということもあるだろう。
自分たちが置かれていたそういったプラスマイナスの状況を考えることもできずに、「周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」などと事勿れ一辺倒に終始する。
案内役のバチカン関係者が眉を顰めるだけで我慢していたということは想像がつくし、そうであっても無理のない態度と言えるが、日本側の見学した「10人」の中川を除いた9人までが「周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」ことをこそ問題としなければならない。
彼ら9人は大臣のなさることだからと好きにさせ、ニヤニヤとお追従笑いを浮かべてただ眺めていたたから、「周囲が振り回されたり、騒ぎになるようなことはなかった」状況となったのだろう。
逆に「周囲が振り回され」ることになり、「騒ぎ」とするべきだった。だが、相手が大臣だからか、何も注意ができず、好きに任せた。
そうだとしたら、権威主義の力学に支配され、腫れ物に触れるように扱ったことになる。
中川昭一は13日のG7の夕食会を途中退席して、宿泊先ホテル自室で財務省玉木林太郎国際局長や新聞記者男女各2人らと共に懇談会なるものを開いている。そこでジントニックを4~5杯飲んだ。
また14日の午前8時15分~午後1時50分までの予定のG7昼食会をも午後1時00分頃に途中退席し、宿泊先ホテルに戻り昼食を摂り、その後同ホテルのレストランに行き、財務省玉木林太郎国際局長、日本人女性記者、イタリア人通訳など数人で会食している。
そこで中川本人がワインを注文したが、「本当に口をつけた程度」と本人は言っている。
中川昭一は日本の財務大臣という公人の立場で行動していたはずである。G7の夕食会も昼食会も公式行事であり、公人として出席していなければならない。
勿論、公式の行事が終了した後なら、その後私人に戻ろうが死人になろうが本人の責任事項外のことである。
ところが、両方とも途中で退席している。公式の席に公人の立場で参加していながら、そこを途中退席するには、体調を崩している場合を除いて、公人としてより重要な公式の会議や公式の面会等の用事が控えている場合でなければならないはずである。
途中退席は私人として私的な飲食の会合を行うためだった。少なくとも公人として臨まなければならないより重要な公式の会議や公式の面会だとは言えない席に限りなく私人に近い状態で列席していたのである。
このことは公人としての立場放棄、責任放棄に当たらないだろうか。
公式の席を途中退席してまで設けた私的な席に、宿泊先ホテル自室でも宿泊先のレストランでも日本人女性記者を同席させている。
両者の関係が愛人関係にあるのかどうかはどうでもいいことだが、愛人だとしたら、公私混同という新たな問題が発生する。愛人とはなっていなくても、彼女に気に入れられるよう、意を迎えようとの意識から飲食の席に同席させたとしても、やはり公私混同となる。
そういった意味での同席ではなく、公私混同に当たらないとしても、公式の席を途中退席して行事予定にはない、しかも飲食を伴っているゆえに私的と言える会合を持ったこと、バチカンの博物館見学で不謹慎な態度に終始したこと、まだ日本の財務大臣の地位にあったのである、その公人意識の欠如は如何ともし難く、その公人失格性は大臣失格にとどまらず、国会議員の資格喪失にまで及ぶ酷さではなかったのではないだろうか。
公人であることを忘れたカナリアは国会の裏山に捨てなければならない――