安倍昭恵の籠池妻とのメールの遣り取り最後の文面は100万円寄付否定の巧妙なアリバイ作りの疑いあり

2017-03-25 14:17:30 | Weblog

 森友学園理事長籠池泰典が安倍晋三首相から首相夫人安倍昭恵を通じて100万円の寄付を受けたと、いわば爆弾発言をしたのは参院予算委員会の委員たちが森友学園への国有地格安売却問題で現地調査に入った2017年3月16日。

 委員たちは籠池理事長の自宅で約1時間半に亘って面会、その後豊中市の小学校建設現場を案内された。そのときに、「この学園を作ろうとしたのは皆さんのご意思があってこそ。その中には安倍首相の寄付金が入っている」(毎日新聞)という発言が飛び出して、その金額は100万円だと告げたと言うから、瑞穂の國記念小學院の建設現場に案内されているときなのだろう。   

 その際、籠池泰典が領収書が必要かどうか聞くと、安倍昭恵は「それはもう結構です」と断ったと明らかにしている。

 要するに100万円の寄付が事実だとすると、表沙汰にできない寄付、あるいは秘密の寄付という別の側面を持った事実が加わることになる。

 但し、と言うべきか、勿論と言うべきか、安倍晋三も安倍昭恵も100万円の寄付を否定している。本人が直接ではなく、官房長官の菅義偉の口を通してである。

 2017年3月16日の午後の記者会見で、「安倍総理大臣に確認したところ、『自分では寄付はしていない。昭恵夫人や事務所など、第三者を通じても寄付をしていない』ということだった」(NHK NEWS WEB)と発言、安倍昭恵に関しては確認中としていたが、翌日の3月17日の閣議後の記者会見(午前中)で「安倍事務所を通じて夫人に確認した結果、領収書などの記録もなく、夫人個人としても寄付は行っていないということだ」(NHK NEWS WEB)と述べている。

 否定は分かりきったことで、否定が事実かどうかが問題となる。「夫人に確認した結果、領収書などの記録もなく」と言っているが、記録してあったとしても、ないと言うだろうし、領収書を受け取らない、あるいは出さないといったカネのやり取りの場合は記録を残さない習慣をつけているはずだし、残さないぐらいの知恵は持っているはずだから、記録がないことを以って寄付否定の根拠とはならない。

 籠池泰典が参院予算委の委員員たちに安倍晋三からの100万円の寄付を明らかにしてから1週間後の2017年3月23日、参院予算委員会での証人喚問の場で100万円の受領を具体的に述べている。

 籠池泰典「昭恵夫人に瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任していただいたのは平成27年(2015年)9月5日にご講演をたまわったときのことです。そしてその9月5日、昭恵夫人は講演の控室として利用していただいた園長室で、私との対面していただいたとき、同行していたおつきの方に席を外すようにおっしゃった後、私と2人きりの状態で『どうぞ、安倍晋三からです』というふうにおっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円をくださいました。

 昭恵夫人は全く覚えていないとおっしゃっているようですが、私たちには、大変名誉な話なので鮮明に覚えております」(産経ニュース)   

 安倍晋三にしても自分の口で寄付を否定しなければならいことは国会の場での野党の追及を自明視して準備していたはずだ。

 2017年3月23日の衆参予算委員会証人喚問の翌日3月24日参院予算委。

 安倍晋三「妻と籠池夫人とのですね、メールのやりとりなどについても事実上、このメールのやり取りなどについても、公開ということについて、私は先方の公開が取れていればということで、申し上げてきました。先方が断片的なものだけを公開するものでありますから、本日、すべてこの妻と、この妻の携帯が一時水没をしておりますので、それ以前のことはないんですが、それなどについても、(平成)28年からのやりとりが書いてありますが、これはすべて、公にした方がですね、さまざまな誤解は解けるのではないかということで公開をさせていただきました。

 ですから、これについては、委員の皆様にも、目を通していただきたい。本当にそう思うわけであります。妻の名誉のためでもありますので、言わさせていただきたいと思いますが、このやりとりの中においてはですね、100万円のやりとりもございませんし、(講演料として籠池氏が昭恵夫人に渡したとされる)10万円のやりとりも一切ありません。妻からですね、
 むしろ、そういう謝礼があったのかということについて、籠池夫人にいわば、確かめているわけですから、籠池夫人からは10万円渡した等々、謝礼を払っているという話は一切ないわけでございますし、100万円の話についても一切ないわけでございます。

 それは、メールを見ていただければですね、やりとりを見ていただければ、よく分かるわけでございますし、また口止めが、このメールの中において、あったかのごとくの証言もありましたが、それ読んでいただければ、前後のやり取りからいって、そうではないことは、おわかりをいただけるのではないかと思います」(産経ニュース)  

 安倍昭恵と籠池妻との間で交換しあったメールの中には、「100万円のやりとりもございませんし、(講演料として籠池氏が昭恵夫人に渡したとされる)10万円のやりとりも一切ありません」と、100万円寄付否定の根拠をこのようにメールの内容に置いている。

 だが、それらのメールの内容を見ないことには安倍晋三が言っていることの正当性を確かめようがない。公開すると言っているから、ネット上を探したら、2017年3月24日付「産経ニュース」が、3月23日に入手したとして紹介していた。誤字や句読点なしがあって読みづらい箇所があるが、そのまま引用した。  

 但し3月23日の参院予算委員会国会証人喚問で自民党の西田昌司が「私も実は、総理の奥様から許可を頂いて、メールの文字起こしを全部持っております」と言っていたから、産経新聞の自民党の親近性から考えると、産経新聞は西田昌司からメールの内容を入手したのかもしれない。

 西田昌司は安倍昭恵直接からか、首相官邸を通してか、手に入れた。

 メールは「平成28年6月4日」(2016年)から始まっているが、最初は他愛もない内容の遣り取りとなっている。

 籠池妻から〈ご無沙汰しております 本日「殿利息でござる」の映画を観てきました ある方が籠池さんとだぶるからと勧められての事清まりました

 昭恵夫人 携帯水没でデータが一部飛んでしまいました。失礼ですが、お名前を教えて下さい。

 籠池氏妻 今晩は 塚本幼稚園 籠池泰典の家内です

 昭恵夫人 大変失礼致しました。〉

 安倍昭恵が「携帯水没でデータが一部飛んでしまいました」と言っていることと安倍晋三が前出の発言で「この妻の携帯が一時水没をしております」と言っていること合致する。

 2016年6月4日という日付は安倍昭恵が瑞穂の國記念小學院の名誉校長に就任したのは籠池泰典が国会証人喚問でも述べているように2015年9月5日であるから、この間の約6ヶ月間のデータは籠池サイドからの公開を待たなければならない。

 大阪府豊中市の市議が市の国有地の売買価格を非開示とした近畿財務局の決定は違法だとして国に決定の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こしたのが2017年2月8日。この2日後の2月10日、財務省近畿財務局は国有地の売却額を1億3400万円とHPで公表。

 共産党の宮本岳志議員が衆院財務金融委員会でこの森友学園国有地格安売却を取り上げたのが2017年2月15日。

 当然、2017年2月15日前後以降のメールの内容は他愛ないものでは許されなくなる。それらのメールのうち、主なところを拾ってみる。

 2017年〈【2月18日】

 昭恵夫人 この度のことはどうなっているのか、ご説明もなく、マスコミから追いかけられて戸惑っております。

 籠池氏妻 拝啓 メールの言葉がうまく書けず お電話をおかけしてはご迷惑になりますでしょうか 朝日新聞の仕業嫌がらせです、、、

 【2月19日】

 籠池氏妻 いたらないことばかりで 大変申し訳ありません 以後気をつけて対応させていただきます すみませんでした 何とか自分達で対応しようとしたのですが ニュースのスピードが早すぎてご連絡を怠った事いたらない自分が恥ずかしいです

 籠池氏妻 おはようございます 自分の報告を昭恵さんの留守電二回分にいれさせて下さい 出ないでください喉を壊し聞き苦しい事をお詫びして、、、

 【2月21日】

 籠池泰典氏の妻 同社大学の新島襄の学校弾圧の気持ちがよくわかると園長しみじみ思うといいます

 おはようございます 大阪の教育はいろんな文化がまざり日本という太柱がどこにあるのか僕しかできないと申します あきえさんへ

 安倍昭恵首相夫人 留守番電話聞かせて頂きました。

 籠池園長の教育に対する熱意は理解しているつもりです。

 籠池氏妻 昨夜TBSラジオに生電話で園長の本心を話し弁護士の言われた通り夜中に家をでました今奈良の三輪明神でご祈祷していただきました

 民進党議員団が私達を追いかけ集団タクシーで家や幼稚園に来ました子達はいつも臨機応変に助けてくれました あきえさんの大変さは本当に感心します

 昨日の大阪府の臨時審議委員会 神様の御心ならば認可をおろしてくださいと祈りました三輪明神様に導かれました

 今は辻本清美学校にいったようです すみません

 昭恵夫人 なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか。やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなあとは思います。

 祈ります。〉

 安倍昭恵が「なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか。やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなあとは思います」と言っていることは、非公開をキッカケに不審を抱かれて公開せざるを得なくなり、結果、国有地が驚くほどの安値で売却されたこと、安倍昭恵が新設瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任していること、塚本幼稚園が国家主義教育・天皇主義教育を行っていること等々が芋づる式に世間に知られてしまった憾(うら)みを述べたものだろうが、公開していたら公開していたで、やはりその売却値を誰かが目にした途端、不審を抱かない者はいないだろうから、芋づる式は変わらなかったはずだ。

 そのことに気づかない程の視野狭窄症な安倍昭恵らしい。似た者夫婦といったところか。

 この記述の2日後の2017年2月23日に瑞穂の國記念小學院ホームページに記載されていた安倍昭恵の名誉校長挨拶が消去され、名誉校長を辞任している。

 辞任について何かメールの遣り取りがあってもようさそうなものだが、22日、23日、24日と遣り取りはなく、2月25日に飛んでいる。

 2017年2月24日衆院予算委員会で民進党福島伸享の質問に答えて、「事務所の方から正式にですね、先方に連絡を致しまして、えー、妻としては自分がこうした経緯があるとは言え、名誉校長を引き受けていることによってですね、そこに通う子どもたちやご両親に却ってご迷惑をかけ続けることになるんで辞任をさせて頂くということを先方に申し入れたそうであります」と答弁しているから、安倍昭恵の方から申し入れた辞任となる。

 と言うことは、名誉校長辞任という予想外の展開にまで追い込まれたことに対するショックから意気消沈し、両者共にメールをする元気が出なかったということではなく、メールの発信が籠池妻の方がより積極的であることをみると、信頼していた安倍昭恵から名誉校長辞任を、ある意味宣告されて、籠池妻が気色を悪くし、そのために3日間、メールが途絶えたと見るべきかもしれない。

 安倍昭恵の方の思惑からしたら、益々マスコミが騒ぎ、国会で騒がれ、追及を受ける状況に追いやられて、それを少しでも避ける意図からの体のいいトカゲの尻尾切り、あるいは体よく泥舟から逃げようとする姿勢があったはずだし、こういったことを籠池妻は感じていたはずだ。

 このことは3日間置いた後の2月25日の遣り取りの最後方の安倍昭恵がメールの内容に現れている。

 〈まず非公開だっただったことが疑われることになりました。

 そしてあまりにも熱い思いで突き進まれたために、色々なところに歪みもあったのではないかと考えます。

 主人が総裁選挙で講演をお断りしたとき、ひどく怒っておられたとのことでうちの事務所は不信感になっていました。

 私は同じように夫のやっていることを信じて応援しています。

 総裁選挙はこちらとしたら何事にも代えられない一大事でした。

 また、幼稚園をご紹介した際も、あまりにも悲しい留守番電話が残っていて、私は愕然と致しました。

 人はなかなか思いをその通りには伝え合えないものです。

 そんな中で、誤解が生じていったことがあり、園長のご説明を理解することができなくなったのかもしれません。

 子どもたちを教育する上で、大切なことは色々あると思いますが、相手のことを思いやる気持ちはとても大切だと私は思います。

 ご夫妻が今、大変なことは想像がつきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということもご理解頂きたいと思います。

 しかし、園長の熱い思いは本物であると思いたいと思っています。

 全ては必然です。

 今回のことは私たちにとっても学びの場ですが、ご夫妻にとっても意味のあることと私は思います。

 どうぞご自愛くださいませ。〉

 「主人が総裁選挙で講演をお断りしたとき」とは、2017年3月1日の参院予算委員会で共産党の小池晃が「総理自身が講演する予定でしたね? 2012(平成24)年の9月」と尋ね、2017年2月20日付の「NEWSポスト」誌のインタビューに答えて籠池泰典が「(2度目の)総理就任前に講演をお願いしていました。しかしそれが自民党総裁選のタイミングと重なってしまった。その時にはお詫びの電話をいただき、その後には直筆のご丁寧なお手紙までいただきました」と答えていることから、2012年(平成24年)9月26日の自民党総裁前となる。

 2012年(平成24年)9月前に断った講演話を4年半も経ってからなぜ持ち出したのだろうか。このメール以前に籠池妻はこのときの講演について何も話していない。

 気持の食い違いを懐かしんで言っているわけでもない。要するに「主人が総裁選挙で講演をお断りしたとき、ひどく怒っておられたとのことでうちの事務所は不信感になっていました。

 私は同じように夫のやっていることを信じて応援しています」は、安倍晋三と籠池泰典の間柄を疎遠な関係に仕立てて、私は主人の側につきますという宣言であろう。

 このメールにも体のいいトカゲの尻尾切り、あるいは体よく泥舟から逃げげ出そうとする姿勢を見ることができる。

 このことは「まず非公開だっただったことが疑われることになりました」と再び「非公開」を持ち出したところにも現れている。「非公開」を責めるところまではいっていないが、間違いであることと、それがすべての始まりであることとして「非公開」に拘っていることの証左そのもので、かなりの距離を置いていなければ出てこない言葉であろう。

 名誉校長まで務め、籠池理事長の教育理念を礼賛していた安倍昭恵が籠池側と距離を置くこと自体が既に体のいいトカゲの尻尾切りであり、体よく泥舟から逃げようとする姿勢を見ないわけにはいかない。

 そしてこれらの言葉を含めて他の言葉のすべてが距離を置いたニュアンスとなっている。

 特に「園長の熱い思いは本物であると思いたいと思っています」と、「思いたい」としている言葉は瑞穂の國記念小學院のHPに乗せていた自身の名誉校長としての挨拶、「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。

 瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。 そこで備わった『やる気』や『達成感』、『プライド』や『勇気』が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております」という言葉と比較すると、完全に距離を置いた言葉となっている。

 そして籠池側にしたら、「全ては必然です」という具合にはいかないだろう。中期のガン進行を告げられた患者に「全ては必然です」と言うのと大して変わらない。

 当然、「今回のことは私たちにとっても学びの場ですが、ご夫妻にとっても意味のあることと私は思います」と言っているが、籠池側にしたら、「意味のあること」などと構えてはいられないはずだ。

 約2週間後の3月10日に小学校の認可申請を取り下げ、森友学園の理事長を近いうちに辞任することを明らかにしなければならない程に追い込まれていたのである。

 余りにも距離を置いた冷たい物言いで、体のいいトカゲの尻尾切り、泥舟から逃げようとする姿勢以外の何ものであろうか。

 要するに籠池妻の方からメールが来るから、一度は名誉校長を引き受けた手前、返信を無視するわけにはいかない、有難迷惑だが、仕方なく付き合いで応じているといったところなのだろう。

 2月25日の上記紹介のメールの後に籠池理事長が国会証人喚問で述べていた、「『主人にとっても大変なことに巻き込まれたということも理解いただきたいと思います』とか、『私がかかわったということは裏で何かがあるのでは』と疑われないようにという、口止めともとれるメールが届きました」との文面が現れる。

 〈昭恵夫人 

 私もよくわかりませんが、色々気を付けなくてはいけないことがあります。

 私が関わったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように、細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょう。〉

 このことに関して西田昌司は3月24日の参院予算委で、「いわゆる口止めのメールを籠池氏側はしたとおっしゃっているが、全くそのことについて、そう思わせるところはない。100万円についても、籠池夫人からは一切、そういう言及すらない」と全面否定している。

 上記メールを自分自身に対する戒めと解釈するか、自身への戒めにかこつけた遠回しな籠池側への戒め、いわゆる口止めと解釈するかである。

 これまで紹介した安倍昭恵のメールは体のよいトカゲの尻尾切り、あるいは体よく泥舟から逃げようとする姿勢を露わにした距離を置いた物言いとなっていたことを考えると、自分自身に対する戒めと解釈した場合、整合性が取れない。

 自身への戒めにかこつけた遠回しな籠池側への戒め、当然口止めと解釈して初めて整合性を取ることができる。

 メールは翌日の2月26日、1日置いて2月28日、3月に入って1日から3月3日、3月4日と3月6日はなく、3月11日まで続いて、3日間を置いて3月16日が最後となっている。

 籠池妻は自分たちが追い込まれたのは安倍晋三が権力を使ってそうしたといった趣旨の恨み言を述べたのに対して安倍昭恵は「それは嘘です。私には祈ることしかできません」と応じている。

 これに対して籠池妻はなおも「尊敬していたのに小学校をやめ 幼稚園は 破産 建築や社長は破産 お父さんは詐欺罪 あんまりにも 権力を使うなら死にます」と、安倍晋三と安倍昭恵を頼って尊敬していにも関わらず、結果こうなったことの恨み言をなお言い募ると、安倍昭恵は「私もどうしていいかわかりません。権力など使っていません。神様はどこに導こうとしているのか。とにかく祈っています。自分達の保身ではありません。日本の将来のためです」と体裁のいいことを言っている。

 対して籠池妻は、「嘘の情報」と一言返信、にべもなく昭恵の言葉を斥けている。

 そして最後の最後に安倍昭恵は100万円の寄付に言及する。

 「100万円の記憶がないのですが」

 このメールの内容を以って安倍晋三側は100万円の寄付を否定しているが、最初に触れたように森友学園理事長籠池泰典が安倍晋三首相から首相夫人安倍昭恵を通じて100万円の寄付を受けたと発言をしたのは参院予算委員会の委員たちが森友学園への国有地格安売却問題で現地調査に入った2017年3月16日だから、同じ日の3月16日のメールの内容としていても何の不都合もない。

 メールの最後に持ってきたことも、ニュースで知ることになった時間の関係もあるかもしれない。

 だが、もし実際に100万円を渡していなかったなら、破裂するか破裂しないかで安倍晋三の首が飛ぶことになるかならないか、時限爆弾となりかねない100万円の寄付であるにも関わらず、「100万円の記憶がないのですが」と、このような短い言葉と曖昧な語尾で否定するだろうか。

 更に言うと、過去の事実、あるいは出来事の多くは忘れられた状態で頭の中に眠っているにしても、他の事実や出来事に触発されて眠っていた事実や出来事が記憶として蘇ってくる。籠池泰典が2017年3月16日に安倍昭恵を通して安倍晋三から100万円を受け取ったと話したことをニュースか何かで知った時点で、その発言に触発されて一瞬の内に渡したかどうかを記憶として鮮やかに頭に思い浮かべなければならない重大な事実であるはずだ。

 しかも2015年9月に渡したかどうか、1年半前の出来事である。

 100万円のカネを渡したかどうかは重大な事実であるにも関わらず、曖昧にしてはならない記憶を曖昧にしていること自体が人間の自然に反していて極めて如何わしい。

 考え得ることは否定することが目的ではなく、渡していないという事実を作るためのアリバイ作りではないかということである。

 でなければ、安倍昭恵が「100万円の記憶がないのですが」とメールを送信したことに対して籠池妻からの返信を受け取って、渡したかどうかを確認しなければならない。

 その確認すらせずにメールが公表される3月23日まで1週間ありながら、3月16日を以ってメールの遣り取りを断っている。

 確認までしたら、アリバイとはならないからだろう。籠池妻から渡したかどうかの確認をしないままに安倍晋三がこのメールの文言を以って100万円を渡していないことのアリバイとしていることからも、アリバイ作りなのは十分に想定できる。 

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