菅前首相の「政権発足半年間は仮免期間」が許されないことはタイのインラック首相が証明となる

2011-11-13 10:11:22 | Weblog

 ――菅前首相の震災対応と重なるインラック・タイ首相の洪水対応――

 タイは5月から10月頃までが雨季だそうだが、雨季の初め頃から始まった、タイ政府が「50年に1度」と宣言した例年の約1.5倍を記録する降雨が今回の洪水騒動をもたらした。

 要するに防ぎようがなかった想定外の自然災害だった。インラック・タイ首相も「他国も防ぎようのない自然災害」(日本経済新聞電子版)だと想定外に位置づけている。

 だが、防ぎようがなく襲いつつある進行過程での対応、襲ったあとの後処理過程での対応はもはや想定外とのみ片付けることは許されないはずだ。想定外からどのような被害へと拡大していくか視野に入れることのできる想定内の過程へと移行するはずだからだ。

 いわば進行過程以降の各対応は政治の責任となる。被害拡大を想定して、その拡大を最小限に抑える責任、経済活動及び国民生活を復旧・維持する責任を可能な限り果たさなければならない。

 だが、タイのインラック女性首相は各対応に於ける責任を果たしていないと批判を受けている。野党民主党からも批判を受け、バンコク都知事及び副知事からも批判され、国民からも批判を受けている。

 スクムパン・バンコク都知事の場合は、〈早くからバンコクの浸水を警告したが、政府は「危険はない」と楽観的な予想を繰り返した。〉と「毎日jp」記事が伝えている。

 いわば当初から想定外ではなく、想定範囲内としていた。多分、異常気象時代に突入していること、世界各地で豪雨と洪水に見舞われていたことも誘因となった想定であったのだろう。

 以上のことからすると、例え今年の7月8日に首相に就任、総選挙でタイ貢献党の首相候補となるまで政治経験はなく、タイ中部を中心に洪水が発生した10月初めまでたったの約3ヶ月の首相経験であったとしても、経験不足だからと許されるわけではなく、当然責任を免れる得ることではないこと、免罪され得る責任ではないことを証明している。

 《タイ前首相、洪水対応「首相の指導力欠如」》日本経済新聞電子版/2011/11/9 0:54)

 アピシット最大野党・民主党党首(前首相)「首相が指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招いた」

 そして、〈9日に再開する国会では、新政権が公約に掲げたバラマキ政策を見直し、復興予算に充てるよう要求する考えを示した。〉という。

 野党民主党アピシット前首相が提示した「首相が指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招いた」という批判は東日本大震災の復旧・復興に当たった菅前首相の対応にそっくり重なる。

 また、新政権が公約に掲げたバラマキ政策を見直し、復興予算に充てるよう要求する考えであるという点に関して言うと、民主党政権が置かれていた状況にそのまま当てはまる。

 菅前首相は2010年6月8日に就任、半年経過したその年の12月12日、東京都内開催の支援者の会合で次のように発言している。

 菅首相「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間で、いろいろなことに配慮しなければならず、自分のカラーを出せなかった。これからは本免許を取得し、自分らしさをもっと出し、やりたいことをやっていきたい」

 つまり菅前首相は就任半年間は試験運転の時期だから、あるいは助走期間だから、真剣勝負までいっていなくても許されるとの認識を示した。

 この認識が正当性を持つとしたら、インラック首相も「他国も防ぎようのない自然災害」を持ち出さなくても、洪水発生後の各過程での対応に関してまでも経験不足を理由に責任を免れることが可能となる。自己免罪が効くことになる。

 だが、菅首相は政権発足半年経過後も、本免許取得に至らなかった。特に政権発足9ヶ月後に発生した東日本大震災は「他国も防ぎようのない自然災害」だったが、自然災害発生以後の各分野の復旧・復興対応に自衛隊10万人派遣以外に、「指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招」き、遅れや矛盾を生じせしめた。

 いわば菅前首相の「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間」云々の発言自体が有効性を備えていなかったし、許される言葉ではないことをタイのインラック首相がはからずも教えてしまった。

 菅前首相はインラック首相が首相就任まで政治経験がなかったことと違って、野党議員としての長い政治経験、そして自社さ連立政権での与党議員として、閣僚としての政治経験を積んできている。野党議員であったとしても、与党との間の真剣勝負に事欠かなかったはずだ。よしんば政治経験が浅くとも、一国の首相に就任したと同時に真剣勝負で国政の場に臨まなければならなかった。それがトップリーダーとして負わなければならない責任であろう。

 だが、トップリーダーとして自覚していなければならない責任を忘れて、「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間」だと、半年間は真剣勝負でなくてもいいと自分から認めてしまった。

 自分自身の責任に対するこの甘え、一国の首相として許されるはずもない自分勝手なこの自己免罪が東日本大震災に於ける真剣勝負が求められる危機管理対応にも影響して、真剣勝負としての力を発揮できず遅れや不備を招くことになった要因であろう。

 いや、一国の首相として真剣勝負するだけの力・素質を元々から備えていなかったということに違いない。

 国家の危機に臨んだ場合の菅前首相とインラック・タイ首相の重複した姿が以上のことを考えさせた。

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菅前首相の「政権発足半年間は仮免期間」が許されないことはタイのインラック首相が証明となる

2011-11-13 10:11:22 | Weblog

 ――菅前首相の震災対応と重なるインラック・タイ首相の洪水対応――

 タイは5月から10月頃までが雨季だそうだが、雨季の初め頃から始まった、タイ政府が「50年に1度」と宣言した例年の約1.5倍を記録する降雨が今回の洪水騒動をもたらした。

 要するに防ぎようがなかった想定外の自然災害だった。インラック・タイ首相も「他国も防ぎようのない自然災害」(日本経済新聞電子版)だと想定外に位置づけている。

 だが、防ぎようがなく襲いつつある進行過程での対応、襲ったあとの後処理過程での対応はもはや想定外とのみ片付けることは許されないはずだ。想定外からどのような被害へと拡大していくか視野に入れることのできる想定内の過程へと移行するはずだからだ。

 いわば進行過程以降の各対応は政治の責任となる。被害拡大を想定して、その拡大を最小限に抑える責任、経済活動及び国民生活を復旧・維持する責任を可能な限り果たさなければならない。

 だが、タイのインラック女性首相は各対応に於ける責任を果たしていないと批判を受けている。野党民主党からも批判を受け、バンコク都知事及び副知事からも批判され、国民からも批判を受けている。

 スクムパン・バンコク都知事の場合は、〈早くからバンコクの浸水を警告したが、政府は「危険はない」と楽観的な予想を繰り返した。〉と「毎日jp」記事が伝えている。

 いわば当初から想定外ではなく、想定範囲内としていた。多分、異常気象時代に突入していること、世界各地で豪雨と洪水に見舞われていたことも誘因となった想定であったのだろう。

 以上のことからすると、例え今年の7月8日に首相に就任、総選挙でタイ貢献党の首相候補となるまで政治経験はなく、タイ中部を中心に洪水が発生した10月初めまでたったの約3ヶ月の首相経験であったとしても、経験不足だからと許されるわけではなく、当然責任を免れる得ることではないこと、免罪され得る責任ではないことを証明している。

 《タイ前首相、洪水対応「首相の指導力欠如」》日本経済新聞電子版/2011/11/9 0:54)

 アピシット最大野党・民主党党首(前首相)「首相が指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招いた」

 そして、〈9日に再開する国会では、新政権が公約に掲げたバラマキ政策を見直し、復興予算に充てるよう要求する考えを示した。〉という。

 野党民主党アピシット前首相が提示した「首相が指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招いた」という批判は東日本大震災の復旧・復興に当たった菅前首相の対応にそっくり重なる。

 また、新政権が公約に掲げたバラマキ政策を見直し、復興予算に充てるよう要求する考えであるという点に関して言うと、民主党政権が置かれていた状況にそのまま当てはまる。

 菅前首相は2010年6月8日に就任、半年経過したその年の12月12日、東京都内開催の支援者の会合で次のように発言している。

 菅首相「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間で、いろいろなことに配慮しなければならず、自分のカラーを出せなかった。これからは本免許を取得し、自分らしさをもっと出し、やりたいことをやっていきたい」

 つまり菅前首相は就任半年間は試験運転の時期だから、あるいは助走期間だから、真剣勝負までいっていなくても許されるとの認識を示した。

 この認識が正当性を持つとしたら、インラック首相も「他国も防ぎようのない自然災害」を持ち出さなくても、洪水発生後の各過程での対応に関してまでも経験不足を理由に責任を免れることが可能となる。自己免罪が効くことになる。

 だが、菅首相は政権発足半年経過後も、本免許取得に至らなかった。特に政権発足9ヶ月後に発生した東日本大震災は「他国も防ぎようのない自然災害」だったが、自然災害発生以後の各分野の復旧・復興対応に自衛隊10万人派遣以外に、「指導力を発揮せず、指揮命令系統の混乱を招」き、遅れや矛盾を生じせしめた。

 いわば菅前首相の「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間」云々の発言自体が有効性を備えていなかったし、許される言葉ではないことをタイのインラック首相がはからずも教えてしまった。

 菅前首相はインラック首相が首相就任まで政治経験がなかったことと違って、野党議員としての長い政治経験、そして自社さ連立政権での与党議員として、閣僚としての政治経験を積んできている。野党議員であったとしても、与党との間の真剣勝負に事欠かなかったはずだ。よしんば政治経験が浅くとも、一国の首相に就任したと同時に真剣勝負で国政の場に臨まなければならなかった。それがトップリーダーとして負わなければならない責任であろう。

 だが、トップリーダーとして自覚していなければならない責任を忘れて、「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間」だと、半年間は真剣勝負でなくてもいいと自分から認めてしまった。

 自分自身の責任に対するこの甘えが、一国の首相として許されるはずもない自分勝手なこの自己免罪が東日本大震災に於ける真剣勝負が求められる危機管理対応にも影響して、真剣勝負としての力を発揮できず遅れや不備を招くことになった要因であろう。

 いや、一国の首相として真剣勝負するだけの力・素質を元々から備えていなかったということに違いない。

 国家の危機に際した場合の菅前首相とインラック・タイ首相の重複した姿が以上のことを考えさせた。

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