幕が下りた公設派遣村騒動の成果

2010-01-23 10:38:30 | Weblog

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。

 ――訂正謝罪――

 昨1月22日エントリーの記事――《岡田外務大臣のハイチ対応に見せた詭弁》でハイチ首都ポルトーフランスのテント村を視察した調査チームの団長を四宮信隆ハイチ大使と書くべきところを医療チームの二石昌人団長と書き間違えました。謝罪します。
 公設派遣村が1月18日、閉村となった。「asahi.com」記事――《家は決まっても職探しはこれから東京の「派遣村」終了》(2010年1月18日11時27分)が「派遣村」の問題点を提示している。

 一言で言うと、2010年1月14日エントリーの当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》に書いたとおり、求職1人に対して求人が半分にも満たない低い数値で有効求人倍率が推移している、ただでさえ仕事が見つからない悪化した雇用状況下では住む家がない、食事も満足に摂っていない生活条件を下げている失業者には仕事を見つけるのは困難なのだから、暮れから正月の間のみ住まいと食事の提供で終らせるべきところを、高い失業率に矛盾して就職斡旋にまで踏み込んだところに問題が生じたということなのだろう。

 記事は公設派遣村が結果として住まいと食事の一時的提供と生活保護の斡旋を主な仕事とし、就職斡旋は〈新しく仕事が決まった人はごく一部で、今後は通常の就労支援に引き継がれる。〉という解説で殆んど役に立たなかったことを書いている。

 〈通常の就労支援に引き継がれる〉としても、同じような就職困難な状況で推移することになるのは現在のところの有効求人倍率そのものが証明している。

 政府の要請を受けて都が派遣村を解説したのが昨年の12月28日、736人が渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで越年、1月3日には833人に増員。4日終了予定が生活再建のめどが立たない入居者が多く、562人を大田区の都の施設に収容し、支援を継続。

 15日の段階で支援対象になっていた約450人のうち、生活保護や住宅手当などの受給が決まったり、見通しが立ったりした入居者は420人。ほかの約30人は自主的に就職したり、故郷に帰ったりしたという。

 但し見通しが立ったりした入居者420人に関しても、就職については「ほぼ全員が決まっていない状態」(都福祉保健局)だそうだ。

 記事は都福祉保健局の言葉を伝えている。

 「住居がないと採用もされにくい。期間中に就職まで結びつけるのは難しかったが、今後は就職活動もしやすいはずなので、ハローワークなどを活用してほしい」――

 「住居がないと採用もされにくい」は最初から分かっていたことである。生活保護を受けて、それを資金に公営住宅やアパートに入居、自らの住居とした者を対象に、「今後は就職活動もしやすいはずなので」と言ったのだろうが、確かに就職条件として住まいがあるかないかの差は大きい。

 当然、「今後は就職活動もしやすいはず」となるだろうが、既に触れたように、そのことがそのまま就職に結びつくか結びつかないかはあくまでも有効求人倍率にかかってくる。有効求人倍率の上昇は景気回復を条件とするが、住まいを持つか持たないかを条件とはしていないからだ。

 いわば住まいを持つ者が増加したからといって、そのことがそのまま雇用状況に結びついて改善されるわけではない。

 結果として公設派遣村は生活保護受給を主たる成果とした。

 記事は昨冬の「年越し派遣村」村長で、緊急雇用対策担当の内閣府参与を務める湯浅誠氏の言葉を伝えている。

 「就労前には住居の確保が大切なため、利用者の約半数が生活保護を受けることになったのは一定の成果だ。ただ、求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない。次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」

 湯浅氏は生活保護受給を一定の成果としている。そして「求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない」と、雇用環境の厳しさに変化がないことを言い、「次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」と当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書いたことを提案している。

 この提案を有効とするなら、最初から提案どおりの内容を実行していれば、交通費と昼食代を含めた2週間分就職活動費2万円を持ったまま行方不明となった、持ち逃げした、そのカネで施設内で飲酒した、大騒ぎしたといった騒動も起きないで済んだはずだ。

 また、生活保護受給の任務をなくすことができたと言わないが、少なくとも減らすことが出来たはずだ。

 生活保護を受給して公営住宅なり、アパートなりを住まいとした者の中には真面目にハローワークに通って仕事を探しても見つかりっこないと派遣村での仕事探しの経験から、あるいはそれ以前の経験から最初から諦めて、家賃と最低限の食事代を残して飲酒やパチンコに使ってしまう者が出てくるかもしれない。

 最初はハローワークに真面目に通って仕事を探したとしても、なかなか見つからなければ、次第に嫌気もさすだろうし、仕事探し自体を諦めて生活保護費をムダに費やすケースも多々出てくるかもしれないことは有効求人倍率からも証明できる。

 厳密には役にも立たないムダな支出とはなるが、ほかの部屋の住人に迷惑をかけさえしなければ、公金をどう使おうと、何をしようと自由となる。

 記事は派遣村運営の費用を次のように伝えている。

 〈都によると、政府が負担する期間中の費用は予定の6千万円を大幅に上回る1億数千万円になる見通しだ。 〉――

 「1億数千万円」 〉の中に継続的な支出となる生活保護費が含まれているのだろうか。生活保護受給者を400人と見積もって月に生活保護を10万受けるとしても、4000万円相当の公的なカネが月々消費されていく。

 だとしたら、やはり湯浅氏が提案しているような仕事をつくった方が利口だったということになる。例えその仕事が部屋を借り、食事していける生活可能範囲の報酬をペイできない、余分にカネを払うことになる赤字仕事であっても、少なくとも仕事をさせて稼いだカネで生活させるのである、正規の仕事が見つからないまま生活保護費を受給させっ放しにするよりはましではないだろうか。景気が回復して有効求人倍率が上昇するまでの我慢でもある。

 ペイできない赤字分を公設派遣村にかけた「1億数千万円」 〉で補填するとした場合、相当な日数に亘る膨大な仕事量を埋め合わせることができる計算となる。

 沖縄では路上生活者や失業者を対象に沖縄戦の遺骨収集事業に当たらせている。「NHK」記事――《失業者による遺骨収集を再開》(10年1月22日 16時29分)によると、那覇市で昨年12月まで行われていた路上生活者などを雇用する沖縄戦の遺骨収集事業が、地元の要望を受けて22日から2週間の日程で再開されたという。

 記事は書いている。

 〈那覇市が、国の緊急雇用対策の資金を活用し、路上生活者や失業者、およそ50人を雇用して遺骨収集を行ってきましたが、予算に限りがあるため、先月、終了していました。しかし、那覇市や沖縄県は、まだ多くの遺骨が残されているとして、国に事業の継続を要望した結果、厚生労働省が特例として支援することになり、22日から事業が再開されました。今回の事業は雇用対策が目的ではありませんが、請け負った業者が路上生活をしていた人や失業している人などを雇用する形を取り、毎日5人から10人が日給6000円で働いています〉――

 毎日5人から10人程度少人数の雇用だが、日給は6000円だというから、採用された者は2週間10日としても、6万円は稼げる。沖縄市としても遺骨収集といった短期間で終了する仕事で終わらせずに景気回復までの期間限定だとして、道路や市の施設の清掃、ビン・カン拾いなどの仕事を見つけて、最低限の生活が維持できる報酬を提供するべきではないだろうか。

 尤も景気が回復しても、何しろ失業率が最も高い地域である、仕事にありつけない就職希望者も大勢出ることになるだろうが、仕事にかかる費用をペイできない報酬を与える赤字となる対策であっても、少なくとも市が支出する生活保護費費を減額させることができるはずであるし、生活保護を受給させて仕事が見つからないまま放置しておくよりは市の財政にとっても、仕事を見つけることができて自分で働いて自分で報酬を得る市民にとっても健全と言える対策ではないだろうか。

 最後に、《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書き落としたが、富士山の清掃も一つの手である。財源は国や山梨県、静岡県といった地方自治体だけではなく、ジュースやビール、酒、ウイスキーといった飲料会社などにも資金を提供させたらいい。

 富士山の清掃を従事させるとしたら、東京といった遠隔地からバス等で通うのは時間とカネの無駄となるから、近くに廃校となった校舎とか廃業したホテル等があったなら、宿泊所として利用すればいい。

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