《栄養士連盟、民主支持に》(時事ドットコム/2010/01/05-19:26)――
2007年の参院選の比例代表で自民党から候補を擁立したが落選した経緯を持つ日本栄養士連盟はこれまで一貫して自民党を支持してきた姿勢を転換、日本栄養士連盟の尾籠悦子会長代理が5日に民主党の小沢一郎幹事長と国会内で会い、夏の参院選では民主党を支援する方針を伝えたという。
尾籠悦子会長代理は“鞍替え”の理由を次のように述べている。
「国民が選んだ民主党を支持していくのが当然ということになった。与党を支持しないと、予算も付きにくい」
《日本栄養士連盟、民主支持に方針転換》(毎日放送/10.1.6)では尾籠悦子会長代理の発言は次のようになっている。
「与党が予算というのを決められますよね。そういうことでやはり与党である党を支持しないと今後なかなか予算も付きにくいというのもあるんじゃないですか」
自民党は戦後ほぼ一貫して政権与党の立場を確保し、国家予算を握ってきた。日本栄養士連盟がこれまで一貫して自民党を支持してきた歴史も、予算が付きやいことからの与党・自民党支持の歴史だったと言うわけである。
要するに自民党の政策を支持してきたわけではなかった。そして今回の民主支持への転換、“鞍替え”も民主党が掲げる政策の是非を支持理由としたからではなく、予算が取りやすいか取りやすくないかを基準とした支持理由からだとしている。いわば見返りに予算(カネ)を求めた支持だというわけである。
譬えて言うと、政策の是非でバツ一になる覚悟をして自民党を捨て、民主党とくっついたわけではなく、自民党と民主党の間でカネ(予算)を握っている立場が逆転したから、カネ(予算)を手放した自民党に義理立てしてくっついていても仕方がない、さっさと別れてバツ一になって、今度新たにカネ(予算)を握った民主党とくっついて、私おカネ欲しいのよと懇ろになった方が色々とプレゼントしてもらったりできるからずっといいというわけなのだから、まさしく“鞍替え”と表現していいはずだ。
カネ(予算)の権限を失った男からカネ(予算)の権限を手に入れた男への乗り換えと形容してもいいい。
だが、国民のためだとか日本の将来のためだとか、奇麗事を言うより簡単明瞭、現金で分かりやすくていい。
但し、日本栄養士連盟のこのような態度を事大主義と言う。
事大主義とは「勢力の強い者に追随して自己保身を図る態度・傾向をいう」(『大辞林』三省堂)
常に与党は自民党を前提とし、政権交代など夢のまた夢であった政権交代前の時代は安心していられたが、政権交代可能時代となった今、自民党が再度政権を取り与党に返り咲くことがあったなら、予算獲得の基準に従った「与党支持」の原則で民主党支持から自民党支持へと出戻りの“鞍替え”をしなければならないだろうから、都合のよい方につくために常に情勢を窺う態度――日和見主義を保持していなければならなくなる。
あるいは有利な側へつこうと常に形勢を窺う洞ヶ峠(ほらがとうげ)を決め込まなければならなくなる。
(洞ヶ峠――京都府八幡町と大阪府枚方市の境にある峠。海抜63メートルに過ぎないが、淀川・天王山が眺望できる。山崎の合戦で筒井順慶が明智光秀に味方するかどうか戦況を眺めていたという言い伝えがある。『大辞林』三省堂)
そして結果として、そのときの情勢でどちらの側にも従う節操のない二股膏薬の日本栄養士連盟という有難い称号を賜るようになるだろう。
と言っても、こういった態度を取るのは支持組織ばかりではなく、その時々の情勢で有力な国会議員についたり離れたりする新人議員もいるだろうし、古手の議員の中にもゴマンといるに違いない。政策選択によってではなく、自己保身上の利害からのみ鳩山についたら有利か、小沢についたら有利かといった具合の態度の決め方をする。
小沢幹事長の資金管理団体「陸山会」の億単位の不透明な会計処理、カネの流れが露見、東京地検特捜部が小沢氏に対して任意の事情聴取に応じるよう要請する方針を固めた模様だが、小沢氏側が要請を拒否する可能性もある(毎日jp)とマスコミが報道している。場合によっては幹事長失脚、議員辞職もあり得ない展開ではない。
そうなった場合を恐れて、自己保身上の利害から早くも小沢支持に浮き足立っている議員もいるかもしれない。また小沢支持が“鞍替え”の支持だった場合、その選択は間違いだったと、“鞍替え”を早くも後悔している議員もいるに違いない。
こういった自己保身から有力な勢力に無節操についたり離れたりする人間は大体がその理由を口先では政策が立派だからとか、政治的にも人格からいっても学ぶ点が多いからだとか、日本のためになるからだとか、奇麗事を口にするから、日本栄養士連盟みたいには分かりやすいといかないところが政治の世界を魅魍魎跋扈の世界としているのだろう。 |