アッキード疑惑渦中にある安倍昭恵は安倍晋三総理夫人という肩書=公的性がついて回る公的側面を持った私人

2017-03-04 11:40:53 | 政治

 森友学園「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長を2015年9月頃から2017年2月23日前後まで約1年半も務めていた安倍総理大臣夫人安倍昭恵は森友学園の国有地格安取得疑惑が持ち上がってから、公人か私人かが取り沙汰されるようになった。

 野党は「公人」だと主張し、安倍晋三と官房長官の菅義偉は「私人」だと言って譲らない。

 当たり前のことを言うことになるが、公人であるとなったら、私人または私的団体設立の小学校の名誉校長を引き受けるということはその利益を公人でありながら代弁していることになって、公人であることの範囲を超えて違法となる。

 私人であるなら、どのような利益を代弁しようが、それが違法な利益でない限り、何ら問題はないことになる。

 平成29年3月2日の参院予算委員会でも、自由党共同代表の山本太郎が安倍昭恵は「私人か公人か」を安倍晋三に問いかけた。

 山本太郎「総理夫人は公人ですか、私人ですか」

 安倍晋三「公人かどうかということで申し上げますと、確かに妻は総理夫人と呼ばれるわけですが、それはいわば約束があるわけでございませんし、辞令が出ているわけでもないという意味に於いては公人ではないということでございますが、しかし私が外遊する際にはですね、同行したり、そういうサポート的な役割は行うということでご理解頂きたいと思います」

 この質疑の1日前の3月1日の参院予算委員会では小池晃共産党議員が安倍昭恵は公人か私人かと問いかけなかったにも関わらず安倍晋三の方から“私人であること”を持ち出して、名誉校長就任を何ら問題ないことにしようとした。

 この質疑は2017年3月1日付「産経ニュース」の記事を利用することにする。        

 小池晃「『安倍晋三小学校をつくりたい』という話があったのは、総理を辞めたときとおっしゃっていますが、これはいつか?」

 安倍晋三「何回かお答えしているが、いつかというのは、辞めた後でして、いつかということは記憶には定かではない。夫婦の会話ですから、それは、いつそういう会話をしたかは明らかではないのは当たり前なのではと思います」

 小池晃「『辞めたときに、妻が知っておりまして』ということは、それ以前から夫人は籠池氏を知っていたということか? 総理夫人は、籠池氏といつからの知り合いか? これまで何度会われているのか?」

 安倍晋三「これは総理を辞めた後ですから、いつかはわかりませんよ。そして、妻は私人なんです。いちいち、その妻をまるで犯罪者扱いするのは、極めて、私は不愉快です。極めて不愉快ですよ! 本当に私は不愉快ですよ、そういう犯罪者扱いするのは。それは、いつ知ったかということについてはこれは、私は承知をしておりません」

 小池晃「犯罪者扱いはしていません。言葉を撤回してください!」

 安倍晋三「それは、そういう印象を受けたわけですよ。『いつどこで籠池理事長を知ったんだ?』とか。そうじゃないですか。まるで尋問調に小池委員がおっしゃるから、私はそういう印象を受けるのは当然だと思いますよ」

 小池晃「犯罪者扱い。厳しく抗議したい。一言も言っていない。『私人』とおっしゃいますが、パンフレットにも出ている。講演会でも『内閣総理大臣夫人』という肩書が紹介されている。(森友学園が運営する)塚本幼稚園の訪問が3回ある。これ以外にも訪問されているのではないですか? 事実を聞いている」

 安倍晋三「そういうふうに丁寧に聞いていただければいいわけですよ。妻は、総理大臣夫人として外遊などに同行するうえにおいては、公人的な色彩を持つわけでありますが、妻は別途、人生があるわけです。例えば、原発政策では、私と相いれないところに行くこともあるわけでありますが、それは全く公人ではないわけです。先方がどういう肩書を書いているかということまでは、責任を持てない。『どのように』ということは、私の妻の知人から、一般の主婦の方ですが、大阪の方だそうですが、私はその方存じませんが、その方から紹介されたということです」

 安倍昭恵は総理大臣夫人として公人的な色彩を持つが、「全く公人ではなではなく」、私人だから、公人としての束縛は受けずに自由に行動できるとの趣旨で、森友学園の籠池泰典にいつ知り合おうと、いつ名誉校長を引き受けようと何ら問題はないということを申し立てている。

 安倍晋三は「公人的な色彩を持つわけでありますが」と言っているが、安倍晋三総理大臣夫人としての「公人的な色彩」は常に付いて回る。安倍晋三総理夫人という肩書そのものが「公人的な色彩」を放ち、安倍昭恵はその色彩に常に浴していることになる。

 いわばその肩書は常に公共性を備えていることになる。そのうような肩書自体が広く社会一般の利害に関わっているということを意味する公共性ということである。

 当然、私人だとしても全くの私人ではなく、常に公的側面を持った私人、広く社会一般の利害に関わった公共性を帯びた私人である。結果、社会的には安倍晋三総理大臣夫人として注目され、安倍晋三総理大臣夫人として価値づけられる。

 このことは安倍昭恵が総理夫人として世に知られていることが証明する。安倍昭恵は特別な才能で世に知られているのではない。あるいは特別な才能のみで世に知られている女性というわけではない。総理夫人だからこそ、世に知られている。総理夫人の肩書がなければ、ただのオバサンである。

 安倍昭恵に総理大臣夫人という肩書がなかったなら、ヌード写真集を出したって、あのスタイルだったら、たいして評判にもならないだろう。総理大臣の肩書のまま脱いで写真集を出したら、容姿に関係なく世間の注目を集めるはずだ。

 総理大臣夫人という肩書がどういうものか、ちょっと取っ付きやすい例で分かり易く説明した。

 森友学園の理事長籠池泰典から瑞穂の国記念小学院の名誉校長を懇望されたのも、安倍昭恵が安倍晋三総理大臣夫人だからこそであり、名誉校長でございますとそれ相応の気位を示すことできるのも、安倍晋三総理大臣夫人だからこそであろう。

 安倍晋三総理大臣夫人ではなかったなら、誰が名誉校長職を頼むもんか。

 当然、安倍昭恵の公的な場所でのどのような言動も安倍晋三総理大臣夫人の言動と価値づけられ、広く社会一般の利害に関わることになる。

 安倍晋三の首相としての原発再稼働推進の政策に対して安倍昭恵が再稼働反対を掲げたことが世間の注目を集めたのも、あるいは家庭内野党だとの宣言が同じく世間の注目を集めたのも総理大臣夫人だからこそであり、その注目は総理大臣夫人であるゆえに広く社会一般の利害に関わるからこその注目であろう。

 安倍晋三総理大臣夫人の安倍昭恵が瑞穂の国記念小学院の名誉校長であることによって、いわば名誉校長が安倍晋三総理大臣夫人だということで、その地位の栄誉に与ろうとして(内心凄いんじゃないとばかりに目を輝かして、「私の子どもは安倍晋三総理大臣夫人の安倍昭恵さんが名誉校長を務めているのよ」)、入学を決めた保護者もいるだろうし、安倍晋三支持者だから、その夫人が名誉校長の小学校という理由付けで入学を決めた保護者もいるはずだ。

 当然、安倍昭恵は安倍晋三総理大臣夫人という肩書の元、その公共性を利用して、そういった立場から社会一般の利害を目的とせずに私人または私的団体設立の小学校という極く極く私的な集団の利益を目的とした、自らの肩書とその公共性に反する利害行為を働いていたことになる。

 安倍昭恵が安倍晋三総理大臣夫人であっても全くの公人ではないから、このような特定な利益行為が違法ではなくても、極めて不適切な、総理大臣夫人にふさわしくない行為であろう。

 安倍昭恵が森友学園の塚本幼稚園がどのような教育を行っていたか知っていたはずである。思想的な善悪の判断力がまだ未熟な幼稚園の年齢の子どもに日本は天皇の国だと吹き込み、日々の朝礼時に「教育勅語」を朗読させる。

 あるいは「安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ。安保法制国会通過よかったです。日本がんばれ。エイ、エイ、オー」と集団で言わせる。

 一方的な思想を植え付ける教育は洗脳教育そのものである。

 このような幼稚園児に対する洗脳教育の発展的段階として瑞穂の国記念小学院を設立、小学校の児童にも植え付けようとしていることはそのホームページを見れば一目瞭然である。

 日本を天皇国とし、教育勅語の素読を掲げ、戦前の教育への回帰を露骨に見せている。そして安倍昭恵はそのホームページに瑞穂の国記念小学院名誉校長の肩書で、「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました」と挨拶している。

 籠池泰典が利益としている一方的な思想を安倍昭恵は自らの利益として代弁している。
 
 そして挨拶は続いて、「瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。 そこで備わった『やる気』や『達成感』、『プライド』や『勇気』が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております」

 幼稚園児の年齢から戦前同様の国家主義的な思想によって一方的に洗脳され、成長していくた子どもたちは安倍晋三みたいな国家主義の指導者に育つのがオチであろう。

 安倍晋三総理大臣夫人という肩書を持ち、その公的性がついて回る公的側面を持った私人である安倍昭恵の罪は重い。この危険性が単に違法ではないということだけで片付けていい問題ではない。

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