――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
――訂正謝罪――
昨1月22日エントリーの記事――《岡田外務大臣のハイチ対応に見せた詭弁》でハイチ首都ポルトーフランスのテント村を視察した調査チームの団長を四宮信隆ハイチ大使と書くべきところを医療チームの二石昌人団長と書き間違えました。謝罪します。
公設派遣村が1月18日、閉村となった。「asahi.com」記事――《家は決まっても職探しはこれから東京の「派遣村」終了》(2010年1月18日11時27分)が「派遣村」の問題点を提示している。
一言で言うと、2010年1月14日エントリーの当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》に書いたとおり、求職1人に対して求人が半分にも満たない低い数値で有効求人倍率が推移している、ただでさえ仕事が見つからない悪化した雇用状況下では住む家がない、食事も満足に摂っていない生活条件を下げている失業者には仕事を見つけるのは困難なのだから、暮れから正月の間のみ住まいと食事の提供で終らせるべきところを、高い失業率に矛盾して就職斡旋にまで踏み込んだところに問題が生じたということなのだろう。
記事は公設派遣村が結果として住まいと食事の一時的提供と生活保護の斡旋を主な仕事とし、就職斡旋は〈新しく仕事が決まった人はごく一部で、今後は通常の就労支援に引き継がれる。〉という解説で殆んど役に立たなかったことを書いている。
〈通常の就労支援に引き継がれる〉としても、同じような就職困難な状況で推移することになるのは現在のところの有効求人倍率そのものが証明している。
政府の要請を受けて都が派遣村を解説したのが昨年の12月28日、736人が渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで越年、1月3日には833人に増員。4日終了予定が生活再建のめどが立たない入居者が多く、562人を大田区の都の施設に収容し、支援を継続。
15日の段階で支援対象になっていた約450人のうち、生活保護や住宅手当などの受給が決まったり、見通しが立ったりした入居者は420人。ほかの約30人は自主的に就職したり、故郷に帰ったりしたという。
但し見通しが立ったりした入居者420人に関しても、就職については「ほぼ全員が決まっていない状態」(都福祉保健局)だそうだ。
記事は都福祉保健局の言葉を伝えている。
「住居がないと採用もされにくい。期間中に就職まで結びつけるのは難しかったが、今後は就職活動もしやすいはずなので、ハローワークなどを活用してほしい」――
「住居がないと採用もされにくい」は最初から分かっていたことである。生活保護を受けて、それを資金に公営住宅やアパートに入居、自らの住居とした者を対象に、「今後は就職活動もしやすいはずなので」と言ったのだろうが、確かに就職条件として住まいがあるかないかの差は大きい。
当然、「今後は就職活動もしやすいはず」となるだろうが、既に触れたように、そのことがそのまま就職に結びつくか結びつかないかはあくまでも有効求人倍率にかかってくる。有効求人倍率の上昇は景気回復を条件とするが、住まいを持つか持たないかを条件とはしていないからだ。
いわば住まいを持つ者が増加したからといって、そのことがそのまま雇用状況に結びついて改善されるわけではない。
結果として公設派遣村は生活保護受給を主たる成果とした。
記事は昨冬の「年越し派遣村」村長で、緊急雇用対策担当の内閣府参与を務める湯浅誠氏の言葉を伝えている。
「就労前には住居の確保が大切なため、利用者の約半数が生活保護を受けることになったのは一定の成果だ。ただ、求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない。次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」
湯浅氏は生活保護受給を一定の成果としている。そして「求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない」と、雇用環境の厳しさに変化がないことを言い、「次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」と当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書いたことを提案している。
この提案を有効とするなら、最初から提案どおりの内容を実行していれば、交通費と昼食代を含めた2週間分就職活動費2万円を持ったまま行方不明となった、持ち逃げした、そのカネで施設内で飲酒した、大騒ぎしたといった騒動も起きないで済んだはずだ。
また、生活保護受給の任務をなくすことができたと言わないが、少なくとも減らすことが出来たはずだ。
生活保護を受給して公営住宅なり、アパートなりを住まいとした者の中には真面目にハローワークに通って仕事を探しても見つかりっこないと派遣村での仕事探しの経験から、あるいはそれ以前の経験から最初から諦めて、家賃と最低限の食事代を残して飲酒やパチンコに使ってしまう者が出てくるかもしれない。
最初はハローワークに真面目に通って仕事を探したとしても、なかなか見つからなければ、次第に嫌気もさすだろうし、仕事探し自体を諦めて生活保護費をムダに費やすケースも多々出てくるかもしれないことは有効求人倍率からも証明できる。
厳密には役にも立たないムダな支出とはなるが、ほかの部屋の住人に迷惑をかけさえしなければ、公金をどう使おうと、何をしようと自由となる。
記事は派遣村運営の費用を次のように伝えている。
〈都によると、政府が負担する期間中の費用は予定の6千万円を大幅に上回る1億数千万円になる見通しだ。 〉――
「1億数千万円」 〉の中に継続的な支出となる生活保護費が含まれているのだろうか。生活保護受給者を400人と見積もって月に生活保護を10万受けるとしても、4000万円相当の公的なカネが月々消費されていく。
だとしたら、やはり湯浅氏が提案しているような仕事をつくった方が利口だったということになる。例えその仕事が部屋を借り、食事していける生活可能範囲の報酬をペイできない、余分にカネを払うことになる赤字仕事であっても、少なくとも仕事をさせて稼いだカネで生活させるのである、正規の仕事が見つからないまま生活保護費を受給させっ放しにするよりはましではないだろうか。景気が回復して有効求人倍率が上昇するまでの我慢でもある。
ペイできない赤字分を公設派遣村にかけた「1億数千万円」 〉で補填するとした場合、相当な日数に亘る膨大な仕事量を埋め合わせることができる計算となる。
沖縄では路上生活者や失業者を対象に沖縄戦の遺骨収集事業に当たらせている。「NHK」記事――《失業者による遺骨収集を再開》(10年1月22日 16時29分)によると、那覇市で昨年12月まで行われていた路上生活者などを雇用する沖縄戦の遺骨収集事業が、地元の要望を受けて22日から2週間の日程で再開されたという。
記事は書いている。
〈那覇市が、国の緊急雇用対策の資金を活用し、路上生活者や失業者、およそ50人を雇用して遺骨収集を行ってきましたが、予算に限りがあるため、先月、終了していました。しかし、那覇市や沖縄県は、まだ多くの遺骨が残されているとして、国に事業の継続を要望した結果、厚生労働省が特例として支援することになり、22日から事業が再開されました。今回の事業は雇用対策が目的ではありませんが、請け負った業者が路上生活をしていた人や失業している人などを雇用する形を取り、毎日5人から10人が日給6000円で働いています〉――
毎日5人から10人程度少人数の雇用だが、日給は6000円だというから、採用された者は2週間10日としても、6万円は稼げる。沖縄市としても遺骨収集といった短期間で終了する仕事で終わらせずに景気回復までの期間限定だとして、道路や市の施設の清掃、ビン・カン拾いなどの仕事を見つけて、最低限の生活が維持できる報酬を提供するべきではないだろうか。
尤も景気が回復しても、何しろ失業率が最も高い地域である、仕事にありつけない就職希望者も大勢出ることになるだろうが、仕事にかかる費用をペイできない報酬を与える赤字となる対策であっても、少なくとも市が支出する生活保護費費を減額させることができるはずであるし、生活保護を受給させて仕事が見つからないまま放置しておくよりは市の財政にとっても、仕事を見つけることができて自分で働いて自分で報酬を得る市民にとっても健全と言える対策ではないだろうか。
最後に、《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書き落としたが、富士山の清掃も一つの手である。財源は国や山梨県、静岡県といった地方自治体だけではなく、ジュースやビール、酒、ウイスキーといった飲料会社などにも資金を提供させたらいい。
富士山の清掃を従事させるとしたら、東京といった遠隔地からバス等で通うのは時間とカネの無駄となるから、近くに廃校となった校舎とか廃業したホテル等があったなら、宿泊所として利用すればいい。
――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。 1月21日に衆議院予算委員会がスタートした。国民新党の下地幹郎議員が北沢防衛大臣と岡田外務大臣にハイチ地震の対応について質問している。
下地議員「あのー、1月の13日に、ハイチで発生した大地震について、我が国の対応について、お聞かせを頂きたいと思いますけど。岡田外務大臣の方でも、早々に援助金を決めたり、昨日は防衛省の方でも、緊急援助隊を決めたり、オー、100名規模、医官を中心にして、支援すると、いうようなことをお決めになったようでありますけども、防衛省について、今日も、あのー、朝のニュースを見ますと、また、震度6の地震があったと、いうことでありますから、継続的に支援をしていかなければ、なかなか経済的に厳しいところなんで、難しいんではないかと思いますけど、ま、今回もおやりになりましたけど、今後どうするつもりなのか、北沢大臣に一つ、ご答弁お願いいたします」
北沢防衛大臣「お答えいたします。あの、ご案内のように13日の大地震がありまして、エー、翌日、外務省、JICA、防衛省と、あのー、それぞれ2名ずつの、オー、調査隊員を派遣いたしました。たまたま、アー、防衛省のC130が、アー、米国本土で訓練をいたしておりまして、あのー、帰国寸前でありましたんで、ええー、タイミングよく、ウー、この、ウー、帰国を中止させて、エー、マイアミへ、エー、回送させて、エー、そしてたまたまそこで、エー、援助物資を、あのー、経由させてあります、タイミングよく。ウー、そこから、アー、輸送させていただきました。
また、アー、外務大臣から、米国の、あの、オー、から、米国人の避難民と、その、運んだ飛行機がカラで帰るんでは、なくて、エー、米国へ送って欲しいと、こういうことで、調整をいたしまして、エー、34名を、オー、米国本土へ、あの、送ったと、こういうことをいたしまして。
まあ、あのオ、そののち、マイアミから、あのー、ハイチ間へ25名の第一隊を、あの、差し向けまして、既にご案内のとおり、医療活動をいたしております。そして今、お話がありましたように、昨日防衛会議を防衛省で行いまして、エー、ほぼ100名のオー、部隊を、オー、小牧を、オー、離陸して、成田から出発すると、いうことでありまして、ご質問のさらなる事態については、アー、先遣隊が行っておりますんで、あの、情勢報告を聞きながら、あの、対応をしていきたいと、このように思っております」
答弁書か何か用紙を手に持って見ながらのこの流暢な発言だが、日本政府の迅速なハイチ対応に即した迅速テキパキとした答弁は管轄大臣の一人として流石である。
下地「外務大臣も何かありますか?」
岡田外務大臣「今回のハイチの、地震ですけれども、色々ご意見も頂いております。ウー、もっと早くできなかったかとー、ォ、調査隊を出す、のではなくて、最初から緊急支援隊を送るべきではなかったかと。こういうご意見もございます。その辺りについて、十分ー、これから検証しなければならないと、いうふうに思いますが、ただ一つ申し上げておきたいことは、ま、ハイチの現状であります。つまりPKO部隊が大量に派遣をされて、そして、エ、平和維持活動を行っているという、そういう状況にある。ま、そこに、日本のですね、緊急支援隊を送り出す。エー、ご存知のように緊急支援隊、閣議決定によって武器の帯行(たいこう)、あの、スイコウ(携行の間違いか)は認めないと、おりません(「認めておりません」と言いたかったのだろう)。
エー、丸腰の緊急支援隊を出すときに、いきなり送って、エー、大丈夫かと、当然そういうご心配は、アー、あると、いうふうに思います。従って、ま、最初、調査隊を出しまして状況をよく把握した上で、出させていただいたと、そういうことでございます。
ま、この辺りについて、え、ほかに、イー遣り方がなかったのかと、いうことについて、よく検証する必要があると思いますが、しかし、緊急支援隊の安全ということも同時に、考えなければいけない。これ閣議決定されていることですし、付帯決議もあることですから、あー、そういうことも含みながらですね、エー、今回のことを、まあ、一つ、ウー、よく検証してみたいと考えているところであります。
政府としては、アー、でき得る限り迅速に送らせていただいたと、いうふうに考えているところでございます」
下地「まあ、ニーズをね、よく見極めて、相手の国が何を必要としているのか、いうことをよく見つめて、頑張っていただきたい。まあ、あの、エー、早いか遅いかよりも、効果が出るようなことをですね、きちっとやってもらいたいというふうに思いますね。(鳩山首相への政府予算の特長を問う質問に移る。)」――(以上)――
下地議員の「早いか遅いかよりも、効果が出るようなことをですね、きちっとやってもらいたいというふうに思いますね」は同じ与党の立場から政府の対応の遅れを擁護し、免罪符を与えようとする意図を持たせた発言であろう。
擁護し、免罪符を与える代償に大災害発生の際の医療や行方不明者の捜索を通した人命救助に関わる「時間との戦い」という大事な認識を犠牲にし、自らを非情な人間に貶めることとなった。
阪神大震災では県知事の自衛隊出動要請が遅れ、自衛隊も偵察飛行機を飛ばして被害の甚大さを把握し、部隊に出動命令を出していながら、規則に杓子定規に従って県知事の出動要請がくるのを待ち続けて人命救助に遅滞を来たした。その結果、救える命の多くを失うことになったはずだ。
災害発生の初期に於いては、「早いか遅いか」が何よりも重要な人命救助要素となり得ることを特に国民の生命を預かる国会議員が誰よりも自らの認識としなければならないはずだが、それを捨てて、「早いか遅いかよりも、効果が出るようなことを」と相反する結果となる矛盾したことを平気で口にしている。
また、「相手の国が何を必要としているのか、いうことをよく見つめて」と言っているが、「よく見つめ」なくても、災害発生時に初期的には何を必要としているのかのパターンは大体決まっていて、人命救助、医療支援、食料や水の確保等々を既定事実としていると前のブログで書いた。
岡田大臣は、ハイチは平和活動のPKO部隊が派遣されている危険地帯だから、武器の携行を許されていない医療チームを丸腰で出すわけにいかないから、最初に調査隊を出した、最初から医療チームを派遣しなかった決定は間違いではなかったと言っている。
これは図々しい詭弁というものだろう。
では、医療チーム派遣に先立って派遣した緊急調査隊は武器を携行しての派遣だったのだろうか。どの記事にも武器を携行しての調査だと書いてはいないし、調査チームの四宮信隆団長がテント村を視察し、その様子をビデオカメラに収めたというNHKの動画にも武器携行の様子は見えないし、他国PKO部隊員の護衛を受けて調査している様子も窺うことができなかった。
調査チームが武器を携行した派遣でないなら、医療チームの武器を携行しない派遣にしても、ハイチの活動条件は同じとなる。生まれて初めて飛行機に乗って、それが墜落して死亡してしまう人間もいれば、何十回となく乗って、一度も墜落しない人間もいるように、長期滞在と短期滞在の違いの危険は判定困難ということからすると、医療チームの丸腰だけが危険で、調査チームの丸腰は危険でないとすることはできないはずだ。それをさも医療チームの丸腰のみを危険だとしている。詭弁でなくて、何と言ったらいいのだろうか。
大体が調査チームの派遣が日本時間の1月13日午前7時前マグニチュード7.0の地震発生と同時に準備、準備が出来次第の出発なら迅速な対応と言えるが、地震発生から1日半以上経過した14日夜の成田発となっている。
医療チームはさらに2日遅れて、1月16日夜9時の成田出発。
もしも最初に調査チームを派遣して、安全に医療活動できるかどうかを調査してから医療チームを派遣することを予定していて、そういった趣旨の調査チームの先遣であったなら、政府が緊急調査チームの派遣の発表を行った1月14日の時点でそういた予定を説明すべきだったろう。
何も説明しなかったことは、武器携行不可の医療チームを危険なハイチに丸腰で派遣することはできない云々は詭弁となる後付の弁解に過ぎないことの証明となる。
岡田外務大臣は緊急調査チームが首都ポルトープランスで被災状況の調査開始した1月16日より1日前の、何も調査に着手していないはずの1月15日に国際援助隊医療チームの派遣を発表しているが、1月15日の国際援助隊医療チーム派遣発表時に記者の、「アメリカやフランスや中国から較べると、若干遅れたかなと思いますが?」の質問に答えて、「現地はかなり混乱している。具体的ニーズは何処にあるかという事を踏まえて出すというのは必ずしも間違った対応ではない」と十分な事前調査の必要性を説いていたことと矛盾する医療チーム派遣の発表となっていたのではないだろうか。いわば調査チームがハイチの安全確認調査を行わないうちに医療チーム派遣の発表を行っている。
勿論、調査チームから安全確認の報告を受けた場合、直ちに出発できるように派遣の発表を前倒しする例はあるだろうが、何の説明もなかったのだから、発表は調査結果に左右される内容ではなく、決定を前提としていたことになる。いわば調査内容に関係なく、医療チームの派遣は決定されていた。
調査チームのハイチでの調査は何のためだったのだろうか。緊急調査チームが首都ポルトープランスで被災状況の調査を開始したのは1月16日。同じ1月16日午後9時頃に国際緊急援助隊・医療チームは成田を出発している。
医療チーム派遣が前倒しの発表だったとしても、医療チームが日本を発つまでに調査チームが調査に丸々1日かける時間はなかったはずで、このことも岡田大臣の十分な事前調査の必要性に反する。
十分な事前調査を待ってからの医療チームの派遣では他国の医療チームや救援チームが地震発生から早い時間に既に活動している手前もあり、遅い印象を与えるといった理由で、調査を待たずに日本を出発させ、丸腰だからとハイチの安全な場所で待機させるという手もある。なるべく近場に待機させて、報告があり次第活動させれば、日本で待機して出発するよりは実際の活動までの時間が短縮できる。
毎日jp記事が、〈機能が低下している首都ポルトープランスの国際空港を米国管理下で運用することでハイチ政府と合意〉したと伝えているのは「2010年1月16日 19時53分」、現地時間に直して16日午前6時前後には既に米国管理下にあったことになる。
医療チームがハイチ首都ポルトープランスの空港に到着したのは1月18日午前3時(現地時間17日午後1時過ぎ)だから、空港は安全が保障される。
だが、そういう方法を採用するなら、医療チームは調査チームが出立した1月14日夜に調査チームと共に成田を発ち、調査チームが行ったと同じ1月15日午後ハイチ隣国ドミニカ共和国首都サントドミンゴ到着を共に行い、そこを調査チームの安全確認の調査が完了するまでの医療チームの近場の待機場所としてもよかったはずだ。
だとしても、調査チームの医療チームと同じ条件下にある丸腰の問題が解決するわけではない。そもそもからして岡田外相の国会答弁が詭弁だから、解決しないことになる。
医療チームの安全は他国PKO部隊に依頼してもよかったはずなのだから、丸腰論は通用しない。依頼を断られた時点で、丸腰論は通用する。だが、そういった手続きを取った様子はない。
時事ドットコム記事――(《重傷者の処置に追われる=日本の医療チーム-ハイチ大地震》が、現地時間か日本時間なのか書いていないが、レオガンでの医療チームの治療開始を「18日から」と伝え、〈前日に現地入りした際、医療チームを出迎えた避難所の人たちの笑顔と歓声とは打って変わり、この日、テント張りの診療所からは絶え間なく処置の痛みに耐える患者の悲鳴が響いた。〉(2010/01/19-11:55)と書いているから、兎に角現地入りから治療開始まで1日経過していたことになる。
記事は治療開始18日の医療チーム二石昌人団長の言葉を伝えている。
「負傷者が多いが、(治療を)引き継いでくれる地元の病院が機能していない。(日本の)長期的な関与が必要だ。・・・・自衛隊には物資調達や災害地で活動するノウハウがあり、数カ月にわたり安定した医療支援ができる」
そして記事は。〈この考えは同日、医療チームの診療所を訪れた防衛省の調査団に伝えられた。〉と書いている。
この調査団というのは1月18日に防衛省が現地や周辺国のドミニカ共和国、米国に派遣した自衛隊員12人の調査チームのことを指すのだろう。
そして約2日後の1月20日午後、北沢防衛大臣が100名の医官・看護師からなる自衛隊医療部隊の派遣命令を出した。
この派遣命令は北沢防衛相が先に書いた国会答弁で流暢に、「昨日(20日のこと)防衛会議を防衛省で行いまして、エー、ほぼ100名のオー、部隊を、オー、小牧を、オー、離陸して、成田から出発すると、いうことでありまして」と言っているから、医療チーム二石昌人団長が医療チームの診療所を訪れた防衛省の調査団に18日に伝えたという、いわば自衛隊医療チーム派遣要請を受けた措置であろう。
1月18日の当ブログ《ハイチ地震、緊急調査チームを送ったのは日本だけではないのか》に、〈緊急調査チームの調査と医療チームなり、救助チームなりが派遣された現場の状況と違いがあったなら、緊急調査チームの調査は形式で終わる。実際の状況を知るのはそれぞれの現場に派遣されてその現場の状況に直面した者たちであろう。
そういうことなら、既に訓練を受け、災害現場を踏んで各種情報・知識を身体に叩き込んでいるはずである。先ず災害現場に飛び込んで、直面した現場の状況に応じてどうしたらいいか、どうすべきか自身の知識情報と経験と技術を駆使・応用させながら事に当たると同時に仲間とも議論して、その現場にふさわしい行動のルールを自らも学び、相互に助け合って組み立てていく臨機応変の応用力さえあれば、災害現場が異なっても、格好はついていくものではないだろうか。
なぜそういった直接行動が取れないのだろうか。〉と書いたが、調査チームの調査によってではなく、現場に派遣されてその現場の状況に直面した医療チームが実際の状況を知って得た情報からの自衛隊派遣要請に日本政府が跡付けに従ったことになる。
地震発生1月13日午前7時前から約9日前後経過したのちの初めての満足しうる人員と医療設備を伴ったまともな緊急医療チームの派遣となった。
しかし先遣の医療チームにしても地震発生から約5日遅れの現地入りで、政府の対応の遅れが救い得た命の多くを救い得ない場所に追いやったことは間違いない。
――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
防衛省が地震被害のハイチへ自衛隊医療部隊を派遣することを決定、北澤防衛大臣が20日午後に部隊の派遣命令を出したと「NHK」記事――《ハイチへ 自衛隊部隊派遣命令》が伝えている。
医官や看護師などおよそ100人規模の編成だそうだ。今日21日の夜に日本を出発し、先に派遣した国際援助隊・医療チームと同様にアメリカのフロリダから自衛隊のC130輸送機で被災地入りするという。派遣場所も国際援助隊・医療チームと同じハイチ首都・ポルトープランスから約40キロのレオガン市。
但し派遣人数は国際援助隊・医療チームの24名に対して100人規模と桁違いに多くなっている。国際援助隊・医療チームは外務省の職員も含まれているから、医師・看護師は20名前後といったところではないだろうか。自衛隊医療部隊も治療施設周辺の治安の役目を担うとしたら、100名が100名とも医療従事者と限らないかもしれない。
記事は日本政府は〈さきに派遣したJICA・国際協力機構などの医療チームに加え、新たな支援を検討してき〉たと、政府はさも引き続いての計画であったように思わせているが、「NHK」記事――《日本の緊急援助隊 活動開始》(10年1月19日 6時59分) は、「地震発生から5日たって容体が悪化する負傷者が増えており、医療活動は難航して」いること、「持ち込んだ機材や医薬品では症状の重い患者に十分な治療を施せない」と医師の言葉を通して先遣隊の進捗困難な治療状況を伝えているが、そういった連絡が外務省にも入ったはずで、満足な医療体制が取れていないことに加えて国際援助隊・医療チームの派遣が他国に遅れたことで国としての評価を上げにくい懸念から、緊急に増員の必要に迫られ、それが20名前後から100名前後の桁違いに多い自衛隊医療部隊の派遣の決定となったといったところではないだろうか。
少なくもと最初から必要としていたはずだが、必要とは考えずに24名で済ませ、100名の自衛隊医療部隊の派遣とはならなかった。
地震発生は日本時間の13日午前7時前だが、気象庁なり外務省なりにその情報が連絡されるのは地震発生からそれ程時間が経過してからではないだろうし、あるいはアメリカのマスメディアがいち早くキャッチできたはずで、各国の支局に連絡する過程で日本のマスメディアにもその情報が早い時間に入ったはずで、事実「asahi.com」記事が「2010年1月13日12時52分」という地震発生当日の昼の時点で、マグニチュード7.0という地震の規模の大きさと、〈大統領官邸や国会議事堂をはじめとする官公庁やホテル、病院などが軒並み倒壊し、一部が炎上。多数の死傷者が出ている。〉という書き方で被害が首都に集中していること、さらに数千人の生き埋めの可能性を伝えているし、翌昼前の「2010年1月14日11時50分」の「asahi.com」記事が、ハイチ首相の〈倒壊した建物の範囲からの推計として死者数が「10万人を優に上回る」とCNNに語った〉こと、米政府の話として、首都ポルトープランスの空港管制塔の機能喪失とそのことによる輸送機が離着陸不明状態、港の桟橋の損壊による支援物資の陸揚げに支障が生じていること、刑務所の倒壊による受刑者の脱走、そして13日の世界銀行の予想として地震の被害額が「少なくともハイチの国内総生産の15%分に達するのではないか」とする発表を伝えていることから、ハイチが中南米最貧国ということなら、その国内総生産の15%分の被害がどれ程に甚大か想像できる情報としなければならなかったはずである。
さらに同記事は世銀が1億ドルの緊急支援を行うと発表、国連も1千万ドルを拠出すると表明したことを伝えているし、日本政府も翌14日に500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金の緊急支援を発表しているが、世銀の1億ドルと国連の1千万ドルから割り出した500万ドルといったところだと思うが、それぞれの金額が建物や道路といった物的被害のみならず、物的被害に対応した人的被害の程度を表しているはずだから、金額からも地震被害の規模を情報として解読しなければならなかったはずである。
さらに同じ「2010年1月14日」午後「14時5分」の「asahi.com」記事は国際救援隊27チームがハイチ入りしたことと中国の救援チームが13日夜、現地に向け出発したことを伝えている。
合わせて28チームの国際救援隊が迅速な行動に出たということはその時点までのハイチ首相の死者数が「10万人を優に上回る」やその他の情報と合わせて、そのまま人的被害の甚大さを物語っていたはずである。地震発生日本時間の13日午前7時前から左程遅くない時間から岡田外務大臣が国際援助隊・医療チーム派遣の発表を行った1月15日までの約2日間にマグニチュード7.0という地震規模の大きさの情報と外務省なりに直接入ってくる情報、マスコミが伝える各種情報等々から、日本政府は被害の全体像をかなり大幅に把握できていたはずであるし、把握していなければならなかったはずである。
各自が把握した情報を詳細に議論・検討した成果が国際援助隊・医療チーム24名、実質20名前後の派遣決定となって現れたということなのだろう。
国際援助隊・医療チーム24名派遣の発表は地震発生日本時間の13日午前7時前から約2日経過した1月15日。情報分析に費やすには飽きる程に十分な2日間だったに違いない。医療チームは16日夜に成田空港を出発、マイアミ経由で17日午後1時(日本時間18日午前3時)過ぎ、航空自衛隊のC130輸送機でハイチの首都ポルトープランスの空港に到着、治療地レオガンは首都から40キロのところだと言うから、道路事情や準備時間を考慮すると、18日からの治療開始ではなかっただろうか。
そして治療開始後たった2日後の1月20日午後、北澤防衛大臣が自衛隊医療部隊の派遣命令。最初の24名、実質20名前後の編成から桁違いに多い自衛隊医療部隊の100名前後の編成から探ることができる情報は最初の実質20名前後の人数不足を補って挽回するためと同時に諸々の地震情報・被害情報を駆使、詳細に議論・検討して最初の優れた決定を下した先見の明を補って帳消しとするために100名前後という桁違いの大人数を必要としたということではないだろうかということである。
いわば現状不適合の中途半端な計画・決定の欠陥を隠し、補って体裁をそれとなく整えるための後付の場当たり的・応急的な追加措置が100名という人数に表れたということではないだろうかということである。
その証拠として挙げることができるのは最初に派遣された医療チームの「国際緊急援助隊が持ち込んだ機材や医薬品では症状の重い患者に十分な治療を施せない」という言葉である。医師・看護師の人数もさることながら、より高度な医療器材とより重症用の医薬品を必要としていることが窺えるが、そうであるにも関わらず、24名前後を補う100名前後にウエイトを置いた派遣となっているところに場当たり的・応急的な追加措置の気配を否応もなしに感じ取ってしまう。
このことは最初に派遣された医療チーム自体にも言えることではないだろうか。「地震発生から5日たって容体が悪化する負傷者が増えており、医療活動は難航」していると言っているが、マグニチュード7.0の巨大地震発生の情報に接した時点で救助や治療は時間との戦いとなるであろうという予想を派遣の前提としていなければならないはずで、前提としていたなら、現地入りが遅れた分、ごく当然の予定事項としなければならない事態であって、最初から覚悟しなければならなかった状況であるにも関わらず、覚悟していなかった発言となっているところを見ると、最初の計画・決定からして場当たり的・応急的であったままを引きずって現地入りしたからではないだろうか。
被害の状況を迅速且つより正確に把握した計画・決定であったなら、それ相応の迅速さとそれ相応の人数とそれ相応の機材と医薬品とそれ相応の覚悟を備えた派遣と、そういった内容に応じた迅速な現地入りとなっただろうから、「地震発生から5日たって」云々の言葉は生じなかったはずである。
その逆の場当たり的・応急的計画・決定であったからこそ、「地震発生から5日たって」となった。
また医者なのだから、「持ち込んだ機材や医薬品」がどの程度までの症状に役立つか、前以て既定事実としていなければならない知識であろう。地震発生の場合の既定事実としなければならない何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)に従った的確な判断からも、「持ち込んだ機材や医薬品」で十分治療が可能と考えたから、「持ち込んだ」のであって、それが役に立たないということなら、現地入りした医者も含めて派遣を計画・決定した者たちの情報把握能力のお粗末さを嘆くしかない。
ハイキング目的で軽装で標高の高い山に出かけた結果、予期しない天候悪化で遭難状況に陥ったといったところではないのか。想定可能としなければならないパターンとしてある事態を想定できなかった杜撰なスケジュールで派遣決定をしたとしか思えない。
このほかにも場当たり的・応急的計画・決定であったことの証明を挙げることができる。
ハイチに対して国際機関を通じて500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを日本政府は決定したが、外務省幹部はこの決定を、「他国にひけをとらないぐらいの額はかき集めた」(asahi.com)ものだと言っている。
また民主党政府が海上自衛隊による8年間のインド洋での給油支援活動に代えてアフガニスタンへの民生支援として拠出を閣議決定した5年で50億ドルという金額に関しても、外務省幹部は「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」(別asahi.com)だとして算出したものだとしている。
いわばハイチにしてもアフガンにしても、何が必要なのか、様々な情報を可能な限り集めて、そこから具体的必要性を勘案して弾き出した具体的な金額ではなく、ハイチの場合は、先に世銀の1億ドルと国連の1千万ドルから割り出した日本政府の500万ドルといったところだと書いたが、多分基準としたのだろう、ほかの拠出支援金との辻褄合わせで、アフガンの場合は補給支援停止との辻褄合わせで捻り出した、やはり場当たり的・応急的な金額算出だと分かる。そして政治家側がそれを了とした。
このような場当たり的・応急的な予算編成しかできない官僚と政治家がハイチ地震を受けて迅速な援助活動をできなかったとしても不思議はない。
上記場当たり的・応急的例からすると、最初の医療チーム24名派遣も各種情報を迅速に収集、的確に把握・分析して具体的必要性を勘案、計画立て決定したものではなく、この程度で他国の派遣と較べて遜色ないだろうと他国の派遣と辻褄を合わせる形で決定した派遣ではなかったろうか。
情報把握能力と分析能力にすべてがかかっているが、迅速な行動がなかったことからすると、これらを欠いていた見られても、仕方はあるまい。
――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
ハイチ政府が機能停止状態であることと損壊した刑務所からの囚人脱走や略奪による治安悪化、道路被害からの食料配布の停滞、あるいは配布中の食料の奪い合い等々と、「NHK」記事によると、地震の前から政治の混乱などによって100万人が食料支援が必要な状態だったが、12日の大地震で新たに少なくとも200万人が支援を必要とする状況となり、あわせて300万人、人口のおよそ3分の1が食料支援なしには生きられない状況となっていて、食料支援が追いつかない状況にあることから早急な治安の回復、滞りのない食料支援の実施、政府機能の回復等々の必要性からだろう、国連安保理はハイチの平和維持活動(PKO)に当たっていた国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に昨年11月時点で配置していた兵士7千人余りと警官2千人余りに加えて国連事務総長による増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を19日午前(日本時間20日未明)全会一致で採択したという(「47NEWS」記事から)。
日本が昨年11月派遣の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に加わっているというニュースはどこにも見当たらない。外務省のHPで調べたところ、「国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)」は「国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)」の名称で紹介している。
〈「任務」
(1)安全かつ安定的な環境の確保(武装解除・動員解除・社会復帰、警察・沿岸警備隊への支援等)
(2)政治プロセス支援(地方選挙、議会選挙及び大統領選挙に関する支援等)
(3)人権(女性や児童の人権擁護に関し暫定政府や人権団体との協力、帰還民・避難民の人権状況を監
督するためUNHCRと協力等)
「経緯・背景」
1.紛争の経緯
(1)2004年2月以降、反政府武装勢力は中北部の主要都市の警察署を占拠し、首都に進行する
旨公言し、治安状況が急速に悪化。同月29日、アリスティド大統領は出国し、アレクサンドル暫定
大統領が就任。
(2)同日、安保理は暫定多国籍軍(MIF)の即時展開を行う権限を与える内容の決議1529を採択。同
決議を受け、3千人強の暫定多国籍軍が展開。また、同決議は事務総長に対し、3ヶ月以内に展開
する後続の国連安定化部隊の規模、構成及び任務等に関する勧告の提出を要請した。
(3)3月12日、ラトルチュ元外相が暫定首相に就任し、同月17日に暫定内閣を組織した。
(4)4月20日、事務総長報告が発表され、多目的のマンデートを有する国連ハイチ安定化ミッション
(MINUSTAH)を当初24ヶ月間設立するよう提言した。
派遣規模(2007年8月31日現在)
文民警察要員1771名部隊要員7054名
要員派遣国(同上)
アルゼンチン、ベナン、ボリビア、ブラジル、ブルキナファソ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ、チャド、チリ、中国、コロンビア、クロアチア、DRコンゴ、コロンビア、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フランス、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ヨルダン、マダガスカル、マリ、モーリシャス、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、セネガル、スペイン、スリランカ、トーゴ、トルコ、米国、ウルグアイ〉――
日本の名前は載っていない。だが、カネは出していると胸を張って言える。同じく外務省HPから探してみた。
〈ハイチ共和国 最近の援助について(外務省HP/平成20年11月)
a.. ハイチ共和国におけるハリケーン災害に対する緊急無償資金協力について(平成20年9月19日)
b.. ハイチ共和国におけるハリケーン・ハンナ及びアイク被害に対する緊急援助について
(平成20年9月10日)
c.. ハイチ共和国におけるハリケーン・グスタフ被害に対する緊急援助について(平成20年9月2日)
d.. 食糧援助(開発途上国における食料価格高騰への対応)の実施について(平成20年7月29日)
e.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じたコミュニティ開発支援無償資金協力
(ポルトープランスにおけるコミュニティ参加を通じた子供のための環境整備計画)に関する書簡の交換
について(平成20年3月13日)
f.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(「ハイチ共和国における予
防接種強化計画」)に関する書簡の交換
について(平成19年12月4日)
g.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
h.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年3月23日)
i.. ハイチ共和国南部被災農民向け食糧自給促進事業に対するFAO(国連食糧農業機関)を通じた貧困農
民支援について(平成19年2月27日)
j.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成18年11月18日)
k.. ハイチに対する食糧援助について(平成18年4月13日)
l.. ハイチ共和国総選挙に対する選挙監視要員の派遣について(平成18年2月1日)
m.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成17年11月23日)
n.. ハイチにおけるハリケーン災害に対する緊急援助について(平成17年7月15日) 〉――
ページ作成日が一昨年の「平成20年11月」、このページ以外は見当たらないから、これ以降の援助はないのだろう。但し地震発生を受けた>「国際緊急援助隊の派遣」のページを見つけることができた。
〈ハイチにおける大地震災害支援のための国際緊急援助隊の派遣(平成22年1月16日)
我が国政府は、15日、ハイチにおける地震災害支援のために、国際緊急援助隊の派遣を決定しました。国際緊急援助隊・医療チーム(外務省職員、医師、看護師等24名)については、本16日午後9時頃、成田空港よりJICAチャーター機でマイアミに向け出発する予定です。
医療チームの人員及び機材については、マイアミからハイチまで自衛隊の輸送機(C-130)で輸送する予定です。現地での治安状況、安全確保対策等を確認した上で、早ければ17日にマイアミを発って、ハイチに入る予定です。 〉――
日本にとってハイチはやはり遠い国だったようだ。何しろ間に南北アメリカ大陸が遮っていて、ヨーロッパの国々の大西洋一足跳びのように太平洋を一足跳びとはいかない。だから、「医療チーム」の派遣も日本時間の13日午前7時前の地震発生から3日と14時間遅れの迅速な出発となったのだろう。
だが、同じアジアの国、中国は南北アメリカ大陸の壁をものとはせずに日本とは比較にならない迅速な派遣を行っているし、ハイチPKOも、〈国連の要請を受けて2004年以降、約150人で構成される警察部隊をハイチに派遣。治安維持や国連高官の警備などの任務に就いていた。〉と「msn産経」記事が伝えている。
但し、〈ハイチをはじめとするカリブ海や中央アメリカには、台湾と外交関係を持つ国が10余りあり、中国のハイチへの大規模な支援の背景には、この地域で中国の存在感を高めるとともに、台湾との外交関係の切り崩しを図るねらいもあるとの見方が出ています。〉(「NHK」)と、政治的思惑も加わった人道支援だと伝えている。
だとしても、国益という利害を何ら挟まない人道支援など存在するだろうか。大国の国際的責任と言いつつ、大国としての名前と信用獲得、大国としての外交的地位の確保も国益としてある利害であって、どこの国も何らかの利害を人道支援に絡ませているはずだ。
日本はカネも出さない、何も出さない経済大国だと思われたくない世界各国に向けた世間体を少なくとも抱えていて、そういったいわば強迫観念からの糸目を付けないカネのみのバラ撒きであろう。
民主党は政権獲得前に小沢一郎は党代表の立場で国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に政権を取った場合は自衛隊を参加させると勇ましいことを言っていた
「米国はもはや一国で国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能になっている。・・・・世界の平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく以外に論理的にも現実的にも他に方法がない」
「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要だ。・・・・国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する。・・・・私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」(asahi.com)
但し、次の制約を付け加えて、決定を自由自在・融通無碍の場所に置くことを忘れなかった。
「合憲なら何でもやるということではない。国連決議があっても実際に日本が参加するかしないか、どの分野にどれだけ参加するかはその時の政府が政治判断する」(同asahi.com)
自衛隊派遣に自ら決定猶予を与えたが、国連決議が戦争放棄と武力行使の放棄を謳った日本国憲法第9条の判断要件とはならないといった自民党などからの批判を受けて、小沢代表の国連決議自衛隊派遣は鳴りを潜めることとなった。
そして政権交代。戦争絶対反対、自衛隊海外派遣絶対反対の社民党を連立政権内に抱えたからなのか、昨年11月の北澤防衛大臣のアフガンへの自衛隊派遣検討発言に対して鳩山首相が「小人数であっても、自衛隊員をアフガニスタンに派遣するということは望ましくない」(民主党HP)と否定、結局2009年11月に5年間で50億ドル(約4500億円)規模のアフガン民生支援策を閣議決定。
この50億ドル(約4500億円)は、2009年11月11日付の「asahi.com」記事――《総額優先、具体策固まらず アフガン支援に50億ドル》によると、「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」だとする外務省幹部の声を伝えて、アフガンに何が必要なのかを検討、計算した額ではなく、補給支援停止に見合う代償額だとしている。
記事はこのことを岡田外務大臣の10日の記者会見の発言で補強している。
(支援額の根拠を問われて)「内訳を細かく積み上げたものではない」
それでも新支援策の内容としては具体策なしのまま三つの柱を掲げている。
(1)治安能力の向上――主たる眼目(警察支援)
(2)反政府勢力との和解と社会復帰――主たる眼目(反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練)
(3)持続的・自立的発展のための民生支援――主たる眼目(農村開発、インフラ整備)
記事は、警察支援も農村開発もインフラ整備もこれまで行ってきたメニューが殆んどで、反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練は目新しい政策だが規模や方法などの制度設計ができていない、タリバーンが勢力を強めるなか投降する兵士を確保できるか不透明だとの指摘もあると断じている。
言っていることは素晴らしいが、結果として世界平和構築に責任ある経済大国日本の軍隊派遣はアメリカ、その他の国に依存し、自衛隊派遣なしの、いわば片翼飛行の治安回復支援策となった。
日本は地震で被害を受けたハイチに500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを表明、そして医療チームを派遣した。
国連安保理が国連事務総長の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を全会一致で採択したのである。国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)は平和維持活動(PKO)だから、日本も自衛隊の派遣は可能となる。アメリカと協力してハイチの治安回復と平和構築に関わってはどうだろうか。世界の平和構築に向けた自衛隊派遣の実績を積むことによって、大国としての地位も確立可能となる。そういった発想はないのだろうか。
今年1月15日でインド洋で海上自衛隊の給油活動が期限切れとなり、撤収命令が出された。日本の海上自衛隊の撤収後、中国海軍が引き継ぐ方向で検討していると、「YOMIURI ONLINE」記事――《インド洋での給油活動、中国が引き継ぎ検討》((2010年1月16日08時54分が伝えていた。
記事は政府関係者の話として、中国政府の内部文書に中国海軍がインド洋での給油活動に備え、訓練を行っていると明記されていること、また、2007年11月に野党だった民主党などの反対で給油の根拠法が失効して海自の給油活動が中断した際に中国軍関係者が米軍に対して自衛隊の活動を引き継ぎたいと非公式に打診したが、この時は米側は応じなかったと書いている。
〈実現すれば、中東から原油を運ぶ日本にとって重要な海上交通路で中国が影響力を強めることになり、撤収を決めた鳩山政権に批判が集まりそうだ。〉としているが、政治・経済・外交で存在感を増しつつある中国が国際貢献の面でも存在感を増すことになるだろう。逆に日本はカネを出すことでは存在感を維持しているが、自衛隊イラク派遣が憲法の制約を受けたものであっても、オランダ軍、後にオーストラリア軍に治安面を依存した構造の自律した派遣ではない実績であった分、存在感を欠いた国際貢献となっていたはずである。
日本が自衛隊イラク派遣で多大の貢献を果たしたとするのは、日本からのみ見た一国主義的な独善に過ぎないのではないだろうか。
外交に於ける自律的な政策決定と自律的な行動があって初めて大国としての責任を果すことができ、大国としての存在感も増すはずである。
――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
ハイチ政府が機能停止状態であることと損壊した刑務所からの囚人脱走や略奪による治安悪化、道路被害からの食料配布の停滞、あるいは配布中の食料の奪い合い等々と、「NHK」記事によると、地震の前から政治の混乱などによって100万人が食料支援が必要な状態だったが、12日の大地震で新たに少なくとも200万人が支援を必要とする状況となり、あわせて300万人、人口のおよそ3分の1が食料支援なしには生きられない状況となっていて、食料支援が追いつかない状況にあることから早急な治安の回復、滞りのない食料支援の実施、政府機能の回復等々の必要性からだろう、国連安保理はハイチの平和維持活動(PKO)に当たっていた国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に昨年11月時点で配置していた兵士7千人余りと警官2千人余りに加えて国連事務総長による増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を19日午前(日本時間20日未明)全会一致で採択したという(「47NEWS」記事から)。
日本が昨年11月派遣の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に加わっているというニュースはどこにも見当たらない。外務省のHPで調べたところ、「国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)」は「国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)」の名称で紹介している。
〈「任務」
(1)安全かつ安定的な環境の確保(武装解除・動員解除・社会復帰、警察・沿岸警備隊への支援等)
(2)政治プロセス支援(地方選挙、議会選挙及び大統領選挙に関する支援等)
(3)人権(女性や児童の人権擁護に関し暫定政府や人権団体との協力、帰還民・避難民の人権状況を監
督するためUNHCRと協力等)
「経緯・背景」
1.紛争の経緯
(1)2004年2月以降、反政府武装勢力は中北部の主要都市の警察署を占拠し、首都に進行する
旨公言し、治安状況が急速に悪化。同月29日、アリスティド大統領は出国し、アレクサンドル暫定
大統領が就任。
(2)同日、安保理は暫定多国籍軍(MIF)の即時展開を行う権限を与える内容の決議1529を採択。同
決議を受け、3千人強の暫定多国籍軍が展開。また、同決議は事務総長に対し、3ヶ月以内に展開
する後続の国連安定化部隊の規模、構成及び任務等に関する勧告の提出を要請した。
(3)3月12日、ラトルチュ元外相が暫定首相に就任し、同月17日に暫定内閣を組織した。
(4)4月20日、事務総長報告が発表され、多目的のマンデートを有する国連ハイチ安定化ミッション(
MINUSTAH)を当初24ヶ月間設立するよう提言した。
派遣規模(2007年8月31日現在)
文民警察要員1771名部隊要員7054名
要員派遣国(同上)
アルゼンチン、ベナン、ボリビア、ブラジル、ブルキナファソ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ、チャド、チリ、中国、コロンビア、クロアチア、DRコンゴ、コロンビア、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フランス、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ヨルダン、マダガスカル、マリ、モーリシャス、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、セネガル、スペイン、スリランカ、トーゴ、トルコ、米国、ウルグアイ〉――
日本の名前は載っていない。だが、カネは出していると胸を張って言える。同じく外務省HPから探してみた。
〈ハイチ共和国 最近の援助について(外務省HP/平成20年11月)
a.. ハイチ共和国におけるハリケーン災害に対する緊急無償資金協力について(平成20年9月19日)
b.. ハイチ共和国におけるハリケーン・ハンナ及びアイク被害に対する緊急援助について(平成20年9月10日)
c.. ハイチ共和国におけるハリケーン・グスタフ被害に対する緊急援助について(平成20年9月2日)
d.. 食糧援助(開発途上国における食料価格高騰への対応)の実施について(平成20年7月29日)
e.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じたコミュニティ開発支援無償資金協力
(ポルトープランスにおけるコミュニティ参加を通じた子供のための環境整備計画)に関する書簡の
交換について(平成20年3月13日)
f.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(「ハイチ共和国における予
防接種強化計画」)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
g.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
h.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年3月23日)
i.. ハイチ共和国南部被災農民向け食糧自給促進事業に対するFAO(国連食糧農業機関)を通じた貧困農
民支援について(平成19年2月27日)
j.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成18年11月18日)
k.. ハイチに対する食糧援助について(平成18年4月13日)
l.. ハイチ共和国総選挙に対する選挙監視要員の派遣について(平成18年2月1日)
m.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成17年11月23日)
n.. ハイチにおけるハリケーン災害に対する緊急援助について(平成17年7月15日) 〉――
ページ作成日が一昨年の「平成20年11月」、このページ以外は見当たらないから、これ以降の援助はないのだろう。但し地震発生を受けた「国際緊急援助隊の派遣」のページを見つけることができた。
〈ハイチにおける大地震災害支援のための国際緊急援助隊の派遣(平成22年1月16日)
我が国政府は、15日、ハイチにおける地震災害支援のために、国際緊急援助隊の派遣を決定しました。国際緊急援助隊・医療チーム(外務省職員、医師、看護師等24名)については、本16日午後9時頃、成田空港よりJICAチャーター機でマイアミに向け出発する予定です。
医療チームの人員及び機材については、マイアミからハイチまで自衛隊の輸送機(C-130)で輸送する予定です。現地での治安状況、安全確保対策等を確認した上で、早ければ17日にマイアミを発って、ハイチに入る予定です。 〉――
日本にとってハイチはやはり遠い国だったようだ。何しろ間に南北アメリカ大陸が遮っていて、ヨーロッパの国々の大西洋一足跳びのように太平洋を一足跳びとはいかない。だから、「医療チーム」の派遣も日本時間の13日午前7時前の地震発生から3日と14時間遅れの迅速な出発となったのだろう。
だが、同じアジアの国、中国は南北アメリカ大陸の壁をものとはせずに日本とは比較にならない迅速な派遣を行っているし、PKOにしても、〈国連の要請を受けて2004年以降、約150人で構成される警察部隊をハイチに派遣。治安維持や国連高官の警備などの任務に就いていた。〉と「msn産経」記事が伝えている。
但し、〈ハイチをはじめとするカリブ海や中央アメリカには、台湾と外交関係を持つ国が10余りあり、中国のハイチへの大規模な支援の背景には、この地域で中国の存在感を高めるとともに、台湾との外交関係の切り崩しを図るねらいもあるとの見方が出ています。〉(「NHK」)と、政治的思惑も加わった人道支援だと伝えている。
だとしても、国益という利害を何ら挟まない人道支援など存在するだろうか。大国の国際的責任と言いつつ、大国としての名前と信用獲得、大国としての外交的地位の確保も国益としてある利害であって、どこの国も何らかの利害を人道支援に絡ませているはずだ。
日本はカネも出さない、何も出さない経済大国だと思われたくない世界各国に向けた世間体を少なくとも抱えている。
民主党は政権獲得前に小沢一郎は党代表の立場で国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に政権を取った場合は自衛隊を参加させると勇ましいことを言っていた
「米国はもはや一国で国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能になっている。・・・・世界の平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく以外に論理的にも現実的にも他に方法がない」
「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要だ。・・・・国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する。・・・・私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」(asahi.com)
但し、次の制約を付け加えて、決定を自由自在・融通無碍の場所に置くことを忘れなかった。
「合憲なら何でもやるということではない。国連決議があっても実際に日本が参加するかしないか、どの分野にどれだけ参加するかはその時の政府が政治判断する」(同asahi.com)
自衛隊派遣に自ら決定の猶予を与えたが、国連決議が戦争放棄と武力行使の放棄を謳った日本国憲法第9条の判断要件とはならないとの自民党などからの批判を受けて、小沢代表の国連決議自衛隊派遣は鳴りを潜めることとなった。
そして政権交代。戦争絶対反対、自衛隊海外派遣絶対反対の社民党を連立政権内に抱えたからなのか、昨年11月の北澤防衛大臣のアフガンへの自衛隊派遣検討発言に対して鳩山首相が「小人数であっても、自衛隊員をアフガニスタンに派遣するということは望ましくない」(民主党HP)と否定、結局2009年11月に5年間で50億ドル(約4500億円)規模のアフガン民生支援策を閣議決定。
この50億ドル(約4500億円)は、2009年11月11日付の「asahi.com」記事――《総額優先、具体策固まらず アフガン支援に50億ドル》によると、「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」だとする外務省幹部の声を伝えて、アフガンに何が必要なのかを検討、計算した額ではなく、補給支援停止に見合う代償として弾いた額だとしている。
記事はこのことを岡田外務大臣の同年同月10日の記者会見の発言で補強している。
(支援額の根拠を問われて)「内訳を細かく積み上げたものではない」
それでも新支援策の内容としては具体策なしのまま三つの柱を掲げている。
(1)治安能力の向上――主たる眼目(警察支援)
(2)反政府勢力との和解と社会復帰――主たる眼目(反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練)
(3)持続的・自立的発展のための民生支援――主たる眼目(農村開発、インフラ整備)
記事は、警察支援も農村開発もインフラ整備もこれまで行ってきたメニューが殆んどで、反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練は目新しい政策だが規模や方法などの制度設計ができていない、タリバーンが勢力を強めるなか投降する兵士を確保できるか不透明だとの指摘もあると断じている。
言っていることは素晴らしいが、結果として世界平和構築に責任ある経済大国日本の軍隊派遣はアメリカ、その他の国に依存し、自衛隊派遣なしの、いわば片翼飛行の治安回復支援策となった。
日本は地震で被害を受けたハイチに500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを表明、そして医療チームを派遣した。
国連安保理が国連事務総長の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を全会一致で採択したのである。国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)は平和維持活動(PKO)だから、日本も自衛隊の派遣は可能となる。アメリカと協力してハイチの治安回復と平和構築に関わってはどうだろうか。世界の平和構築に向けた自衛隊派遣の実績を積むことによって、大国としての地位も存在感も確立可能となる。そういった発想はないのだろうか。
今年1月15日でインド洋で海上自衛隊の給油活動が期限切れとなり、撤収命令が出された。日本の海上自衛隊の撤収後、中国海軍が引き継ぐ方向で検討していると、「YOMIURI ONLINE」記事――《インド洋での給油活動、中国が引き継ぎ検討》((2010年1月16日08時54分が伝えていた。
記事は政府関係者の話として、中国政府の内部文書に中国海軍がインド洋での給油活動に備え、訓練を行っていると明記されていること、また、2007年11月に野党だった民主党などの反対で給油の根拠法が失効して海自の給油活動が中断した際に中国軍関係者が米軍に対して自衛隊の活動を引き継ぎたいと非公式に打診したが、この時は米側は応じなかったと書いている。
〈実現すれば、中東から原油を運ぶ日本にとって重要な海上交通路で中国が影響力を強めることになり、撤収を決めた鳩山政権に批判が集まりそうだ。〉としているが、政治・経済・外交で存在感を増しつつある中国が国際貢献の面でも存在感を増すことになるだろう。逆に日本はカネを出すことでは存在感を維持しているが、自衛隊イラク派遣が憲法の制約を受けたものであっても、オランダ軍、後にオーストラリア軍に治安面を依存した構造の自律した派遣ではない実績であった分、存在感を欠いた国際貢献となっていたはずである。
日本が自衛隊イラク派遣で多大の貢献を果たしたとするのは、日本からのみ見た一国主義的な独善に過ぎないのではないのではないだろうか。
外交に於ける自律的な政策決定と自律的な行動があって初めて大国としての責任を果すことができ、大国としての存在感も増すはずである。
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
中国の国際救助隊60人余が北京時間の13日午後8時30分に首都国際空港からハイチに向けて出発している。東京と北京の時間差は1時間程度だと言うから、日本時間の13日午前7時前の地震発生から約14時間前後の地震発生当日の迅速な出発となる。
“緊急”と名づけた調査チームなど送らなかったからできた迅速性であろう。
1月14日付「NHK」記事が〈アメリカ国務省によりますと、行方不明者の捜索にあたるチームが13日、被災地に入り、活動を開始したということです。〉と伝えている。
この「13日」は同じ記事でハワイで行われた日米外相会談が「12日」となっているが、「asahi.com」記事では〈12日午前(日本時間13日未明)となっているから、現地時間の「13日」だと分かる。地震発生現地時間12日午後5時前翌日の迅速な被災地入り、活動ということになる。
当然、アメリカにしても“緊急”と名づけた調査チームを派遣せずに実働部隊を直接派遣し、そのまま直接救援活動を開始したことになる。
フランスの場合は1月14日付「毎日jp」記事がドミニカ共和国ヒマニからの現地報告として伝えているから現地時間なのだろう、〈ハイチの旧宗主国フランスは13日、がれき撤去の専門家65人と行方不明者の捜索犬6頭を派遣。〉と書いていることからすると、地震発生の翌日には派遣、1月15日付12時9分の「NHK」記事が〈アメリカやフランス、中国など各国から到着した救助隊が救出活動を続けていますが、〉と伝えていることからして、少なくとも現地時間地震発生2日目の14日には救出活動を開始していたことが分かる。
フランスの場合も“緊急”と名づけた調査チームを派遣しなかった。
1月14日14時5分の「asahi.com」記事が、現地入りする国際救援チームとして〈ベルギー、イスラエル、ロシアからは「野営病院」の資材を空輸している。〉と伝えていることからすると、現地時間13日か14日には各国とも既に活動を開始していることが分かる。
一方日本は「インフラの被害が大きく、現地の情報がまったくつかめていないので、被災状況を含めてしっかり調査してきたい。 多くの被災者が出ているので、できるかぎりのことをしていきたい」として緊急調査チームを現地時間15日ハイチ入り予定で14日夜、成田空港から現地に向けて出発させている。
多分「被災状況を含めてしっかり調査」した現地の緊急調査チームから電話報告何かを受け取り、討議を重ねたのだろう。外務省は国際援助隊医療チームを17日に現地入りさせる予定で16日に成田を出発させている。既に大活躍しているに違いないが、現地時間15日にハイチ入りし、一日かそこらの現地調査でしっかりと調査し、そのようなしっかりとした調査に基づいてしっかりとした報告を作成、日本に伝えて、その報告に基づいてしっかりと議論し、当初の計画を作成、その作成に基づいて医療チーム派遣を決定したのだろうが、果して一日かそこらで「被災状況を含めてしっかり調査」できたのだろうか。
もし現地滞在の緊急調査チームから何の報告を受けないまま医療チームを出発させたとしたら、緊急調査チームの派遣は矛盾することになる。先進諸外国に後れを取ったことに気づいて、慌てて医療チームの派遣を決定したと疑えないことはない。
例え緊急調査チームからの報告を受けた医療チーム派遣の決定だとしても、諸外国は緊急調査チームの派遣という手続きを取らずに直接救援チームを派遣していて、そのような手続きを取ったのは日本ぐらいのものだという事実は残る。
また緊急調査チームの調査と医療チームなり、救助チームなりが派遣された現場の状況と違いがあったなら、緊急調査チームの調査は形式で終わる。実際の状況を知るのはそれぞれの現場に派遣されてその現場の状況に直面した者たちであろう。
そういうことなら、既に訓練を受け、災害現場を踏んでいる者も含めているだろうから、各種情報・知識を身体に叩き込んでいるはずである。先ず災害現場に飛び込んで、直面した現場の状況に応じてどうしたらいいか、どうすべきか自身の知識情報と経験と技術を駆使・応用させながら事に当たると同時に仲間とも議論して、その現場にふさわしい行動のルールを自らも学び、相互に助け合って組み立てていく臨機応変の応用力さえあれば、災害現場が異なっても、格好はついていくものではないだろうか。
なぜそういった直接行動が取れないのだろうか。
時間との戦いを迫られる災害現場に関しても前以ての調査を必要とするということは、調査報告をマニュアルとして必要とすることであろう。逆説するなら、調査から得たマニュアルがなければ、満足に行動を取ることができないことを示している。
自身の経験と知識情報を自分なりのマニュアルとして駆使して、それぞれの場にふさわしい自分なりの行動を創造していくことができないから、他者の作成したマニュアルを必要とし、そのマニュアルをなぞる行動しかできない。
だからこそ、日本人はマニュアル人間だと言われてきた。現在、そういった言葉が使われることは殆んどなくなったが、マニアル人間であることから卒業できているわけではない。下が上の命令・指示をマニュアルとして従うだけ、なぞるだけの権威主義的行動様式から抜け出れない限り、マニアル人間であり続けるにちがいない。
以前当ブログで書いたことだが、前サッカー日本代表監督のオシムの2003年の言葉が日本人のマニュアル性をよりよく言い当てている。
「日本人コーチに即興性、柔軟性、創造性が欠けているから、選手にもそれが欠ける。コーチが変わらないと選手は変わらない。そういう指導者からは、創造性に欠ける選手しか生まれない」
要するにサッカーの教え(マニュアル)どおりの動きしかできないと言っている。その場その場の攻守の局面に応じた直感的な臨機応変の動きができないと言っている。
オシムと同じことを現日本チーム監督の岡田武史氏もかつて言っている。
「コーチが言ったとおりのことをするだけではダメで、何をするか分からないというところがなければダメだ」
「コーチが言った」ことをマニュアルとして、「言ったとおりのことをするだけではダメ」だと言っている。
岡田監督の「何をするか分からないというところ」は、オシムの言う「即興性、柔軟性、創造性」を備えることによってよりよく表現可能となる。
だが、残念ながら、そういったことに欠けている。災害の場合でも、調査というマニュアルを最初に必要とし、マニュアルに従った行動を求める。先に行動し、行動と共に調査を作り上げていく応用力を持たない。
《民主党に夏の参院選挙で勝利させ、衆・参両院とも過半数とし、民主党政治を存分に発揮できる場を一度は与えてみたらどうだろうか―― |
マグニチュード7.0の地震発生――現地時間12日午後5時前(日本時間の13日午前7時前) |
カリブ海の島国ハイチで現地時間12日午後5時前、日本時間の13日午前7時前、マグニチュード7.0の地震が発生(NHK記事)、昨15日7時の民放ニュースでは西半球一の最貧国だという首都ポルトープランスの建物の多くを倒壊させ、電気や水道などのインフラを壊滅状態とする打撃を与え、被災者300万人、死者は5万人に上ると見られていると伝えていた。 |
民主党小沢幹事長の政治資金管理団体「陸山会」が秘書の宿舎を建てた4億にも上る土地購入資金は銀行の定期預金を担保に融資を受けた4億円だと説明したが、陸山会の事務担当者だった元秘書・石川知裕衆院議員は特捜部の調べに4億円は現金で小沢幹事長から渡されたと説明。しかも融資を受けた4億円を引き出した日時と土地代を支払った日時に後先の時間のズレが判明した。 |
一昨年(08年)暮れから翌(09年)年初にかけて住む家と仕事のない者に住まいと食事と仕事探しを提供する施設、NPOや労組開設の「年越し派遣村」の跡を受ける形で昨年暮れの12月28日から年初の1月4日までの8日間、国と東京都が国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)に「公設派遣村」を開設。 |