国は森友学園の「瑞穂の國記念小學院」建設の国有地を売却するに当たって、その5190平方メートルの敷地を対象に産業廃棄物等のゴミが1万9500トン、ダンプカー4000台分埋まっていると推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から引いた約1億3400万で売却した。
昨日の「ブログ」で1万9500トン、ダンプカー4000台分の産業廃棄物分別・撤去に効率の良い自走式スクリーンを使った工事方法を採用せずに篩付きバケットを備えた重機(スケルトン重機)での工事方法を取ったこと自体が1万9500トン、ダンプカー4000台分の産業廃棄物が存在しなかったことの証明だと書いたが、以下に自走式スクリーンと篩付きバケットを備えた重機(スケルトン重機)のどちらが効率性に優れているかを比較して貰うためにその動画を改めて並べて掲載してみることにした。
「瑞穂の國記念小學院」は今年4月開校予定だが、国家主義的な右翼思想の洗脳教育が露わになったことに加えて、平成27年1月に条件付きで「認可適当」と答申した大阪府私立学校審議会に対して学園側が先月2月に愛知県の中高一貫校である私立海陽中等教育学校と「推薦入学枠の提供で合意している」と報告、だが、海陽側がその事実を否定したこと、さらに小学校の校舎を建設する総事業費を大阪府に対しては約7億5000万円と報告、国に対してはその3倍近い約21億8000万円と報告し、国から6千万円を超える補助金を受け取っていた虚偽事実が判明、このことの調査に時間がかかることから、大阪府は瑞穂の國記念小學院が4月開校予定前の今月3月中の認可は難しという認識を示した。
ここに三つの問題が生じていることになる。
一つは虚偽の総事業費を安易に信じて国が補助金の交付を決定していたことである。この辺の事情を2017年3月7日の閣議後の記者会見で国交相の石井一が発言している。
石井一「補助金を交付する前提になる工事費は、工事の契約書の写しで確認している。一方で大阪府からはかなり少ない金額と聞いており、大阪府とも情報交換し、事実関係を確認するよう職員に指示した。
(森友学園側は補助金は返還するとしているのに対して)現時点で森友学園から補助金の返還に関する相談を受けたことはない」(NHK NEWS WEB)
事実関係を確認する考えを示したという。
「工事費は、工事の契約書の写しで確認」、要するにペーパー確認のみである。契約書の写しには工事会社名と担当者の名前が記されているはずで、担当者に電話して、事実かどうか確認することもしなかった。
補助金交付という形を取っていたとしても、何とも手軽な国民の税金のバラ撒きではないだろうか。盲判に等しい。
森友学園の国有地売却不正疑惑が持ち上がったから、このような不正も派生的に浮上することになったはずで、どのような種類の補助金申請の案件であっても、少しでも多くの補助金を手に入れようとするゴマカシが混じっていない保証はどこにもないはずである。
そういった危機管理はないらしい。
もう一つは小学校が不認可になった場合の売却した土地の問題である。
国は小学校開校が認可されず、小学校の用地として使用できない場合は売却価格と同じ1億3200万円で買い戻すことができる契約内容となっていて、ゴミの撤去工事によって土地の価格が上がったとしても、買い戻す価格は変わらないと佐川財務省理財局長が国会で発言したと、2017年3月6日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。
2017年3月6日の参議院予算委員会。
佐川財務省理財局長(土地の不動産鑑定評価書には、『ゴミをすべて撤去する合理性はない』と記載されている」と質問されたのに対して)「『住宅用であれば合理的でない』とされているが、『学校用ということであれば合理的だ』というのが評価書であり、適切な時価で売却した」
すぐには頭に入ってこない発言となっている。要するに「『住宅用であれば(ゴミをすべて撤去しないというのは)合理的でない』とされているが、『学校用ということであれば(ゴミをすべて撤去しなくてもいいというのは)合理的だ』というのが評価書であり、適切な時価で売却した」という文言となれば、正確な意味が取れることになるはずである。
(以下訂正します)2017年3月9日 8:44
(訂正前文章)要するに森友学園側は全てのゴミを撤去しなくてもいいという契約になっていた。 だとしても、新たな不合理性が生じる。国は小学校の敷地の杭を打つ場所は9.9 メートル、その他の場所は3.8 メートル掘削することを前提に産業廃棄物等のゴミが1万9500トン、ダンプカー4000台分埋まっていると推計し、1万9500トン、ダンプカー4000台分のすべての産業廃棄物等のゴミの撤去・処理費用を8億1900万円と見積もったのである。 土中産業廃棄物のすべてを撤去しなくてもいいという最初からの契約なら、すべての産業廃棄物等のゴミの撤去・処理費用として8億1900万円と見積もったこととズレが生じる。 すべてを撤去しなくてもいいということなら、地表から何メートル以下は杭打ち(少しぐらいの産業廃棄物が存在していたとしても杭打ちに支障を来すことはないが)を終了後、産業廃棄物混じりの土を埋め戻してもいい、地表から何メートル以上は分別した土か、あるいは外部から新しい土も持ち込んで埋め戻さなければならないという契約を結べば、そのまま埋め戻した産業廃棄物混じりの土の割合に応じて、8億1900万円の撤去・処理費用のうち何億円かは差引きして帳消しできるはずである。 |
(訂正後文章)要するに不動産鑑定評価書は全てのゴミを撤去しなくてもいいという暗黙の契約となり得る要素を孕んでいた。 だが、国は小学校の敷地の杭を打つ場所は9.9 メートル、その他の場所は3.8 メートル掘削することを前提に産業廃棄物等のゴミが1万9500トン、ダンプカー4000台分埋まっていると推計し、1万9500トン、ダンプカー4000台分のすべての産業廃棄物等のゴミの撤去・処理費用を8億1900万円と見積もった。 土中産業廃棄物のすべてを撤去しなくてもいいという土地評価なら、すべての産業廃棄物等のゴミの撤去・処理費用として8億1900万円と見積もったこととズレが生じる。 ズレを無くすためには、地表から何メートル以下は杭打ち(少しぐらいの産業廃棄物が存在していたとしても杭打ちに支障を来すことはないが)を終了後、産業廃棄物混じりの土を埋め戻してもいい、地表から何メートル以上は分別した土か、あるいは外部から新しい土も持ち込んで埋め戻さなければならないという契約を結べば、そのまま埋め戻した産業廃棄物混じりの土の割合に応じて、8億1900万円の撤去・処理費用のうち何億円かは差引きして帳消しできるはずである。 |
築地市場の移転先予定の豊洲市場はベンゼンやヒ素等の有害物質によって土壌や地下水が汚染されていたが、地表から4.5メートルを新しい土を覆土とすることで有害物資を封じ込めている。
例えば杭を打つ9.9 メートルの掘削部の3.9メートル以下の6メートルは産業廃棄物混じりの土をそのまま埋め戻してもいいという契約内容なら、小学校の建物が立つ面積が敷地の大部分を占めているから、少なくとも撤去・処理費用は8億1900万円の半分の4億950万円にすることができる。
ところが、土中産業廃棄物のすべてを撤去しなくてもいいという契約を行っていながら、建設敷地の5190平方メートルを対象に埋まっている廃棄物を1万9500トン、ダンプカー4000台分と推計、その全ての撤去・処理費用を8億1900万円と見積もり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から引いた約1億3400万で森友学園に格安で売却した。
土中産業廃棄物のすべてを撤去しなくてもいいという契約と全てを撤去した場合の8億1900万円の見積もり、この見積もりに従った約1億3400万の売却額の関係に不合理性を見い出さないとしたら、見い出さない方がおかしい。
最後の一つは、国は小学校開校が認可されず、小学校の用地として使用できない場合は売却価格と同じ1億3200万円で買い戻すことができる契約内容となっていてことである。
産業廃棄物等のゴミが1万9500トン、ダンプカー4000台分埋まっていると推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から引いた約1億3400万で売却した事案はあくまでもゴミの撤去に関係した取り決めであって、小学校の開校認可とは別問題である。
更に言うと、認可されるかどうかは土地とは関係ない森友学園の経営と教育姿勢の問題である。ところが、国交省や財務省が国有地という土地の売買に自分たちに関係ない所管である認可問題を絡めて契約した。おかしな話ではないだろうか。
1万9500トン、ダンプカー4000台分の産業廃棄物が存在するという推計自体に、さらに分別・処理として見積もった8億1900万円の費用自体に疑惑が生じているというに、その上すべてを撤去しなくてもいいという契約が交わされているなら、最初の地点に戻って取り決めた全てを洗い出すべきだろう。
洗い出さなければ、国民は納得するだろうか。