幕が下りた公設派遣村騒動の成果

2010-01-23 10:38:30 | Weblog

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。

 ――訂正謝罪――

 昨1月22日エントリーの記事――《岡田外務大臣のハイチ対応に見せた詭弁》でハイチ首都ポルトーフランスのテント村を視察した調査チームの団長を四宮信隆ハイチ大使と書くべきところを医療チームの二石昌人団長と書き間違えました。謝罪します。
 公設派遣村が1月18日、閉村となった。「asahi.com」記事――《家は決まっても職探しはこれから東京の「派遣村」終了》(2010年1月18日11時27分)が「派遣村」の問題点を提示している。

 一言で言うと、2010年1月14日エントリーの当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》に書いたとおり、求職1人に対して求人が半分にも満たない低い数値で有効求人倍率が推移している、ただでさえ仕事が見つからない悪化した雇用状況下では住む家がない、食事も満足に摂っていない生活条件を下げている失業者には仕事を見つけるのは困難なのだから、暮れから正月の間のみ住まいと食事の提供で終らせるべきところを、高い失業率に矛盾して就職斡旋にまで踏み込んだところに問題が生じたということなのだろう。

 記事は公設派遣村が結果として住まいと食事の一時的提供と生活保護の斡旋を主な仕事とし、就職斡旋は〈新しく仕事が決まった人はごく一部で、今後は通常の就労支援に引き継がれる。〉という解説で殆んど役に立たなかったことを書いている。

 〈通常の就労支援に引き継がれる〉としても、同じような就職困難な状況で推移することになるのは現在のところの有効求人倍率そのものが証明している。

 政府の要請を受けて都が派遣村を解説したのが昨年の12月28日、736人が渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで越年、1月3日には833人に増員。4日終了予定が生活再建のめどが立たない入居者が多く、562人を大田区の都の施設に収容し、支援を継続。

 15日の段階で支援対象になっていた約450人のうち、生活保護や住宅手当などの受給が決まったり、見通しが立ったりした入居者は420人。ほかの約30人は自主的に就職したり、故郷に帰ったりしたという。

 但し見通しが立ったりした入居者420人に関しても、就職については「ほぼ全員が決まっていない状態」(都福祉保健局)だそうだ。

 記事は都福祉保健局の言葉を伝えている。

 「住居がないと採用もされにくい。期間中に就職まで結びつけるのは難しかったが、今後は就職活動もしやすいはずなので、ハローワークなどを活用してほしい」――

 「住居がないと採用もされにくい」は最初から分かっていたことである。生活保護を受けて、それを資金に公営住宅やアパートに入居、自らの住居とした者を対象に、「今後は就職活動もしやすいはずなので」と言ったのだろうが、確かに就職条件として住まいがあるかないかの差は大きい。

 当然、「今後は就職活動もしやすいはず」となるだろうが、既に触れたように、そのことがそのまま就職に結びつくか結びつかないかはあくまでも有効求人倍率にかかってくる。有効求人倍率の上昇は景気回復を条件とするが、住まいを持つか持たないかを条件とはしていないからだ。

 いわば住まいを持つ者が増加したからといって、そのことがそのまま雇用状況に結びついて改善されるわけではない。

 結果として公設派遣村は生活保護受給を主たる成果とした。

 記事は昨冬の「年越し派遣村」村長で、緊急雇用対策担当の内閣府参与を務める湯浅誠氏の言葉を伝えている。

 「就労前には住居の確保が大切なため、利用者の約半数が生活保護を受けることになったのは一定の成果だ。ただ、求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない。次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」

 湯浅氏は生活保護受給を一定の成果としている。そして「求職件数が少ない状況は変わらず、職探しは楽観できない」と、雇用環境の厳しさに変化がないことを言い、「次の冬に派遣村を繰り返さないためには、たとえば行政が公園清掃の仕事を提供するなど、公的な雇用を検討する必要もある」と当ブログ《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書いたことを提案している。

 この提案を有効とするなら、最初から提案どおりの内容を実行していれば、交通費と昼食代を含めた2週間分就職活動費2万円を持ったまま行方不明となった、持ち逃げした、そのカネで施設内で飲酒した、大騒ぎしたといった騒動も起きないで済んだはずだ。

 また、生活保護受給の任務をなくすことができたと言わないが、少なくとも減らすことが出来たはずだ。

 生活保護を受給して公営住宅なり、アパートなりを住まいとした者の中には真面目にハローワークに通って仕事を探しても見つかりっこないと派遣村での仕事探しの経験から、あるいはそれ以前の経験から最初から諦めて、家賃と最低限の食事代を残して飲酒やパチンコに使ってしまう者が出てくるかもしれない。

 最初はハローワークに真面目に通って仕事を探したとしても、なかなか見つからなければ、次第に嫌気もさすだろうし、仕事探し自体を諦めて生活保護費をムダに費やすケースも多々出てくるかもしれないことは有効求人倍率からも証明できる。

 厳密には役にも立たないムダな支出とはなるが、ほかの部屋の住人に迷惑をかけさえしなければ、公金をどう使おうと、何をしようと自由となる。

 記事は派遣村運営の費用を次のように伝えている。

 〈都によると、政府が負担する期間中の費用は予定の6千万円を大幅に上回る1億数千万円になる見通しだ。 〉――

 「1億数千万円」 〉の中に継続的な支出となる生活保護費が含まれているのだろうか。生活保護受給者を400人と見積もって月に生活保護を10万受けるとしても、4000万円相当の公的なカネが月々消費されていく。

 だとしたら、やはり湯浅氏が提案しているような仕事をつくった方が利口だったということになる。例えその仕事が部屋を借り、食事していける生活可能範囲の報酬をペイできない、余分にカネを払うことになる赤字仕事であっても、少なくとも仕事をさせて稼いだカネで生活させるのである、正規の仕事が見つからないまま生活保護費を受給させっ放しにするよりはましではないだろうか。景気が回復して有効求人倍率が上昇するまでの我慢でもある。

 ペイできない赤字分を公設派遣村にかけた「1億数千万円」 〉で補填するとした場合、相当な日数に亘る膨大な仕事量を埋め合わせることができる計算となる。

 沖縄では路上生活者や失業者を対象に沖縄戦の遺骨収集事業に当たらせている。「NHK」記事――《失業者による遺骨収集を再開》(10年1月22日 16時29分)によると、那覇市で昨年12月まで行われていた路上生活者などを雇用する沖縄戦の遺骨収集事業が、地元の要望を受けて22日から2週間の日程で再開されたという。

 記事は書いている。

 〈那覇市が、国の緊急雇用対策の資金を活用し、路上生活者や失業者、およそ50人を雇用して遺骨収集を行ってきましたが、予算に限りがあるため、先月、終了していました。しかし、那覇市や沖縄県は、まだ多くの遺骨が残されているとして、国に事業の継続を要望した結果、厚生労働省が特例として支援することになり、22日から事業が再開されました。今回の事業は雇用対策が目的ではありませんが、請け負った業者が路上生活をしていた人や失業している人などを雇用する形を取り、毎日5人から10人が日給6000円で働いています〉――

 毎日5人から10人程度少人数の雇用だが、日給は6000円だというから、採用された者は2週間10日としても、6万円は稼げる。沖縄市としても遺骨収集といった短期間で終了する仕事で終わらせずに景気回復までの期間限定だとして、道路や市の施設の清掃、ビン・カン拾いなどの仕事を見つけて、最低限の生活が維持できる報酬を提供するべきではないだろうか。

 尤も景気が回復しても、何しろ失業率が最も高い地域である、仕事にありつけない就職希望者も大勢出ることになるだろうが、仕事にかかる費用をペイできない報酬を与える赤字となる対策であっても、少なくとも市が支出する生活保護費費を減額させることができるはずであるし、生活保護を受給させて仕事が見つからないまま放置しておくよりは市の財政にとっても、仕事を見つけることができて自分で働いて自分で報酬を得る市民にとっても健全と言える対策ではないだろうか。

 最後に、《有効求人倍率の証明に反した無意味な「公設派遣村」》で書き落としたが、富士山の清掃も一つの手である。財源は国や山梨県、静岡県といった地方自治体だけではなく、ジュースやビール、酒、ウイスキーといった飲料会社などにも資金を提供させたらいい。

 富士山の清掃を従事させるとしたら、東京といった遠隔地からバス等で通うのは時間とカネの無駄となるから、近くに廃校となった校舎とか廃業したホテル等があったなら、宿泊所として利用すればいい。

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岡田外務大臣のハイチ対応に見せた詭弁

2010-01-22 11:13:59 | Weblog

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
  
 1月21日に衆議院予算委員会がスタートした。国民新党の下地幹郎議員が北沢防衛大臣と岡田外務大臣にハイチ地震の対応について質問している。

 下地議員「あのー、1月の13日に、ハイチで発生した大地震について、我が国の対応について、お聞かせを頂きたいと思いますけど。岡田外務大臣の方でも、早々に援助金を決めたり、昨日は防衛省の方でも、緊急援助隊を決めたり、オー、100名規模、医官を中心にして、支援すると、いうようなことをお決めになったようでありますけども、防衛省について、今日も、あのー、朝のニュースを見ますと、また、震度6の地震があったと、いうことでありますから、継続的に支援をしていかなければ、なかなか経済的に厳しいところなんで、難しいんではないかと思いますけど、ま、今回もおやりになりましたけど、今後どうするつもりなのか、北沢大臣に一つ、ご答弁お願いいたします」

 北沢防衛大臣「お答えいたします。あの、ご案内のように13日の大地震がありまして、エー、翌日、外務省、JICA、防衛省と、あのー、それぞれ2名ずつの、オー、調査隊員を派遣いたしました。たまたま、アー、防衛省のC130が、アー、米国本土で訓練をいたしておりまして、あのー、帰国寸前でありましたんで、ええー、タイミングよく、ウー、この、ウー、帰国を中止させて、エー、マイアミへ、エー、回送させて、エー、そしてたまたまそこで、エー、援助物資を、あのー、経由させてあります、タイミングよく。ウー、そこから、アー、輸送させていただきました。

 また、アー、外務大臣から、米国の、あの、オー、から、米国人の避難民と、その、運んだ飛行機がカラで帰るんでは、なくて、エー、米国へ送って欲しいと、こういうことで、調整をいたしまして、エー、34名を、オー、米国本土へ、あの、送ったと、こういうことをいたしまして。

 まあ、あのオ、そののち、マイアミから、あのー、ハイチ間へ25名の第一隊を、あの、差し向けまして、既にご案内のとおり、医療活動をいたしております。そして今、お話がありましたように、昨日防衛会議を防衛省で行いまして、エー、ほぼ100名のオー、部隊を、オー、小牧を、オー、離陸して、成田から出発すると、いうことでありまして、ご質問のさらなる事態については、アー、先遣隊が行っておりますんで、あの、情勢報告を聞きながら、あの、対応をしていきたいと、このように思っております」

 答弁書か何か用紙を手に持って見ながらのこの流暢な発言だが、日本政府の迅速なハイチ対応に即した迅速テキパキとした答弁は管轄大臣の一人として流石である。

 下地「外務大臣も何かありますか?」

 岡田外務大臣「今回のハイチの、地震ですけれども、色々ご意見も頂いております。ウー、もっと早くできなかったかとー、ォ、調査隊を出す、のではなくて、最初から緊急支援隊を送るべきではなかったかと。こういうご意見もございます。その辺りについて、十分ー、これから検証しなければならないと、いうふうに思いますが、ただ一つ申し上げておきたいことは、ま、ハイチの現状であります。つまりPKO部隊が大量に派遣をされて、そして、エ、平和維持活動を行っているという、そういう状況にある。ま、そこに、日本のですね、緊急支援隊を送り出す。エー、ご存知のように緊急支援隊、閣議決定によって武器の帯行(たいこう)、あの、スイコウ(携行の間違いか)は認めないと、おりません(「認めておりません」と言いたかったのだろう)。

 エー、丸腰の緊急支援隊を出すときに、いきなり送って、エー、大丈夫かと、当然そういうご心配は、アー、あると、いうふうに思います。従って、ま、最初、調査隊を出しまして状況をよく把握した上で、出させていただいたと、そういうことでございます。


 ま、この辺りについて、え、ほかに、イー遣り方がなかったのかと、いうことについて、よく検証する必要があると思いますが、しかし、緊急支援隊の安全ということも同時に、考えなければいけない。これ閣議決定されていることですし、付帯決議もあることですから、あー、そういうことも含みながらですね、エー、今回のことを、まあ、一つ、ウー、よく検証してみたいと考えているところであります。

 政府としては、アー、でき得る限り迅速に送らせていただいたと、いうふうに考えているところでございます

 下地「まあ、ニーズをね、よく見極めて、相手の国が何を必要としているのか、いうことをよく見つめて、頑張っていただきたい。まあ、あの、エー、早いか遅いかよりも、効果が出るようなことをですね、きちっとやってもらいたいというふうに思いますね。(鳩山首相への政府予算の特長を問う質問に移る。)」――(以上)――

 下地議員の「早いか遅いかよりも、効果が出るようなことをですね、きちっとやってもらいたいというふうに思いますね」は同じ与党の立場から政府の対応の遅れを擁護し、免罪符を与えようとする意図を持たせた発言であろう。

 擁護し、免罪符を与える代償に大災害発生の際の医療や行方不明者の捜索を通した人命救助に関わる「時間との戦い」という大事な認識を犠牲にし、自らを非情な人間に貶めることとなった。

 阪神大震災では県知事の自衛隊出動要請が遅れ、自衛隊も偵察飛行機を飛ばして被害の甚大さを把握し、部隊に出動命令を出していながら、規則に杓子定規に従って県知事の出動要請がくるのを待ち続けて人命救助に遅滞を来たした。その結果、救える命の多くを失うことになったはずだ。

 災害発生の初期に於いては、「早いか遅いか」が何よりも重要な人命救助要素となり得ることを特に国民の生命を預かる国会議員が誰よりも自らの認識としなければならないはずだが、それを捨てて、「早いか遅いかよりも、効果が出るようなことを」と相反する結果となる矛盾したことを平気で口にしている。

 また、「相手の国が何を必要としているのか、いうことをよく見つめて」と言っているが、「よく見つめ」なくても、災害発生時に初期的には何を必要としているのかのパターンは大体決まっていて、人命救助、医療支援、食料や水の確保等々を既定事実としていると前のブログで書いた。

 岡田大臣は、ハイチは平和活動のPKO部隊が派遣されている危険地帯だから、武器の携行を許されていない医療チームを丸腰で出すわけにいかないから、最初に調査隊を出した、最初から医療チームを派遣しなかった決定は間違いではなかったと言っている。

 これは図々しい詭弁というものだろう。

 では、医療チーム派遣に先立って派遣した緊急調査隊は武器を携行しての派遣だったのだろうか。どの記事にも武器を携行しての調査だと書いてはいないし、調査チームの四宮信隆団長がテント村を視察し、その様子をビデオカメラに収めたというNHKの動画にも武器携行の様子は見えないし、他国PKO部隊員の護衛を受けて調査している様子も窺うことができなかった。

 調査チームが武器を携行した派遣でないなら、医療チームの武器を携行しない派遣にしても、ハイチの活動条件は同じとなる。生まれて初めて飛行機に乗って、それが墜落して死亡してしまう人間もいれば、何十回となく乗って、一度も墜落しない人間もいるように、長期滞在と短期滞在の違いの危険は判定困難ということからすると、医療チームの丸腰だけが危険で、調査チームの丸腰は危険でないとすることはできないはずだ。それをさも医療チームの丸腰のみを危険だとしている。詭弁でなくて、何と言ったらいいのだろうか。

 大体が調査チームの派遣が日本時間の1月13日午前7時前マグニチュード7.0の地震発生と同時に準備、準備が出来次第の出発なら迅速な対応と言えるが、地震発生から1日半以上経過した14日夜の成田発となっている。
 
 医療チームはさらに2日遅れて、1月16日夜9時の成田出発。

 もしも最初に調査チームを派遣して、安全に医療活動できるかどうかを調査してから医療チームを派遣することを予定していて、そういった趣旨の調査チームの先遣であったなら、政府が緊急調査チームの派遣の発表を行った1月14日の時点でそういた予定を説明すべきだったろう。

 何も説明しなかったことは、武器携行不可の医療チームを危険なハイチに丸腰で派遣することはできない云々は詭弁となる後付の弁解に過ぎないことの証明となる。

 岡田外務大臣は緊急調査チームが首都ポルトープランスで被災状況の調査開始した1月16日より1日前の、何も調査に着手していないはずの1月15日に国際援助隊医療チームの派遣を発表しているが、1月15日の国際援助隊医療チーム派遣発表時に記者の、「アメリカやフランスや中国から較べると、若干遅れたかなと思いますが?」の質問に答えて、「現地はかなり混乱している。具体的ニーズは何処にあるかという事を踏まえて出すというのは必ずしも間違った対応ではない」と十分な事前調査の必要性を説いていたことと矛盾する医療チーム派遣の発表となっていたのではないだろうか。いわば調査チームがハイチの安全確認調査を行わないうちに医療チーム派遣の発表を行っている。

 勿論、調査チームから安全確認の報告を受けた場合、直ちに出発できるように派遣の発表を前倒しする例はあるだろうが、何の説明もなかったのだから、発表は調査結果に左右される内容ではなく、決定を前提としていたことになる。いわば調査内容に関係なく、医療チームの派遣は決定されていた。

 調査チームのハイチでの調査は何のためだったのだろうか。緊急調査チームが首都ポルトープランスで被災状況の調査を開始したのは1月16日。同じ1月16日午後9時頃に国際緊急援助隊・医療チームは成田を出発している。

 医療チーム派遣が前倒しの発表だったとしても、医療チームが日本を発つまでに調査チームが調査に丸々1日かける時間はなかったはずで、このことも岡田大臣の十分な事前調査の必要性に反する。

 十分な事前調査を待ってからの医療チームの派遣では他国の医療チームや救援チームが地震発生から早い時間に既に活動している手前もあり、遅い印象を与えるといった理由で、調査を待たずに日本を出発させ、丸腰だからとハイチの安全な場所で待機させるという手もある。なるべく近場に待機させて、報告があり次第活動させれば、日本で待機して出発するよりは実際の活動までの時間が短縮できる。

 毎日jp記事が、〈機能が低下している首都ポルトープランスの国際空港を米国管理下で運用することでハイチ政府と合意〉したと伝えているのは「2010年1月16日 19時53分」、現地時間に直して16日午前6時前後には既に米国管理下にあったことになる。

 医療チームがハイチ首都ポルトープランスの空港に到着したのは1月18日午前3時(現地時間17日午後1時過ぎ)だから、空港は安全が保障される。

 だが、そういう方法を採用するなら、医療チームは調査チームが出立した1月14日夜に調査チームと共に成田を発ち、調査チームが行ったと同じ1月15日午後ハイチ隣国ドミニカ共和国首都サントドミンゴ到着を共に行い、そこを調査チームの安全確認の調査が完了するまでの医療チームの近場の待機場所としてもよかったはずだ。

 だとしても、調査チームの医療チームと同じ条件下にある丸腰の問題が解決するわけではない。そもそもからして岡田外相の国会答弁が詭弁だから、解決しないことになる。

 医療チームの安全は他国PKO部隊に依頼してもよかったはずなのだから、丸腰論は通用しない。依頼を断られた時点で、丸腰論は通用する。だが、そういった手続きを取った様子はない。

 時事ドットコム記事――(《重傷者の処置に追われる=日本の医療チーム-ハイチ大地震》が、現地時間か日本時間なのか書いていないが、レオガンでの医療チームの治療開始を「18日から」と伝え、〈前日に現地入りした際、医療チームを出迎えた避難所の人たちの笑顔と歓声とは打って変わり、この日、テント張りの診療所からは絶え間なく処置の痛みに耐える患者の悲鳴が響いた。〉(2010/01/19-11:55)と書いているから、兎に角現地入りから治療開始まで1日経過していたことになる。

 記事は治療開始18日の医療チーム二石昌人団長の言葉を伝えている。

 「負傷者が多いが、(治療を)引き継いでくれる地元の病院が機能していない。(日本の)長期的な関与が必要だ。・・・・自衛隊には物資調達や災害地で活動するノウハウがあり、数カ月にわたり安定した医療支援ができる」

 そして記事は。〈この考えは同日、医療チームの診療所を訪れた防衛省の調査団に伝えられた。〉と書いている。

 この調査団というのは1月18日に防衛省が現地や周辺国のドミニカ共和国、米国に派遣した自衛隊員12人の調査チームのことを指すのだろう。

 そして約2日後の1月20日午後、北沢防衛大臣が100名の医官・看護師からなる自衛隊医療部隊の派遣命令を出した。

 この派遣命令は北沢防衛相が先に書いた国会答弁で流暢に、「昨日(20日のこと)防衛会議を防衛省で行いまして、エー、ほぼ100名のオー、部隊を、オー、小牧を、オー、離陸して、成田から出発すると、いうことでありまして」と言っているから、医療チーム二石昌人団長が医療チームの診療所を訪れた防衛省の調査団に18日に伝えたという、いわば自衛隊医療チーム派遣要請を受けた措置であろう。

 1月18日の当ブログ《ハイチ地震、緊急調査チームを送ったのは日本だけではないのか》に、〈緊急調査チームの調査と医療チームなり、救助チームなりが派遣された現場の状況と違いがあったなら、緊急調査チームの調査は形式で終わる。実際の状況を知るのはそれぞれの現場に派遣されてその現場の状況に直面した者たちであろう。

 そういうことなら、既に訓練を受け、災害現場を踏んで各種情報・知識を身体に叩き込んでいるはずである。先ず災害現場に飛び込んで、直面した現場の状況に応じてどうしたらいいか、どうすべきか自身の知識情報と経験と技術を駆使・応用させながら事に当たると同時に仲間とも議論して、その現場にふさわしい行動のルールを自らも学び、相互に助け合って組み立てていく臨機応変の応用力さえあれば、災害現場が異なっても、格好はついていくものではないだろうか。

 なぜそういった直接行動が取れないのだろうか。〉と書いたが、調査チームの調査によってではなく、現場に派遣されてその現場の状況に直面した医療チームが実際の状況を知って得た情報からの自衛隊派遣要請に日本政府が跡付けに従ったことになる。

 地震発生1月13日午前7時前から約9日前後経過したのちの初めての満足しうる人員と医療設備を伴ったまともな緊急医療チームの派遣となった。

 しかし先遣の医療チームにしても地震発生から約5日遅れの現地入りで、政府の対応の遅れが救い得た命の多くを救い得ない場所に追いやったことは間違いない。

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情報把握と分析能力を欠いた杜撰計画のハイチ支援

2010-01-21 10:47:22 | Weblog

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。

 防衛省が地震被害のハイチへ自衛隊医療部隊を派遣することを決定、北澤防衛大臣が20日午後に部隊の派遣命令を出したと「NHK」記事――《ハイチへ 自衛隊部隊派遣命令》が伝えている。

 医官や看護師などおよそ100人規模の編成だそうだ。今日21日の夜に日本を出発し、先に派遣した国際援助隊・医療チームと同様にアメリカのフロリダから自衛隊のC130輸送機で被災地入りするという。派遣場所も国際援助隊・医療チームと同じハイチ首都・ポルトープランスから約40キロのレオガン市。

 但し派遣人数は国際援助隊・医療チームの24名に対して100人規模と桁違いに多くなっている。国際援助隊・医療チームは外務省の職員も含まれているから、医師・看護師は20名前後といったところではないだろうか。自衛隊医療部隊も治療施設周辺の治安の役目を担うとしたら、100名が100名とも医療従事者と限らないかもしれない。

 記事は日本政府は〈さきに派遣したJICA・国際協力機構などの医療チームに加え、新たな支援を検討してき〉たと、政府はさも引き続いての計画であったように思わせているが、「NHK」記事――《日本の緊急援助隊 活動開始》(10年1月19日 6時59分) は、「地震発生から5日たって容体が悪化する負傷者が増えており、医療活動は難航して」いること、「持ち込んだ機材や医薬品では症状の重い患者に十分な治療を施せない」と医師の言葉を通して先遣隊の進捗困難な治療状況を伝えているが、そういった連絡が外務省にも入ったはずで、満足な医療体制が取れていないことに加えて国際援助隊・医療チームの派遣が他国に遅れたことで国としての評価を上げにくい懸念から、緊急に増員の必要に迫られ、それが20名前後から100名前後の桁違いに多い自衛隊医療部隊の派遣の決定となったといったところではないだろうか。

 少なくもと最初から必要としていたはずだが、必要とは考えずに24名で済ませ、100名の自衛隊医療部隊の派遣とはならなかった。

 地震発生は日本時間の13日午前7時前だが、気象庁なり外務省なりにその情報が連絡されるのは地震発生からそれ程時間が経過してからではないだろうし、あるいはアメリカのマスメディアがいち早くキャッチできたはずで、各国の支局に連絡する過程で日本のマスメディアにもその情報が早い時間に入ったはずで、事実「asahi.com」記事が「2010年1月13日12時52分」という地震発生当日の昼の時点で、マグニチュード7.0という地震の規模の大きさと、〈大統領官邸や国会議事堂をはじめとする官公庁やホテル、病院などが軒並み倒壊し、一部が炎上。多数の死傷者が出ている。〉という書き方で被害が首都に集中していること、さらに数千人の生き埋めの可能性を伝えているし、翌昼前の「2010年1月14日11時50分」「asahi.com」記事が、ハイチ首相の〈倒壊した建物の範囲からの推計として死者数が「10万人を優に上回る」とCNNに語った〉こと、米政府の話として、首都ポルトープランスの空港管制塔の機能喪失とそのことによる輸送機が離着陸不明状態、港の桟橋の損壊による支援物資の陸揚げに支障が生じていること、刑務所の倒壊による受刑者の脱走、そして13日の世界銀行の予想として地震の被害額が「少なくともハイチの国内総生産の15%分に達するのではないか」とする発表を伝えていることから、ハイチが中南米最貧国ということなら、その国内総生産の15%分の被害がどれ程に甚大か想像できる情報としなければならなかったはずである。

 さらに同記事は世銀が1億ドルの緊急支援を行うと発表、国連も1千万ドルを拠出すると表明したことを伝えているし、日本政府も翌14日に500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金の緊急支援を発表しているが、世銀の1億ドルと国連の1千万ドルから割り出した500万ドルといったところだと思うが、それぞれの金額が建物や道路といった物的被害のみならず、物的被害に対応した人的被害の程度を表しているはずだから、金額からも地震被害の規模を情報として解読しなければならなかったはずである。

 さらに同じ「2010年1月14日」午後「14時5分」「asahi.com」記事は国際救援隊27チームがハイチ入りしたことと中国の救援チームが13日夜、現地に向け出発したことを伝えている。

 合わせて28チームの国際救援隊が迅速な行動に出たということはその時点までのハイチ首相の死者数が「10万人を優に上回る」やその他の情報と合わせて、そのまま人的被害の甚大さを物語っていたはずである。地震発生日本時間の13日午前7時前から左程遅くない時間から岡田外務大臣が国際援助隊・医療チーム派遣の発表を行った1月15日までの約2日間にマグニチュード7.0という地震規模の大きさの情報と外務省なりに直接入ってくる情報、マスコミが伝える各種情報等々から、日本政府は被害の全体像をかなり大幅に把握できていたはずであるし、把握していなければならなかったはずである。

 各自が把握した情報を詳細に議論・検討した成果が国際援助隊・医療チーム24名、実質20名前後の派遣決定となって現れたということなのだろう。

 国際援助隊・医療チーム24名派遣の発表は地震発生日本時間の13日午前7時前から約2日経過した1月15日。情報分析に費やすには飽きる程に十分な2日間だったに違いない。医療チームは16日夜に成田空港を出発、マイアミ経由で17日午後1時(日本時間18日午前3時)過ぎ、航空自衛隊のC130輸送機でハイチの首都ポルトープランスの空港に到着、治療地レオガンは首都から40キロのところだと言うから、道路事情や準備時間を考慮すると、18日からの治療開始ではなかっただろうか。

 そして治療開始後たった2日後の1月20日午後、北澤防衛大臣が自衛隊医療部隊の派遣命令。最初の24名、実質20名前後の編成から桁違いに多い自衛隊医療部隊の100名前後の編成から探ることができる情報は最初の実質20名前後の人数不足を補って挽回するためと同時に諸々の地震情報・被害情報を駆使、詳細に議論・検討して最初の優れた決定を下した先見の明を補って帳消しとするために100名前後という桁違いの大人数を必要としたということではないだろうかということである。

 いわば現状不適合の中途半端な計画・決定の欠陥を隠し、補って体裁をそれとなく整えるための後付の場当たり的・応急的な追加措置が100名という人数に表れたということではないだろうかということである。

 その証拠として挙げることができるのは最初に派遣された医療チームの「国際緊急援助隊が持ち込んだ機材や医薬品では症状の重い患者に十分な治療を施せない」という言葉である。医師・看護師の人数もさることながら、より高度な医療器材とより重症用の医薬品を必要としていることが窺えるが、そうであるにも関わらず、24名前後を補う100名前後にウエイトを置いた派遣となっているところに場当たり的・応急的な追加措置の気配を否応もなしに感じ取ってしまう。

 このことは最初に派遣された医療チーム自体にも言えることではないだろうか。「地震発生から5日たって容体が悪化する負傷者が増えており、医療活動は難航」していると言っているが、マグニチュード7.0の巨大地震発生の情報に接した時点で救助や治療は時間との戦いとなるであろうという予想を派遣の前提としていなければならないはずで、前提としていたなら、現地入りが遅れた分、ごく当然の予定事項としなければならない事態であって、最初から覚悟しなければならなかった状況であるにも関わらず、覚悟していなかった発言となっているところを見ると、最初の計画・決定からして場当たり的・応急的であったままを引きずって現地入りしたからではないだろうか。

 被害の状況を迅速且つより正確に把握した計画・決定であったなら、それ相応の迅速さとそれ相応の人数とそれ相応の機材と医薬品とそれ相応の覚悟を備えた派遣と、そういった内容に応じた迅速な現地入りとなっただろうから、「地震発生から5日たって」云々の言葉は生じなかったはずである。

 その逆の場当たり的・応急的計画・決定であったからこそ、「地震発生から5日たって」となった。

 また医者なのだから、「持ち込んだ機材や医薬品」がどの程度までの症状に役立つか、前以て既定事実としていなければならない知識であろう。地震発生の場合の既定事実としなければならない何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)に従った的確な判断からも、「持ち込んだ機材や医薬品」で十分治療が可能と考えたから、「持ち込んだ」のであって、それが役に立たないということなら、現地入りした医者も含めて派遣を計画・決定した者たちの情報把握能力のお粗末さを嘆くしかない。

 ハイキング目的で軽装で標高の高い山に出かけた結果、予期しない天候悪化で遭難状況に陥ったといったところではないのか。想定可能としなければならないパターンとしてある事態を想定できなかった杜撰なスケジュールで派遣決定をしたとしか思えない。

 このほかにも場当たり的・応急的計画・決定であったことの証明を挙げることができる。

 ハイチに対して国際機関を通じて500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを日本政府は決定したが、外務省幹部はこの決定を、「他国にひけをとらないぐらいの額はかき集めた」asahi.com)ものだと言っている。

 また民主党政府が海上自衛隊による8年間のインド洋での給油支援活動に代えてアフガニスタンへの民生支援として拠出を閣議決定した5年で50億ドルという金額に関しても、外務省幹部は「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」(別asahi.com)だとして算出したものだとしている。

 いわばハイチにしてもアフガンにしても、何が必要なのか、様々な情報を可能な限り集めて、そこから具体的必要性を勘案して弾き出した具体的な金額ではなく、ハイチの場合は、先に世銀の1億ドルと国連の1千万ドルから割り出した日本政府の500万ドルといったところだと書いたが、多分基準としたのだろう、ほかの拠出支援金との辻褄合わせで、アフガンの場合は補給支援停止との辻褄合わせで捻り出した、やはり場当たり的・応急的な金額算出だと分かる。そして政治家側がそれを了とした。

 このような場当たり的・応急的な予算編成しかできない官僚と政治家がハイチ地震を受けて迅速な援助活動をできなかったとしても不思議はない。

 上記場当たり的・応急的例からすると、最初の医療チーム24名派遣も各種情報を迅速に収集、的確に把握・分析して具体的必要性を勘案、計画立て決定したものではなく、この程度で他国の派遣と較べて遜色ないだろうと他国の派遣と辻褄を合わせる形で決定した派遣ではなかったろうか。

 情報把握能力と分析能力にすべてがかかっているが、迅速な行動がなかったことからすると、これらを欠いていた見られても、仕方はあるまい。

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日本政府はハイチに自衛隊を派遣して、アメリカを支援、世界平和構築に貢献する発想はないのだろうか

2010-01-20 07:48:24 | Weblog

 

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。



 ハイチ政府が機能停止状態であることと損壊した刑務所からの囚人脱走や略奪による治安悪化、道路被害からの食料配布の停滞、あるいは配布中の食料の奪い合い等々と、「NHK」記事によると、地震の前から政治の混乱などによって100万人が食料支援が必要な状態だったが、12日の大地震で新たに少なくとも200万人が支援を必要とする状況となり、あわせて300万人、人口のおよそ3分の1が食料支援なしには生きられない状況となっていて、食料支援が追いつかない状況にあることから早急な治安の回復、滞りのない食料支援の実施、政府機能の回復等々の必要性からだろう、国連安保理はハイチの平和維持活動(PKO)に当たっていた国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に昨年11月時点で配置していた兵士7千人余りと警官2千人余りに加えて国連事務総長による増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を19日午前(日本時間20日未明)全会一致で採択したという(「47NEWS」記事から)。

 日本が昨年11月派遣の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に加わっているというニュースはどこにも見当たらない。外務省のHPで調べたところ、「国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)」は「国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)」の名称で紹介している。
                  
 〈「任務」

 (1)安全かつ安定的な環境の確保(武装解除・動員解除・社会復帰、警察・沿岸警備隊への支援等)
 (2)政治プロセス支援(地方選挙、議会選挙及び大統領選挙に関する支援等)
 (3)人権(女性や児童の人権擁護に関し暫定政府や人権団体との協力、帰還民・避難民の人権状況を監
    督するためUNHCRと協力等)

 「経緯・背景」

 1.紛争の経緯

 (1)2004年2月以降、反政府武装勢力は中北部の主要都市の警察署を占拠し、首都に進行する
    旨公言し、治安状況が急速に悪化。同月29日、アリスティド大統領は出国し、アレクサンドル暫定
    大統領が就任。

 (2)同日、安保理は暫定多国籍軍(MIF)の即時展開を行う権限を与える内容の決議1529を採択。同
    決議を受け、3千人強の暫定多国籍軍が展開。また、同決議は事務総長に対し、3ヶ月以内に展開
    する後続の国連安定化部隊の規模、構成及び任務等に関する勧告の提出を要請した。

 (3)3月12日、ラトルチュ元外相が暫定首相に就任し、同月17日に暫定内閣を組織した。

 (4)4月20日、事務総長報告が発表され、多目的のマンデートを有する国連ハイチ安定化ミッション
    (MINUSTAH)を当初24ヶ月間設立するよう提言した。

 派遣規模(2007年8月31日現在

 文民警察要員1771名部隊要員7054名

 要員派遣国(同上)

 アルゼンチン、ベナン、ボリビア、ブラジル、ブルキナファソ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ、チャド、チリ、中国、コロンビア、クロアチア、DRコンゴ、コロンビア、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フランス、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ヨルダン、マダガスカル、マリ、モーリシャス、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、セネガル、スペイン、スリランカ、トーゴ、トルコ、米国、ウルグアイ〉――

 日本の名前は載っていない。だが、カネは出していると胸を張って言える。同じく外務省HPから探してみた。

 〈ハイチ共和国 最近の援助について(外務省HP/平成20年11月

a.. ハイチ共和国におけるハリケーン災害に対する緊急無償資金協力について(平成20年9月19日)
b.. ハイチ共和国におけるハリケーン・ハンナ及びアイク被害に対する緊急援助について

 (平成20年9月10日)
c.. ハイチ共和国におけるハリケーン・グスタフ被害に対する緊急援助について(平成20年9月2日)
d.. 食糧援助(開発途上国における食料価格高騰への対応)の実施について(平成20年7月29日)
e.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じたコミュニティ開発支援無償資金協力
 (ポルトープランスにおけるコミュニティ参加を通じた子供のための環境整備計画)に関する書簡の交換
 について(平成20年3月13日)
f.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(「ハイチ共和国における予
 防接種強化計画」)に関する書簡の交換
 について(平成19年12月4日)
g.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
h.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年3月23日)
i.. ハイチ共和国南部被災農民向け食糧自給促進事業に対するFAO(国連食糧農業機関)を通じた貧困農
 民支援について(平成19年2月27日)
j.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成18年11月18日)
k.. ハイチに対する食糧援助について(平成18年4月13日)
l.. ハイチ共和国総選挙に対する選挙監視要員の派遣について(平成18年2月1日)
m.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成17年11月23日)
n.. ハイチにおけるハリケーン災害に対する緊急援助について(平成17年7月15日) 〉――

 ページ作成日が一昨年の「平成20年11月」、このページ以外は見当たらないから、これ以降の援助はないのだろう。但し地震発生を受けた>「国際緊急援助隊の派遣」のページを見つけることができた。

 〈ハイチにおける大地震災害支援のための国際緊急援助隊の派遣(平成22年1月16日)

 我が国政府は、15日、ハイチにおける地震災害支援のために、国際緊急援助隊の派遣を決定しました。国際緊急援助隊・医療チーム(外務省職員、医師、看護師等24名)については、本16日午後9時頃、成田空港よりJICAチャーター機でマイアミに向け出発する予定です。

 医療チームの人員及び機材については、マイアミからハイチまで自衛隊の輸送機(C-130)で輸送する予定です。現地での治安状況、安全確保対策等を確認した上で、早ければ17日にマイアミを発って、ハイチに入る予定です。 〉――

 日本にとってハイチはやはり遠い国だったようだ。何しろ間に南北アメリカ大陸が遮っていて、ヨーロッパの国々の大西洋一足跳びのように太平洋を一足跳びとはいかない。だから、「医療チーム」の派遣も日本時間の13日午前7時前の地震発生から3日と14時間遅れの迅速な出発となったのだろう。

 だが、同じアジアの国、中国は南北アメリカ大陸の壁をものとはせずに日本とは比較にならない迅速な派遣を行っているし、ハイチPKOも、〈国連の要請を受けて2004年以降、約150人で構成される警察部隊をハイチに派遣。治安維持や国連高官の警備などの任務に就いていた。〉と「msn産経」記事が伝えている。

 但し、〈ハイチをはじめとするカリブ海や中央アメリカには、台湾と外交関係を持つ国が10余りあり、中国のハイチへの大規模な支援の背景には、この地域で中国の存在感を高めるとともに、台湾との外交関係の切り崩しを図るねらいもあるとの見方が出ています。〉(「NHK」)と、政治的思惑も加わった人道支援だと伝えている。

 だとしても、国益という利害を何ら挟まない人道支援など存在するだろうか。大国の国際的責任と言いつつ、大国としての名前と信用獲得、大国としての外交的地位の確保も国益としてある利害であって、どこの国も何らかの利害を人道支援に絡ませているはずだ。

 日本はカネも出さない、何も出さない経済大国だと思われたくない世界各国に向けた世間体を少なくとも抱えていて、そういったいわば強迫観念からの糸目を付けないカネのみのバラ撒きであろう。

 民主党は政権獲得前に小沢一郎は党代表の立場で国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に政権を取った場合は自衛隊を参加させると勇ましいことを言っていた

 「米国はもはや一国で国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能になっている。・・・・世界の平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく以外に論理的にも現実的にも他に方法がない」

 「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要だ。・・・・国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する。・・・・私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」(asahi.com

 但し、次の制約を付け加えて、決定を自由自在・融通無碍の場所に置くことを忘れなかった。

 「合憲なら何でもやるということではない。国連決議があっても実際に日本が参加するかしないか、どの分野にどれだけ参加するかはその時の政府が政治判断する」(同asahi.com

 自衛隊派遣に自ら決定猶予を与えたが、国連決議が戦争放棄と武力行使の放棄を謳った日本国憲法第9条の判断要件とはならないといった自民党などからの批判を受けて、小沢代表の国連決議自衛隊派遣は鳴りを潜めることとなった。

 そして政権交代。戦争絶対反対、自衛隊海外派遣絶対反対の社民党を連立政権内に抱えたからなのか、昨年11月の北澤防衛大臣のアフガンへの自衛隊派遣検討発言に対して鳩山首相が「小人数であっても、自衛隊員をアフガニスタンに派遣するということは望ましくない」(民主党HP)と否定、結局2009年11月に5年間で50億ドル(約4500億円)規模のアフガン民生支援策を閣議決定。

 この50億ドル(約4500億円)は、2009年11月11日付の「asahi.com」記事――《総額優先、具体策固まらず アフガン支援に50億ドル》によると、「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」だとする外務省幹部の声を伝えて、アフガンに何が必要なのかを検討、計算した額ではなく、補給支援停止に見合う代償額だとしている。

 記事はこのことを岡田外務大臣の10日の記者会見の発言で補強している。

 (支援額の根拠を問われて)「内訳を細かく積み上げたものではない」

 それでも新支援策の内容としては具体策なしのまま三つの柱を掲げている。
 
 (1)治安能力の向上――主たる眼目(警察支援)

 (2)反政府勢力との和解と社会復帰――主たる眼目(反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練)

 (3)持続的・自立的発展のための民生支援――主たる眼目(農村開発、インフラ整備)

 記事は、警察支援も農村開発もインフラ整備もこれまで行ってきたメニューが殆んどで、反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練は目新しい政策だが規模や方法などの制度設計ができていない、タリバーンが勢力を強めるなか投降する兵士を確保できるか不透明だとの指摘もあると断じている。

 言っていることは素晴らしいが、結果として世界平和構築に責任ある経済大国日本の軍隊派遣はアメリカ、その他の国に依存し、自衛隊派遣なしの、いわば片翼飛行の治安回復支援策となった。

 日本は地震で被害を受けたハイチに500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを表明、そして医療チームを派遣した。

 国連安保理が国連事務総長の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を全会一致で採択したのである。国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)は平和維持活動(PKO)だから、日本も自衛隊の派遣は可能となる。アメリカと協力してハイチの治安回復と平和構築に関わってはどうだろうか。世界の平和構築に向けた自衛隊派遣の実績を積むことによって、大国としての地位も確立可能となる。そういった発想はないのだろうか。

 今年1月15日でインド洋で海上自衛隊の給油活動が期限切れとなり、撤収命令が出された。日本の海上自衛隊の撤収後、中国海軍が引き継ぐ方向で検討していると、「YOMIURI ONLINE」記事――《インド洋での給油活動、中国が引き継ぎ検討》((2010年1月16日08時54分が伝えていた。

 記事は政府関係者の話として、中国政府の内部文書に中国海軍がインド洋での給油活動に備え、訓練を行っていると明記されていること、また、2007年11月に野党だった民主党などの反対で給油の根拠法が失効して海自の給油活動が中断した際に中国軍関係者が米軍に対して自衛隊の活動を引き継ぎたいと非公式に打診したが、この時は米側は応じなかったと書いている。

 〈実現すれば、中東から原油を運ぶ日本にとって重要な海上交通路で中国が影響力を強めることになり、撤収を決めた鳩山政権に批判が集まりそうだ。〉としているが、政治・経済・外交で存在感を増しつつある中国が国際貢献の面でも存在感を増すことになるだろう。逆に日本はカネを出すことでは存在感を維持しているが、自衛隊イラク派遣が憲法の制約を受けたものであっても、オランダ軍、後にオーストラリア軍に治安面を依存した構造の自律した派遣ではない実績であった分、存在感を欠いた国際貢献となっていたはずである。

 日本が自衛隊イラク派遣で多大の貢献を果たしたとするのは、日本からのみ見た一国主義的な独善に過ぎないのではないだろうか。

 外交に於ける自律的な政策決定と自律的な行動があって初めて大国としての責任を果すことができ、大国としての存在感も増すはずである。


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平沼がどう言おうと、蓮舫は「もともと日本人じゃない」ことに誇りを持て!

2010-01-19 08:49:06 | Weblog

 

  ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。


 ハイチ政府が機能停止状態であることと損壊した刑務所からの囚人脱走や略奪による治安悪化、道路被害からの食料配布の停滞、あるいは配布中の食料の奪い合い等々と、「NHK」記事によると、地震の前から政治の混乱などによって100万人が食料支援が必要な状態だったが、12日の大地震で新たに少なくとも200万人が支援を必要とする状況となり、あわせて300万人、人口のおよそ3分の1が食料支援なしには生きられない状況となっていて、食料支援が追いつかない状況にあることから早急な治安の回復、滞りのない食料支援の実施、政府機能の回復等々の必要性からだろう、国連安保理はハイチの平和維持活動(PKO)に当たっていた国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に昨年11月時点で配置していた兵士7千人余りと警官2千人余りに加えて国連事務総長による増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を19日午前(日本時間20日未明)全会一致で採択したという(「47NEWS」記事から)。

 日本が昨年11月派遣の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に加わっているというニュースはどこにも見当たらない。外務省のHPで調べたところ、「国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)」は「国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)」の名称で紹介している。               

 〈「任務」

 (1)安全かつ安定的な環境の確保(武装解除・動員解除・社会復帰、警察・沿岸警備隊への支援等)
 (2)政治プロセス支援(地方選挙、議会選挙及び大統領選挙に関する支援等)
 (3)人権(女性や児童の人権擁護に関し暫定政府や人権団体との協力、帰還民・避難民の人権状況を監
    督するためUNHCRと協力等)

 「経緯・背景」

 1.紛争の経緯

 (1)2004年2月以降、反政府武装勢力は中北部の主要都市の警察署を占拠し、首都に進行する
    旨公言し、治安状況が急速に悪化。同月29日、アリスティド大統領は出国し、アレクサンドル暫定
    大統領が就任。

 (2)同日、安保理は暫定多国籍軍(MIF)の即時展開を行う権限を与える内容の決議1529を採択。同
    決議を受け、3千人強の暫定多国籍軍が展開。また、同決議は事務総長に対し、3ヶ月以内に展開
    する後続の国連安定化部隊の規模、構成及び任務等に関する勧告の提出を要請した。

 (3)3月12日、ラトルチュ元外相が暫定首相に就任し、同月17日に暫定内閣を組織した。

 (4)4月20日、事務総長報告が発表され、多目的のマンデートを有する国連ハイチ安定化ミッション(
    MINUSTAH)を当初24ヶ月間設立するよう提言した。

 派遣規模(2007年8月31日現在

 文民警察要員1771名部隊要員7054名

 要員派遣国(同上)

 アルゼンチン、ベナン、ボリビア、ブラジル、ブルキナファソ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ、チャド、チリ、中国、コロンビア、クロアチア、DRコンゴ、コロンビア、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フランス、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ヨルダン、マダガスカル、マリ、モーリシャス、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、セネガル、スペイン、スリランカ、トーゴ、トルコ、米国、ウルグアイ〉――

 日本の名前は載っていない。だが、カネは出していると胸を張って言える。同じく外務省HPから探してみた。

 〈ハイチ共和国 最近の援助について(外務省HP/平成20年11月

a.. ハイチ共和国におけるハリケーン災害に対する緊急無償資金協力について(平成20年9月19日)
b.. ハイチ共和国におけるハリケーン・ハンナ及びアイク被害に対する緊急援助について(平成20年9月10日)
c.. ハイチ共和国におけるハリケーン・グスタフ被害に対する緊急援助について(平成20年9月2日)
d.. 食糧援助(開発途上国における食料価格高騰への対応)の実施について(平成20年7月29日)
e.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じたコミュニティ開発支援無償資金協力
   (ポルトープランスにおけるコミュニティ参加を通じた子供のための環境整備計画)に関する書簡の
   交換について(平成20年3月13日)
f.. ハイチ共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(「ハイチ共和国における予
   防接種強化計画」)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
g.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年12月4日)
h.. ハイチ共和国に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について(平成19年3月23日)
i.. ハイチ共和国南部被災農民向け食糧自給促進事業に対するFAO(国連食糧農業機関)を通じた貧困農
   民支援について(平成19年2月27日)
j.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成18年11月18日)
k.. ハイチに対する食糧援助について(平成18年4月13日)
l.. ハイチ共和国総選挙に対する選挙監視要員の派遣について(平成18年2月1日)
m.. 「ハイチ共和国における予防接種強化計画」に対する無償資金協力について(平成17年11月23日)
n.. ハイチにおけるハリケーン災害に対する緊急援助について(平成17年7月15日) 〉――

 ページ作成日が一昨年の「平成20年11月」、このページ以外は見当たらないから、これ以降の援助はないのだろう。但し地震発生を受けた「国際緊急援助隊の派遣」のページを見つけることができた。

 〈ハイチにおける大地震災害支援のための国際緊急援助隊の派遣(平成22年1月16日)

 我が国政府は、15日、ハイチにおける地震災害支援のために、国際緊急援助隊の派遣を決定しました。国際緊急援助隊・医療チーム(外務省職員、医師、看護師等24名)については、本16日午後9時頃、成田空港よりJICAチャーター機でマイアミに向け出発する予定です。

 医療チームの人員及び機材については、マイアミからハイチまで自衛隊の輸送機(C-130)で輸送する予定です。現地での治安状況、安全確保対策等を確認した上で、早ければ17日にマイアミを発って、ハイチに入る予定です。 〉――

 日本にとってハイチはやはり遠い国だったようだ。何しろ間に南北アメリカ大陸が遮っていて、ヨーロッパの国々の大西洋一足跳びのように太平洋を一足跳びとはいかない。だから、「医療チーム」の派遣も日本時間の13日午前7時前の地震発生から3日と14時間遅れの迅速な出発となったのだろう。

 だが、同じアジアの国、中国は南北アメリカ大陸の壁をものとはせずに日本とは比較にならない迅速な派遣を行っているし、PKOにしても、〈国連の要請を受けて2004年以降、約150人で構成される警察部隊をハイチに派遣。治安維持や国連高官の警備などの任務に就いていた。〉と「msn産経」記事が伝えている。

 但し、〈ハイチをはじめとするカリブ海や中央アメリカには、台湾と外交関係を持つ国が10余りあり、中国のハイチへの大規模な支援の背景には、この地域で中国の存在感を高めるとともに、台湾との外交関係の切り崩しを図るねらいもあるとの見方が出ています。〉(「NHK」)と、政治的思惑も加わった人道支援だと伝えている。

 だとしても、国益という利害を何ら挟まない人道支援など存在するだろうか。大国の国際的責任と言いつつ、大国としての名前と信用獲得、大国としての外交的地位の確保も国益としてある利害であって、どこの国も何らかの利害を人道支援に絡ませているはずだ。

 日本はカネも出さない、何も出さない経済大国だと思われたくない世界各国に向けた世間体を少なくとも抱えている。

 民主党は政権獲得前に小沢一郎は党代表の立場で国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に政権を取った場合は自衛隊を参加させると勇ましいことを言っていた

 「米国はもはや一国で国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能になっている。・・・・世界の平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく以外に論理的にも現実的にも他に方法がない」

 「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要だ。・・・・国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する。・・・・私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」(asahi.com

 但し、次の制約を付け加えて、決定を自由自在・融通無碍の場所に置くことを忘れなかった。

 「合憲なら何でもやるということではない。国連決議があっても実際に日本が参加するかしないか、どの分野にどれだけ参加するかはその時の政府が政治判断する」(同asahi.com

 自衛隊派遣に自ら決定の猶予を与えたが、国連決議が戦争放棄と武力行使の放棄を謳った日本国憲法第9条の判断要件とはならないとの自民党などからの批判を受けて、小沢代表の国連決議自衛隊派遣は鳴りを潜めることとなった。

 そして政権交代。戦争絶対反対、自衛隊海外派遣絶対反対の社民党を連立政権内に抱えたからなのか、昨年11月の北澤防衛大臣のアフガンへの自衛隊派遣検討発言に対して鳩山首相が「小人数であっても、自衛隊員をアフガニスタンに派遣するということは望ましくない」(民主党HP)と否定、結局2009年11月に5年間で50億ドル(約4500億円)規模のアフガン民生支援策を閣議決定。

 この50億ドル(約4500億円)は、2009年11月11日付の「asahi.com」記事――《総額優先、具体策固まらず アフガン支援に50億ドル》によると、「補給支援をやめることを理解してもらうには、この程度の額が必要」だとする外務省幹部の声を伝えて、アフガンに何が必要なのかを検討、計算した額ではなく、補給支援停止に見合う代償として弾いた額だとしている。

 記事はこのことを岡田外務大臣の同年同月10日の記者会見の発言で補強している。

 (支援額の根拠を問われて)「内訳を細かく積み上げたものではない」

 それでも新支援策の内容としては具体策なしのまま三つの柱を掲げている。
 
 (1)治安能力の向上――主たる眼目(警察支援)

 (2)反政府勢力との和解と社会復帰――主たる眼目(反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練)

 (3)持続的・自立的発展のための民生支援――主たる眼目(農村開発、インフラ整備)

  記事は、警察支援も農村開発もインフラ整備もこれまで行ってきたメニューが殆んどで、反政府勢力タリバーン元兵士に対する職業訓練は目新しい政策だが規模や方法などの制度設計ができていない、タリバーンが勢力を強めるなか投降する兵士を確保できるか不透明だとの指摘もあると断じている。

 言っていることは素晴らしいが、結果として世界平和構築に責任ある経済大国日本の軍隊派遣はアメリカ、その他の国に依存し、自衛隊派遣なしの、いわば片翼飛行の治安回復支援策となった。

 日本は地震で被害を受けたハイチに500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供することを表明、そして医療チームを派遣した。

 国連安保理が国連事務総長の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)増派の勧告を支持、新たに兵士2千人と警官1500人を増派する決議を全会一致で採択したのである。国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)は平和維持活動(PKO)だから、日本も自衛隊の派遣は可能となる。アメリカと協力してハイチの治安回復と平和構築に関わってはどうだろうか。世界の平和構築に向けた自衛隊派遣の実績を積むことによって、大国としての地位も存在感も確立可能となる。そういった発想はないのだろうか。

 今年1月15日でインド洋で海上自衛隊の給油活動が期限切れとなり、撤収命令が出された。日本の海上自衛隊の撤収後、中国海軍が引き継ぐ方向で検討していると、「YOMIURI ONLINE」記事――《インド洋での給油活動、中国が引き継ぎ検討》((2010年1月16日08時54分が伝えていた。

 記事は政府関係者の話として、中国政府の内部文書に中国海軍がインド洋での給油活動に備え、訓練を行っていると明記されていること、また、2007年11月に野党だった民主党などの反対で給油の根拠法が失効して海自の給油活動が中断した際に中国軍関係者が米軍に対して自衛隊の活動を引き継ぎたいと非公式に打診したが、この時は米側は応じなかったと書いている。

 〈実現すれば、中東から原油を運ぶ日本にとって重要な海上交通路で中国が影響力を強めることになり、撤収を決めた鳩山政権に批判が集まりそうだ。〉としているが、政治・経済・外交で存在感を増しつつある中国が国際貢献の面でも存在感を増すことになるだろう。逆に日本はカネを出すことでは存在感を維持しているが、自衛隊イラク派遣が憲法の制約を受けたものであっても、オランダ軍、後にオーストラリア軍に治安面を依存した構造の自律した派遣ではない実績であった分、存在感を欠いた国際貢献となっていたはずである。

 日本が自衛隊イラク派遣で多大の貢献を果たしたとするのは、日本からのみ見た一国主義的な独善に過ぎないのではないのではないだろうか。

 外交に於ける自律的な政策決定と自律的な行動があって初めて大国としての責任を果すことができ、大国としての存在感も増すはずである。


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ハイチ地震、緊急調査チームを送ったのは日本だけではないのか

2010-01-18 10:13:07 | Weblog

 《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。

 次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。


 中国の国際救助隊60人余が北京時間の13日午後8時30分に首都国際空港からハイチに向けて出発している。東京と北京の時間差は1時間程度だと言うから、日本時間の13日午前7時前の地震発生から約14時間前後の地震発生当日の迅速な出発となる。

 “緊急”と名づけた調査チームなど送らなかったからできた迅速性であろう。

 1月14日付「NHK」記事が〈アメリカ国務省によりますと、行方不明者の捜索にあたるチームが13日、被災地に入り、活動を開始したということです。〉と伝えている。

 この「13日」は同じ記事でハワイで行われた日米外相会談が「12日」となっているが、「asahi.com」記事では〈12日午前(日本時間13日未明)となっているから、現地時間の「13日」だと分かる。地震発生現地時間12日午後5時前翌日の迅速な被災地入り、活動ということになる。

 当然、アメリカにしても“緊急”と名づけた調査チームを派遣せずに実働部隊を直接派遣し、そのまま直接救援活動を開始したことになる。
 
 フランスの場合は1月14日付「毎日jp」記事がドミニカ共和国ヒマニからの現地報告として伝えているから現地時間なのだろう、〈ハイチの旧宗主国フランスは13日、がれき撤去の専門家65人と行方不明者の捜索犬6頭を派遣。〉と書いていることからすると、地震発生の翌日には派遣、1月15日付12時9分の「NHK」記事が〈アメリカやフランス、中国など各国から到着した救助隊が救出活動を続けていますが、〉と伝えていることからして、少なくとも現地時間地震発生2日目の14日には救出活動を開始していたことが分かる。

 フランスの場合も“緊急”と名づけた調査チームを派遣しなかった。

 1月14日14時5分の「asahi.com」記事が、現地入りする国際救援チームとして〈ベルギー、イスラエル、ロシアからは「野営病院」の資材を空輸している。〉と伝えていることからすると、現地時間13日か14日には各国とも既に活動を開始していることが分かる。

 一方日本は「インフラの被害が大きく、現地の情報がまったくつかめていないので、被災状況を含めてしっかり調査してきたい。 多くの被災者が出ているので、できるかぎりのことをしていきたい」として緊急調査チームを現地時間15日ハイチ入り予定で14日夜、成田空港から現地に向けて出発させている。

 多分「被災状況を含めてしっかり調査」した現地の緊急調査チームから電話報告何かを受け取り、討議を重ねたのだろう。外務省は国際援助隊医療チームを17日に現地入りさせる予定で16日に成田を出発させている。既に大活躍しているに違いないが、現地時間15日にハイチ入りし、一日かそこらの現地調査でしっかりと調査し、そのようなしっかりとした調査に基づいてしっかりとした報告を作成、日本に伝えて、その報告に基づいてしっかりと議論し、当初の計画を作成、その作成に基づいて医療チーム派遣を決定したのだろうが、果して一日かそこらで「被災状況を含めてしっかり調査」できたのだろうか。

 もし現地滞在の緊急調査チームから何の報告を受けないまま医療チームを出発させたとしたら、緊急調査チームの派遣は矛盾することになる。先進諸外国に後れを取ったことに気づいて、慌てて医療チームの派遣を決定したと疑えないことはない。

 例え緊急調査チームからの報告を受けた医療チーム派遣の決定だとしても、諸外国は緊急調査チームの派遣という手続きを取らずに直接救援チームを派遣していて、そのような手続きを取ったのは日本ぐらいのものだという事実は残る。

 また緊急調査チームの調査と医療チームなり、救助チームなりが派遣された現場の状況と違いがあったなら、緊急調査チームの調査は形式で終わる。実際の状況を知るのはそれぞれの現場に派遣されてその現場の状況に直面した者たちであろう。

 そういうことなら、既に訓練を受け、災害現場を踏んでいる者も含めているだろうから、各種情報・知識を身体に叩き込んでいるはずである。先ず災害現場に飛び込んで、直面した現場の状況に応じてどうしたらいいか、どうすべきか自身の知識情報と経験と技術を駆使・応用させながら事に当たると同時に仲間とも議論して、その現場にふさわしい行動のルールを自らも学び、相互に助け合って組み立てていく臨機応変の応用力さえあれば、災害現場が異なっても、格好はついていくものではないだろうか。

 なぜそういった直接行動が取れないのだろうか。

 時間との戦いを迫られる災害現場に関しても前以ての調査を必要とするということは、調査報告をマニュアルとして必要とすることであろう。逆説するなら、調査から得たマニュアルがなければ、満足に行動を取ることができないことを示している。

 自身の経験と知識情報を自分なりのマニュアルとして駆使して、それぞれの場にふさわしい自分なりの行動を創造していくことができないから、他者の作成したマニュアルを必要とし、そのマニュアルをなぞる行動しかできない。
 
 だからこそ、日本人はマニュアル人間だと言われてきた。現在、そういった言葉が使われることは殆んどなくなったが、マニアル人間であることから卒業できているわけではない。下が上の命令・指示をマニュアルとして従うだけ、なぞるだけの権威主義的行動様式から抜け出れない限り、マニアル人間であり続けるにちがいない。

 以前当ブログで書いたことだが、前サッカー日本代表監督のオシムの2003年の言葉が日本人のマニュアル性をよりよく言い当てている。

 「日本人コーチに即興性、柔軟性、創造性が欠けているから、選手にもそれが欠ける。コーチが変わらないと選手は変わらない。そういう指導者からは、創造性に欠ける選手しか生まれない」

 要するにサッカーの教え(マニュアル)どおりの動きしかできないと言っている。その場その場の攻守の局面に応じた直感的な臨機応変の動きができないと言っている。

 オシムと同じことを現日本チーム監督の岡田武史氏もかつて言っている。

 「コーチが言ったとおりのことをするだけではダメで、何をするか分からないというところがなければダメだ」

 「コーチが言った」ことをマニュアルとして、「言ったとおりのことをするだけではダメ」だと言っている。

 岡田監督の「何をするか分からないというところ」は、オシムの言う「即興性、柔軟性、創造性」を備えることによってよりよく表現可能となる。

 だが、残念ながら、そういったことに欠けている。災害の場合でも、調査というマニュアルを最初に必要とし、マニュアルに従った行動を求める。先に行動し、行動と共に調査を作り上げていく応用力を持たない。

 
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グローバル化の今日でも、日本にとってハイチは遠い国だったのだろうか

2010-01-17 07:22:31 | Weblog

 《民主党に夏の参院選挙で勝利させ、衆・参両院とも過半数とし、民主党政治を存分に発揮できる場を一度は与えてみたらどうだろうか――

 民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えよう――》


 自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議院過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を行う場を独占してきた。

 今度は民主党にも衆・参過半数のチャンスを一度は与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。


 マグニチュード7.0の地震発生――現地時間12日午後5時前(日本時間の13日午前7時前)

 日本政府は14日、四宮信隆ハイチ大使を団長とする緊急調査チームを派遣すると発表。現地時間の15日にもハイチ入りする予定とのこと。

 翌15日、岡田外務大臣がハイチに日本から国際援助隊医療チームを派遣することを発表。

 医療チームは16日に成田を出発、17日にフロリダ州マイアミからハイチに入る。

 ハイチに入ったからといって、即座に活動できるわけではない。それなりの準備を要する。ほぼ4日近い経過後の活動となると思う。

 今回送ったのはどこが“緊急”なのか分からないが、緊急調査チームと医療チームのみで、救助犬を伴いファイバースコープを使用する救援チームは送らないようだ。

 日本時間の13日午前7時前の地震発生翌日、1月14日付の「asahi.com」記事――《国際救援27チームがハイチ入りへ》(2010年1月14日14時5分)が、どこの国がどういう種類の活動を目指しているか教えてくれる。

 国連人道問題調整事務所の13日の発表によると、27の国際救援チームが現地入りすると明らかにしたという。

 国連から40人の災害救援専門家を派遣。スイス救助隊が同行。

 ベルギー、イスラエル、ロシアからは「野営病院」の資材を空輸中。

 捜索隊や医療隊など計60人の中国の救援チームが13日夜、現地に向け出発。(既に現地で活動中)

 PKO(ハイチ安定化派遣団)で派遣した兵士が犠牲になったブラジルは食糧28トンや飲料水などを空輸するほか、1千万ドルを援助すると表明。

 キューバはハイチに医療関係者を派遣すると発表。コロンビア、ベネズエラも支援物資を送る予定。

 このほかに「毎日jp」記事――《ハイチ大地震:各国、支援急ぐ 米は空母を派遣》(2010年1月14日)によると、

 ハイチの旧宗主国フランスは13日、がれき撤去の専門家65人と行方不明者の捜索犬6頭を派遣したことが分かる。

 多くの記事が、重機不足のため手作業で瓦礫を撤去するしかなく、時には気の遠くなるような救出作業となる、あるいは行方不明者捜索となると伝えているが、フランスの「がれき撤去の専門家」とは手で持ち運びができ、尚且つ10トン程度の重量物まで持ち上げることができる滑車の原理を応用したチェーンブロックや、同じく滑車の原理を応用した6トンまで持ち上げ可能なレバーブロック、同じく手で持ち運び可能な30トンぐらいまで持ち上げることができ、縦にしても横にしても使える油圧ジャッキ等を使うのではないだろうか。

 動かしたい重量物にワイヤーを掛けるか、掛ける場所がなければ、ハンマードリルで直径20ミリ程度、深さ10センチ程度の穴を開け、(電気が通っていなければ2人で持ち運びができる小型の発電機が必要となる)、そこにアンカーボートを打ち付けて、頭が輪型になったアイボルトをねじ込み、そこにワイヤーを通して、チェーンブロックなりレバーブロックのフックに掛けて引っ張る。

 油圧ジャッキはコンクリート製の建物が倒壊して人が入れないまでに狭くなった隙間の一箇所でも30センチあれば、10トン程度の油圧ジャッキを隙間に挟んで(動かなければ2台、3台と挟めば、20トン、30トンの力を加えることができる)、人一人が入れる隙間を作ることができる。

 真上に持ち上げたければ、3本足にパイプを組んだ三又(さんまた)が必要になる。三又の頭部にチェーンブロックを掛けて、持ち上げたいコンクリート塊なりにワイヤーを掛けて、それをチェーンブロックのフックに掛けてチェーンを回転させることで、三又の足の長さによって1メートルか2メートルぐらいまで持ち上げることができる。

 勿論、中に人が閉じ込められていた場合、作業によって瓦礫全体が崩れて救助にならないこともあるから、細心の注意を払って外側から一つずつ瓦礫を取り除いていかなければならない。

 今回アメリカの活躍が目覚しいようだ。フロリダ半島の真下のキューバのすぐ東隣の近い国という地理学上の問題だけではないだろう。

 「毎日jp」記事――《ハイチ大地震:米原子力空母が到着 救援本格化》(2010年1月16日 19時53分)が伝えている。

 ヘリコプター19機や飲料水の製造装置を搭載した原子力空母カール・ビンソンが15日朝、ハイチ沖に到着。空母は米軍の救援活動の拠点となり、ヘリコプターで飲料水や食糧、支援物資を被災地まで運ぶ。

 機能が低下している首都ポルトープランスの国際空港を米国管理下で運用することでハイチ政府と合意。1日90便の着陸が可能になると期待されているという。

 米国防総省当局者が15日、復興支援で派遣していた米海軍の空母カール・ビンソンが同日、ハイチ沖に到着、搭載ヘリ19機による食糧、飲料水や医薬品などの搬送作業を開始したと述べたと、「CNN」記事――《米空母到着、ヘリ19機による救援活動開始 ハイチ大地震》(2010.01.16 Web posted at: 13:27 JST Updated)が伝えている。

 原子力空母カール・ビンソンは手術室も3室備えていて、ヘリコプターで搬送してくるのだろう、被災者の治療に従事。船内の浄水装置で被災者への飲料水を供給。

 また記事は次の情報も我々に教えている。

 〈ホワイトハウスは15日、地震の負傷者の搬送を迅速にするためキューバ政府と協議、同国にあるグアンタナモ米海軍基地から米フロリダ州への空路でキューバ領空を通過する承認を得たと述べた。飛行時間で約90分の短縮が可能になるという。 〉――

 さらに現時点でハイチから米国に入国を考慮するハイチ人には適用されないとしているものの、米国内に約10~20万人のハイチ国籍者が不法滞在していると推定し、ハイチの国家機能が壊滅状態にあることを考慮し、今後18カ月間の期間限定で米国での滞在ならびに就労、ハイチへの送金を認める難民指定にしたと米国土安全保障省のナポリターノ長官が15日発表している(《在米ハイチ国民を難民指定、18カ月間の期限 国土安全保障省》2010.01.16 Web posted at: 19:45 JST Updated - CNN) 。

 的確な判断に則って、次々と迅速に決定が下されていく。

 多分、オバマ政権の全各閣僚だけではなく、空軍や陸軍等の軍関係者も交えて、現地に派遣した空母や救援隊、PKOのアメリカ関係者、その他から伝えられる報告や情報に応じて対策会議を適宜開いて、今取り得る方法で何が最善か、検討を重ねているのではないのだろうか。

 日本の医療チームは今日17日にハイチ入りの予定である。日本のマスメディアが日本の医療チームの活動をボチボチ伝え始めるのではないだろうか。

 人間の命は遠い・近いの距離で計ることはできないとしたら、ハイチを近い距離としなければならない。

 私自身はユニセフを通して僅かながらの寄付で身近にしただけだから、あまり偉そうなことは言えないが。


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ハイチ救援、人命第一となっているのか

2010-01-16 10:26:35 | Weblog

 カリブ海の島国ハイチで現地時間12日午後5時前日本時間の13日午前7時前、マグニチュード7.0の地震が発生(NHK記事)、昨15日7時の民放ニュースでは西半球一の最貧国だという首都ポルトープランスの建物の多くを倒壊させ、電気や水道などのインフラを壊滅状態とする打撃を与え、被災者300万人、死者は5万人に上ると見られていると伝えていた。

 ハイチと日本とでは約14時間の時差があることになる。

 日本の対応は素早かった。麻生太郎が首相在職中、「日本が先進国の中で一番早く100年に一度のこの金融危機から抜け出す」と言ったよりも早かった。

 「14日17:20」報道の「時事ドットコム」記事は政府が14日、ハイチに対して国連児童基金(ユニセフ)や世界食糧計画(WFP)などの国際機関を通じて500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援することとテントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供すること、さらに四宮信隆ハイチ大使を団長とする緊急調査チームを派遣すると発表。

 「17:20」の報道時間からすると、14日午後の発表と思われる。地震発生が日本時間の13日午前7時前。1日以上経過してからの発表である。発表だから、まだ実行段階に至っていない。

 緊急調査チームの派遣は「NHK」記事によると、14日夜、成田空港から現地に向けて出発したとなっている。発表からは数時間後かもしれないが、地震発生から1日半以上経過した迅速な出発である。

 緊急チームは直接ハイチ入りするわけではない。ハイチの空港が使用不可能なのか、隣国のドミニカ共和国に飛び、支援を表明しているほかの国や国連の人道支援機関などから情報収集を行うほか、早ければ、現地時間の15日にもハイチ入りすることにしているという。

 インフラが壊滅的であることからすると、活動は夜は困難だろうから、夜明けが早いとしても6時過ぎからとすると、日本時間の15日夜の時間となる。日本時間の13日午前7時前の地震発生から、2日半後の現地入りという素早さ、迅速行動である。

 出発に先立って、多分記者会見の言葉なのだろう、外務省国際協力局緊急・人道支援課の實取直樹課長補佐が述べたという。

 「インフラの被害が大きく、現地の情報がまったくつかめていないので、被災状況を含めてしっかり調査してきたい。 多くの被災者が出ているので、できるかぎりのことをしていきたい」(同NHK

 「インフラの被害が大きく、現地の情報がまったくつかめていない」が事実とするなら、どこの国でも同じ状況であろう。

 にも関わらず、〈カリブ海の島国ハイチで現地時間12日にマグニチュード7.0の大地震が発生したことを受け、中国の国際救助隊60人余りが北京時間の13日午後8時30分、首都国際空港からハイチに向けて出発しました。〉と(《ハイチ大震災 中国救助隊、出発》中国国際放送局/2010-01-14 10:26:04)が伝えている。

 中国と日本の時差は1時間だというから、「北京時間の13日午後8時30分」は日本時間で13日午後9時30分に当たる。日本時間に統一すると、日本時間の13日午前7時前の地震発生から、14時間30分後に出発したことになる。 

 政府がハイチに500万ドル(約4億5900万円)を上限とする無償資金を緊急支援する、テントや浄水器など3000万円相当の緊急援助物資を提供する、緊急調査チームを派遣するとただ単に発表しただけの14日午後よりも10時間程度迅速な行動を発令させてている。

 日本の緊急調査チームが成田空港から現地に向けて出発した14日夜よりも約1日迅速な出発でもある。

 日本側は15日になって、「16:24」時の「TBS」記事――《ハイチ大地震、日本も医療チーム派遣》が、岡田外務大臣が大地震の発生したハイチに日本から国際援助隊医療チームを派遣することを発表したと伝えている。報道時間からして午後の記者会見と思われから、発表のみに関して言うと、日本時間の13日午前7時前の地震発生から2日半近く経過してからの迅速この上ない発表となる。あくまでも“発表”であって、出発時間ではない。

 〈医療チームは16日に日本を出発し、現在、訓練のためにアメリカに駐機中の自衛隊のC130輸送機を使って、早ければ17日にフロリダ州マイアミからハイチに入る予定〉だと言う。

 中国の国際救助隊の日本時間13日午後9時30分出発から言うと、2日以上遅れの迅速な行動となる。

 記事に次のような件(くだり)がある。
 
 〈アメリカや中国の救援隊が現地で活動を開始する中、対応が遅いのではないかと言う指摘に対し、〉岡田外務大臣は次のように答えている。

 夕方6時40分からだったと思うが、TBSの「総力報道!THE NEWS」での記者の質問は「アメリカやフランスや中国から較べると、若干遅れたかなと思いますが?」となっていたように思う。

 「現地はかなり混乱している。具体的ニーズは何処にあるかという事を踏まえて出すというのは必ずしも間違った対応ではない」

 だが、1月15日 12時9分「NHK」記事――《ハイチ地震 食料など支援不足》は〈被災地では、アメリカやフランス、中国など各国から到着した救助隊が救出活動を続けています〉と既に伝えている。

 記事は食料支援の不足、〈病院は、けがをした大勢の人たちであふれ、廊下や建物の外で手当てを受けざるをえない状況が続いてい〉ると、医師と看護婦と医薬品の不足、〈水や食料を奪い合う住民も出る〉と、水不足、食料不足〈被災者はいらだちを強めながら3度目の夜を迎えています〉とアメリカやフランス、中国など各国の救助だけでは不足している状況、そして〈現地では、日中の気温が30度を超えるなか、路上などに埋葬しきれない遺体が放置されるなど衛生状態もきわめて悪く、WHO=世界保健機関は、感染症が広がるおそれがあるとして注意を呼びかけてい〉ると、衛生管理不足を伝えている。

 上記これらの各不足事項は地震その他の大災害時に於けるパターンとしてあるもので、当然不足パターンに応じた必要事項(=ニーズ事項)を等式的に形成することとなり、それが“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”となる。そうである以上、“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”は既定の事実としなければならない。

 パターンとしてある各不足事項に対して、飲料水の確保、食料の確保、医薬品の確保、医師・看護婦の確保、医療施設の確保、テントの確保、重機の確保、救助犬の確保、酸素吸入器の確保、消毒薬の確保、その他応急処置用の医療品の確保等々が既定の事実として存在する“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”となっているということである。

 “何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”を既定の事実としていなければならない以上、巨大災害が発生した時点で即座に“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”に応じた初動準備に迅速に取り掛かることを危機管理に於ける常識としていなければならないのは断るまでもない。

災害発生国が西半球一の最貧国ということなら、“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”は前以て高めに設定し、そのことを主たる注意事項としなければならない。

 それを、「現地はかなり混乱している。具体的ニーズは何処にあるかという事を踏まえて出すというのは必ずしも間違った対応ではない」などと、日本の政治家だからなのか、極楽トンボなことを言っている。

 “何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”を既定の事実とする想像力を持ち合わせてもいない。

 現地時間2009年9月30日発生のマグニチュード7.6のインドネシア政府のスマトラ島沖地震のときも同じだった。JICA(国際協力機構)が救助チーム及び医療チームからなる国際緊急援助隊を派遣すると発表、国際緊急援助隊の派遣に先立ち援助隊の活動を円滑に行うために3名から成る事前調査チームを翌10月1日にインドネシアに派遣、結団式を1日(木)20時00分から成田空港第2ターミナル2階P2会議室で行い、10月1日(木)21時40分成田発(JAL8837:チャーター便)で出発、10月2日(金)03時40分(現地時間)ジャカルタ到着。別途、緊急援助物資の輸送も調整中(JICA記事から)としていた。

 一方10月3日インドネシア政府から自衛隊派遣の要請を受けて、民主党政府は自衛隊派遣の前に派遣部隊の規模や活動内容等を詰めるために事前に防衛省の調査チームを派遣することを決定。調査チームの第1陣11人が4日午前(日本時間同日午後)オーストラリア国軍機で被災地入り、〈物資の航空輸送や医療、給水支援など現地でどのような支援が必要か調べる〉(山陽新聞)と、“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”を既定の事実とできない今回と同じような迅速、遠回りな行動を見せた。

 瓦礫の下敷きとなって閉じ込められた者の救出には地震発生から72時間(3日間)が勝負だと言われている。72時間経つと、生存率が急激に下がるという。

 パン・ギムン国連事務総長「被災者を救うためには発生から72時間がきわめて重要だ。・・・・救助活動は時間との戦いだ」NHK

 この「72時間」にしても、「救助活動は時間との戦いだ」にしても、災害の発生のたびに言われ、常套句化している言葉であって、既定の事実として“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”に入れなければならないはずである。

 地震発生が日本時間の13日午前7時前、72時間後は日本時間で16日午前7時前、日本の医療チームの〈早ければ17日にフロリダ州マイアミからハイチに入る予定〉は生存状態で瓦礫の下から救出した負傷者の場合でも、重症の場合、手当てが間に合わない恐れが生じる。

 瓦礫の下に閉じ込められずに負傷した者であっても、処置が回らずに放置されていた重傷者の場合、その命さえ救えない状況が生じる恐れがある。

 アメリカは行方不明者の捜索チームに続いて治安維持のため新たにアメリカ軍の兵士を派遣することを決め、オバマ大統領はハイチへの支援を最優先に取り組むと強調、クリントン国務長官は12日に行われた日米外相会談のあとオーストラリアなどを訪問する予定だったが、急遽取りやめて帰国する(NHK)正真正銘の迅速な対応を見せている。

 確かに日本の政府は自民党政府であっても、カネの支援の表明はどこの国よりも迅速果敢である。だが、実際の活動となると、迅速果敢は早いのはカネの支援どまりとなっている。マグニチュード7.0の地震地震発生の情報を耳にするのと同時に、“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”に則って、緊急調査チームよりも何よりも早く、救助犬を伴った救助隊と医療チームを派遣すべきだったろう。

 その上で例え一部のムダが生じても、“何を必要とするかのパターン(ニーズパターン)”に則って必要とするものを迅速に準備し、現地と連絡が取れないというなら、初期的には必要量を見計らってそのまま輸送する、連絡が取れるなら、救助隊及び医療チームと連絡を取りつつ、当座の必要量に応じて順次輸送していくという方法を取るべきではなかったろうか。少なくとも普段「人命第一」を口にしている以上。

 どうもカネ第一、人命後回しの日本の支援となっているように思えてならない。


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小沢幹事長は国会参考人招致に応じるべし

2010-01-15 11:34:32 | Weblog

 民主党小沢幹事長の政治資金管理団体「陸山会」が秘書の宿舎を建てた4億にも上る土地購入資金は銀行の定期預金を担保に融資を受けた4億円だと説明したが、陸山会の事務担当者だった元秘書・石川知裕衆院議員は特捜部の調べに4億円は現金で小沢幹事長から渡されたと説明。しかも融資を受けた4億円を引き出した日時と土地代を支払った日時に後先の時間のズレが判明した。

 先に現金で土地代金を4億円支払い、その後定期預金を組んで、それを担保に4億円の融資を受けたという。

 これが事実だとすると、融資を受けた4億円は手付かずのまま現金で残ったことになる。他に何か明らかにできない使途にまわした可能性も考えられるが、それが秘密の使途なら、小沢幹事長から手渡されたという4億円の現金をそのまま回して、融資を受けた4億円を土地代金とすれば、すべてを秘密のままに伏せておくことができる。

 最初の説明通りに土地購入資金は定期預金を担保に融資を受けた4億円だとあくまでも見せかけたいがための小沢幹事長から手渡された現金4億円だったろうから、手渡された現金4億円の方が出所を明らかにできない秘密のカネだった疑いが生じる。

 いわば秘密の4億円を銀行から融資を受けた正規のカネに替えようと謀ったマネーロンダリングということではないだろうか。

 このことに関して15日付の「毎日jp」記事――《クローズアップ2010:陸山会土地購入、強制捜査 世論読めず、戦々恐々》は、〈特捜部は「(小沢氏からの)最初の4億円を隠す意図がある。4億円の素性を隠し不動産として表に出す資金洗浄(マネーロンダリング)ではないか」とみている模様だ。〉と書いている。

 だが、小沢幹事長から現金で手渡された「4億円の素性を隠し不動産として表に出す資金洗浄(マネーロンダリング)」だと言うなら、土地購入代金の支払いを融資を受けた4億円を引き出した後にして前後の時間のズレを生じさせないよううまく調整すれば、問題は発生しなかったはずだし、秘密のカネは秘密のまま隠しておけば、そのまま秘密の使途にまわすことができたはずである。

 あくまでも秘密の4億円を銀行から融資を受けた正規のカネにマネーロンダリングするために土地購入を仕掛けとして使ったように思える。手付かずに残った融資の4億円をその返済に少ずつまわす。だが、正しいかどうかは分からない。

 小沢幹事長は12日に党本部で定例記者会見を開き、予定通りと言うべきだろう、記者から土地取引に関わる質問を受けた。「asahi.com」記事から、その質問に関する箇所と最後の質問となっている検察からの事情聴取の要請に対して応じていないことに関する応答、さらに検察とメディアに関する応答を参考引用してみる。
 

 《「総理になる資格はありません」12日の小沢幹事長》(2010年1月13日2時40分)

 【土地購入疑惑】
 ――東京地検特捜部から幹事長に任意の事情聴取を要請されていると思うが、お受けになる考えはあるのか。陸山会の資金に関して、銀行の定期預金を担保に4億円の融資を受けたとこれまで説明しているが、石川議員は特捜部の調べに4億円は現金で小沢幹事長から渡されたと説明している。4億円の原資についてご説明を。

 「あと他にありますか? それに関連したの? 関連したものであれば言って下さい、先に。いっぺんに答えますから」

 ――石川議員は小沢氏から4億円現金で受け取ったと供述しているが、それは事実なのか。

 「同じことじゃない。はい、分かった。はい、はい」

 ――もし石川さんが小沢さんから4億円受け取ったのが事実だとすると、そのとき払った土地代金を先に払って、その後に定期預金を組んだことになっている。その後に定期預金を担保に4億の融資を受けている。こういう複雑な会計処理をする必要がなぜあったのか。

 ――この問題に関連し、東京地検特捜部が正式の記者会見とか国民に対する発表がないまま情報だけがメディアを通じて一方的に伝えられ続けている。この状況は、一国民として違和感を感じるところもなくはない。検察のあり方、メディアのあり方についてどう考えるか。

 ――幹事長は参院選に向けて比例候補を発表したが、土地取引の問題が党の支持率や参院選にどのような影響を及ぼすと考えるか。

 ――報道各社の世論調査でこの問題に関して幹事長は説明責任を果たしていないという回答が8割か9割に及ぶ。説明責任を果たしている、尽くしているとお考えか。

 「大体良いですか」

 ―― 一部週刊誌報道で、4億円の原資が小沢幹事長の奥さまがご提供したものだという報道がある。それも合わせて。

 「じゃ、いいですか? それに関連する問題は」

 ――原資に関して、そのうちの1億円について1月10日付赤旗の日曜版に水谷建設の関係者からの証言が詳細に記載されている。それが事実なら、幹事長がこれまでお金の流れについてオープンにしてきたとおっしゃることと矛盾する。これが事実とするならどう責任をおとりになるのか。

 「はい、じゃあ、それらの問題についてお答え致しますが、昨年の春以来、私の政治団体の問題で特に大量の報道もなされまして、国民の皆さまに誤解を与え、また大変ご迷惑、ご心配をおかけ致していることを大変申し訳なく思っております。この私の政治団体に関することにつきましては、まだ捜査が継続中というようでもありますし、そのことに関しては弁護士にすべて一任を致しておりますので、今この段階で個別のことについて私が色々と申しあげることは差し控えるべきであろうという風に思っています。

 それはそれとして、以前から何度も申しあげております通り、私自身も、また私の事務所の者たちも計算上のミスやらそういったものはあったかも知れませんけれども、意図的に法律に反するような行為はしていないものと信じております。また、ご承知のように私の東京の後援会の事務所、盛岡の事務所、あるいは水沢の実家の事務所が強制捜査の対象となっておりまして、すべての書類等々が押収されております。それからまた、その後も弁護士等を通じて事実関係には包み隠しなく話しておると思います。従いまして、今の段階で私が申し上げるのは差し控えますけれど、検察当局におきましてはこの問題についてすべてご存じのことであるという風に思っております。以上です」

 ――今の件ですが、事情聴取に応じるつもりはないということですか? 弁護士一任という風におっしゃったんですけれど。

 「最初の言葉を聞いてくれました?」

 ――聞きました。はい。

 「今の段階で個別のことについて私が申しあげるのは差し控えた方が良いと。そう思っております」

 ――それを解釈すると、事情聴取に応じるつもりはないと。違いますか?

 「指されてから言わなくちゃダメでしょ。ルールは守って下さい。あなたも日本テレビなら」

   ――(中略)――

 【事情聴取】

 ――先ほどの質問で、東京地検の特捜部の事情聴取に応じるか応じないか、お答え頂いていない。やましいことがないのなら、ご自分で説明するのが一番分かりやすいと思うが。

 「あなたもさっきの最初の発言のときのことをよく聞いててよ。だから私最初に冒頭に言ったでしょ。まだこの問題について皆さんに色々ご迷惑かけているけれども、まだ捜査が続行中というようでもあるから、その時点で私が申し上げるのは、個別のことについてどうするこうするということを申し上げるのは適切でないという風に言ったつもりでございます。いずれにしても、あの、きちんと一応の区切りがつきましたならば、なんでも皆さんの質問に、ま、そのときは答える必要もないくらい皆さんも分かると思いますけれど、お答え致しますが、今その最中ですので、まだその区切りがつくまでは少しご勘弁を願います。ということでございます」

 【検察とメディア】

 ――先ほど質問させいて頂いたことについてお答え頂けなかったのでもう一度聞きます。一般論としても重要だと思う。政治家としても人権があるし、適用されるべきだ。小沢幹事長1人の話ではなく、まだ捜査当局が発表もないうちからリーク情報ですべてのマスコミがどんどんと1人の人間を容疑があるかのように報道していく、これが一般の社会人であったら新聞等も抑制するはずだが、そうした状況が見られないように思う。小沢幹事長の方の賛否は抜きにして、こうした検察とメディアのあり方についてどのようにご覧になっているのか。

 「えー、私はもう、二十数年、皆さんのご批判ばかり受けておりますので、それについて特別反論したり批判したりするつもりはありませんけれども、私自身は自分自身の生き様をずっと貫いてきたつもりでありますし、その意味において何らやましいところは私はありません。ただ、まあね、人間ですから、色々言われて楽しい訳じゃないですけれども、これは一般の市民、一般の皆さんという立場からすればですね、それはお互いに注意をしなくてはならないことであろうとは思いますけれど、私の立場はこういう政治の中にある立場ですので、そういうことも甘んじて受けなくてはいけないのかなあと、そう思っております」

 (司会:以上で会見を終わります)

 上記「asahi.com」記事題名の「総理になる資格はありません」は記者が鳩山首相の指導力のなさと小沢幹事長に操られているのではないかという声を紹介して、「それなら小沢さんが首相になった方が分かりやすいし、マニフェスト実行も早くできるんじゃないでしょうか。早くできるようになるため首相になる考えはありませんか」と質問されて、「まだ、あの、私には皆さんから毎日批判を受けている身ですから、総理になる資格はありません。そのつもりもありません」と答えたことから取っている。

 自民党の谷垣総裁は「説明責任を果たしていると思わない。証人喚問、参考人招致など、できる手段を駆使して真相解明に迫りたい」(NIKKEI NET)と小沢幹事長を国会に呼ぶ考えを示し、〈衆院への小沢氏の議員辞職勧告決議案提出や、政治倫理審査会の開催要求も検討すると表明した。〉(同NIKKEI NET)という。

 このような自民党の動きに対して民主党の山岡国対委員長の態度。

 「参考人の招致などという『ワイドショー劇場』(の要求)には、一切応じないつもりでおります」FNN

 では民主党が野党時代、与党自民党に要求した参考人招致はすべて「ワイドショー劇場」としかならないことを承知しながら、要求したことになる。

 事実だとしたら、「真相の解明」を言いつつ、あるいは「説明責任」を言いつつ、あるいは「国民に十分に説明したとは言えない」と言いつつ、馴れ合いの田舎芝居、あるいはサル芝居を自民党と打っていたことになる。

 さらに言うなら、参考人招致を「ワイドショー劇場」で終わらせてしまう貧弱な追及の言葉しか紡ぎ出せない国会議員の程度の低い論戦術を問題にしなければならない。

 もし事実参考人招致が「ワイドショー劇場」で終わっているなら、そこからの脱却を目指して真正な真相解明の場に高める努力をするのが政治家の責任なのだが、「ワイドショー劇場」と言って済ませることができる人間が国会議員でございます、与党民主党の国対委員長でございますとのさばっている。

 小沢幹事長は疑惑に関して「私自身は自分自身の生き様をずっと貫いてきたつもりでありますし、その意味において何らやましいところは私はありません」と断言している。

 だが、説明責任となると、陸山会のカネの出入りに関しては、「この私の政治団体に関することにつきましては、まだ捜査が継続中というようでもありますし、そのことに関しては弁護士にすべて一任を致しておりますので、今この段階で個別のことについて私が色々と申しあげることは差し控えるべきであろうという風に思っています」、検察の事情聴取要請に関しても、 「まだこの問題について皆さんに色々ご迷惑かけているけれども、まだ捜査が続行中というようでもあるから、その時点で私が申し上げるのは、個別のことについてどうするこうするということを申し上げるのは適切でないという風に言ったつもりでございます」 と“捜査中”を理由に説明を先送りしている。

 もし小沢幹事長が「何らやましいところは私はありません」と断言するなら、捜査中であるなしに関係なく疑惑を持たれた箇所に関わる「何らやましいところは」ない自身の正直なところを述べさえすれば、疑惑はいとも簡単に晴れるはずである。

 なぜなら、検察の捜査も小沢氏が正直なところを述べた「何らやましいところは」ない同じ場所に行き着くはずだからである。

 と言うことなら、“捜査中”は説明の先送りの理由とはならないと言うことである。但し疚しいところがあるなら、検察の捜査は同じ場所に行き着かない恐れが生じるから、説明は難しくなる。

 だが、小沢幹事長は「何らやましいところは私はありません」と言っている。そうであるなら、小沢幹事長は証人喚問であろうと参考人招致であろうと堂々と応じて、自身は「何らやましいところは」ないとする正直なところを述べた上で、検察の捜査が「何らやましいところは」ない同じ場所に行き着くのを待つべきではないだろうか。

 同じ場所に行き着いたとき、国民の疑惑は払拭され、民主党政治の障害となっている目――政治とカネに関する疑惑――を取り除くことができる。

 また証人喚問であろうと参考人招致であろうと堂々と応じたなら、そういったことを「ワイドショー劇場」だと言う必要もなくなる。

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有効求人倍率に反した無意味な「公設派遣村」

2010-01-14 07:30:47 | Weblog

 一昨年(08年)暮れから翌(09年)年初にかけて住む家と仕事のない者に住まいと食事と仕事探しを提供する施設、NPOや労組開設の「年越し派遣村」の跡を受ける形で昨年暮れの12月28日から年初の1月4日までの8日間、国と東京都が国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)に「公設派遣村」を開設。

 最初の8日間は何もトラブルは起きなかったようだ。だが、最初の8日間がトラブルが起きる序章の役目を果たしたのではないだろうか。国立オリンピック記念青少年総合センターは3食付き個室という待遇だったそうだが、仕事探しの目的以外の雨露を凌げる暖かい住まいと暖かい食事、伸び伸びと過ごせる個室を8日間限定で提供できたとしても、入所者本人は承知していることであっても、仕事探しの目的が果たせないまま折角ありつくことができた3食付き個室の食・住環境をそれ以降取り上げること程、8日間の待遇がいいだけにある意味残酷なことはないからである。

 仕事を失って貯金を使い果たし、ホームレスとなった者がホームレスの境遇からおさらばするために8日間だけでもと入所した者も多くいたようだから、期間終了日に近づくにつれて再び元の境遇に戻ることの遣り切れなさに次第次第に不安に囚われていったといったこともあるに違いない。次第次第に気分がブルーになり、ナーバスになっていった者もいたろうし、寒さや満足に食事にありつけない再度の辛さを考えると、施設の暖かさも食事のうまさも個室の伸び伸びも上の空でしか感じることができなくなっていったといった者も出てきたはずである。

 インターネットカフェからの移動の者は宿泊代と食事代を節約するために入所した者。友達のところに転がり込んだりしていて住まいをどうにか構えていながら、8日間の食事を無料でありつくために住まいなしと偽って入所した者もいたかもしれない。だからと言って、その偽りを責めることはできない。8月から3カ月連続で改善して10月比0.01ポイント上昇とは言うものの、11月の有効求人倍率が0.45倍しかない失業率の高いこの時期に一旦仕事を失ったなら、いつ次の仕事が見つかるか何ら保証もない、僅かながらの貯金がいつ底をつくか分からない失業者からしたら、遣り繰り段々しなければならない者の生きるチエであろう。

 日本航空といった大企業だけが国からの3千億円だ4千億円といった支援を蚕食していいわけのものではない。日航が再建できたなら、出資金も融資金もいつかは戻り、ゆくゆくは法人税を払う立場となり、社員は所得税を払い続けて共に国の税収増に貢献するだろうが、11月末時点での完全失業者数331万人のうち大半が就職できる雇用情勢となって派遣村入所者の大方が就職できさえすれば、個々の金額はたいしたことはなくても、払う所得税の全体額はそれなりの額を占め、消費者として消費活動に失業当時と比較して活発な参加を行うことができるようになるだろうから、その全体額にしてもGDP増にそれなりに貢献できるはずである。

 完全失業者数331万人を可能な限り解消するには景気回復はいくら外需依存だからと言っても、かなりの部分政治の問題であろう。失業者には手の届かない、待ちの姿勢しか許されない事柄である。

 トラブルは1月4日の「公設派遣村」閉村後に継続して食・住を提供する局面で発生した。

 〈「公設派遣村」の経過〉が「日刊スポーツ」記事――《公設派遣村、飲酒横行泥酔で退去者も》(2010年1月9日7時59分)に出ている。

 〈◆「公設派遣村」の経過◆

 ▼09年12月28日 住居を失った失業者対策として、国の予算で500人を上限に代々木公園に隣接する
  「国立オリンピック記念青少年総合センター」を無料開放。
 
  利用はハローワークでの求職者登録者に限定。東京都と委託先民間団体が運営し、3食&個室という待
  遇。初日は約300人が入所。年末にかけて利用者が増え800人に。

 ▼1月1日 鳩山由紀夫首相が同所を訪問し「本当に望んでいる情報が(入所者に)伝わってこないとい
  ういらだちのようなものを感じた」とコメント。

 ▼1月4日 オリンピックセンターを利用した833人中、685人が都内のカプセルホテルなどへ移動。
  在所中に就職相談を受けた人は約80人。


 ▼1月5日 562人がカプセルホテルから大田区の労働者用臨時宿泊施設に移動。

 ▼1月6日 入所者に現金2万円が配られる。施設内で禁止されている飲酒が横行し、泥酔者1人が退所
  処分に。2件の
  現金盗難が発生。


 ▼1月7日 この日朝、入所していた50代男性がアルコール性肝硬変で死去。同日午後8時の段階で、
  557人の利用登録者のうち外出者155人、行方不明者46人の計201人が所在不明になった。

 ▼1月8日 3人が正式手続きをして退所したが、所在不明者も3人増えて204人になった。〉――

 8日間で即元の境遇に戻らずに済んだ。だが、仕事が見つからなければ、いつかは戻らなければならない不安、憂鬱を残した「公設派遣村」からの「カプセルホテル」への移動だったに違いない。

 一旦は「カプセルホテル」に落着いたものの、「公設派遣村」の個室から比較したなら、まさしく薬のカプセルのようなその大違いの住空間の落差。そこで1日は兎に角も凌いだものの、たった1日で大田区の個室ではなく、30~40人の大部屋だという「労働者用臨時宿泊施設」に移動。その行き先定まらない不安定な慌しい状況に元の境遇への逆戻りを身近に感じさせて精神的動揺を与えなかった保証があるだろうか。

 またいくら不安定な生活が身についているとは言え、たった1日の移動は多くの者をして歓迎されざる者の感を抱かせ、一種の盥回しではないかと疑わせた可能性も考えられる。盥回しであろうとなかろうと、雨露を凌げて食事にありつけさえすればいいではないかという見方もあるだろうが、当事者からしたら、不安を抱え、憂鬱な気持のまま移動した者が一人もいなかったと断言できまい。ブルーな気分をますますブルーに色濃くしていった者もいたかもしれない。

 もし団体旅行気分で移動した者がいたとしたら、それはカラ元気に過ぎないか、ヤケッパチな気分に陥っていたかどちらかではないだろうか。

 現金2万円の支給はハローワークに通って仕事を探す、いわば就職活動のための交通費と昼食代の2週間分だそうだ。都の担当者の中には役人根性から恵んでやるといった気分で支給した者もいたのではないのか。

 支給が直接手渡す形で行われる場合、2万円が国のカネであることから上から下への支給となりがちなところへもってきて、手渡す者と受け取る者との社会的立場の大きな差に応じて手渡す側をしてより上の位置に立たしめるからだ。この不況時にタダで2万円ものカネが手に入ることなどない、有難いと思えとばかりに。

 既に触れたように11月末時点での完全失業者数331万人、同11月の有効求人倍率が0.45倍、求職者1人に対して0.45人の求人しかない、特にハローワークに求職者登録者するために仮の住所しか持たない者の有効求人倍率は、例え会社側が寮や社宅を構えていても、しっかりとした住所を持った、身元の確かな者を選択する可能性の方が高いだろうから、0.45倍よりも遥かに低い、ほぼ絶望的な就職状況にあったとしても不思議はない。

 その絶望的な厳しさは入所者の多くが自ら身を以て体験しているはずである。

 ハローワークに通っても仕事は見つからないという状況から、ハローワークに通っても意味はないという境地に否応もなしに追い込まれ、疲れてしまった者が多くいたはずである。何度も何度もハローワークに通って仕事が見つからず、探すことを断念した者たちの存在も考えなければならない。

 だからこそのホームレスであり、少しましなインターネットカフェであって、そのような吹き溜まりに佇まざるを得なかったからこそ、「公設派遣村」への“駆け込み”という次の場面を必要としたはずである。有効求人倍率が証明しているように「公設派遣村」から一人一人が仕事を得てそこから出て行くという状況にあるわけではない。

 にも関わらず、有効求人倍率の証明に反して、「公設派遣村」は仕事を得てそこから出て行くという状況をつくろうとした。入所条件を求職者登録者に限定した時点で、既に意味を失っていたのである。

 このことは新宿近辺の路上で約30年間もホームレスをしてきたという54歳の男性の「年末年始だけでも助かりましたが、ハローワークで仕事が見つかるぐらいならこんな所には来ない。結局路上生活に戻るしかない」(別日刊スポーツ)の言葉が象徴的に証明している。

 そういった事情を考慮せずに、何度も何度もハローワークに通って仕事が見つからず、探すことを断念した者たちの存在など考えもしないで、2週間分の就活費だと言って2万円渡して(施して?)、ハローワークに行って仕事を探して来いと、仕事が見つからないハローワークという逆説に支配された就職職相談所に放り込もうとした。

 何度も何度もハローワークに通って仕事が見つからず、探すことを断念した者たち、ハローワークに通っても仕事は見つからないという状況から、ハローワークに通っても意味はないという境地に否応もなしに追い込まれ、疲れてしまった者たち等々の存在を考えたなら、オリンピックセンター在所中に就職相談を受けた者は利用した833人中約80人だったとしても、一概に批判はできないはずである。

 80人が80人とも就職できたと言うなら、全員が引き続いて相談を受けたはずで、有効求人倍率が0.45倍周辺なら、80人が80人とも就職できるといったことはそんなはずはない不可能事で、80人の中でも期待できないと知っていて、受けなければ格好がつかないからと形式で受けた者、これは儀式に過ぎないと自分に言い聞かせた者たちも多くいたはずである。
  
 形式・儀式で相談を受けた者は受けただけで終わったとしても、「やはりな」で済ませてショックはあまりないかもしれないが、少しでも期待を抱いた者が期待が叶わなかったなら、抱いた分、自分の愚かさが我慢ならなくなって失望を上塗りすることになりかねない。

 また、2万円を渡された以降、〈施設内で禁止されている飲酒が横行し、泥酔者1人が退所処分に。2件の現金盗難が発生。〉したことも、〈3人が正式手続きをして退所したが、所在不明者も3人増えて204人になった。〉ことも、当然と言えば当然のトラブルと言える。

 何度も何度もハローワークに通って仕事が見つからず、探すことを断念した者たち、ハローワークに通っても意味はないと諦めた者たちにしたら、2万円をハローワークに通う交通費と昼食代に使うこと程、馬鹿げたことはないからだ。彼らにしたら久しぶりにありつくことができた飲酒と言うことで、彼らなりの有効な消費だったかもしれない。

 支給された2万円を持ったままの所在不明者が〈204人〉と続出、そのうちの何十人かはあとになって戻ってきたようだが、年齢や経歴を問わずに誰でも雇ってくれるような好況時でなければ自分には採用される条件も資格もないと確信していてハローワークに通うことが時間とカネのムダだ、意味はないと知っている者からしたら、あるいは改めて失望させられるだけだと知っている者からしたら、入所したまま通わずにいることは難しく、2万円をより有効に消費したい思いからも行方不明となった方が彼らなりに正直な行動だと言えなくもない。

 石原慎太郎都知事は所在不明者の続出を受けた1月8日の記者会見で、「入所者のモラルの問題がある。『ごねれば言うことを聞く』とうそぶく。大きな反省の対象だ」(msn産経)と批判している。

 「NHK」記事――《“派遣村”受け入れ延長せず》(10年1月8日 17時47分)では次のようになっている。(一部抜粋)

 〈東京都が7日夜に調べた結果、2万円を受け取ったまま、少なくとも46人の所在がわからなくなっていることがわかりました。これについて石原知事は、8日の会見で「入所している人たちの一部にモラルの問題がある。次は延長しません。どこかでけじめを付けないといけない」と述べ、入所者がこの間に仕事や住まいを決められなくても、予定の2週間以上は期間を延長せず、18日で受け入れを終了する考えを明らかにしました。〉――

 石原知事のこの打ち切り方針は一部の疑わしきを以ってすべてを罰する、いわば推定無罪を否定する、石原慎太郎から見た場合の一部の不届き者を以って、すべてを不届き者として扱う一種の独裁的な蔑視観から出た措置だと言える。

 有効求人倍率が0.45倍周辺の状況下で、しかも年齢や経歴といった資格の点からもハローワークに通わせても就職の保証はできかねる、入所者側からしたら、ハローワークに通っても意味はない、ムダだと言うことなら、就職をさせる方向にエネルギーを注ぐのはムダな努力としか言いようがなく、そうであるなら、正月3ガ日も過ぎたなら、就職させないまま何らかの仕事を与えて少しでも有意義な時間と有意義な報酬を提供できたなら、就職の見込みが限りなく小さなハローワークに通わせることから比較したなら、彼らに元気を与えることができるのではないだろうか。

 予算不足からなのか、多くの市町村で公園の樹木の手入れ、雑草刈りを満足に行っていない。自治会等から所有の草刈機の提供を受け、草刈機扱いの注意を与えさえすれば、単純労働の経験者なら、それ相応に応用を利かせて、未経験者でも1時間もしないうちに取扱いに慣れるはずで、手入れの行き届いていない自治体の公園の手入れをさせる。どうしても草刈機を扱えない者は刈った草を集めて片付ける役に回ればいい。

 大勢で行わせて一人頭の仕事量を少なくすれば体力的にも気分的にも楽な仕事となって長続きすることになる。報酬は臨時の仕事であること、景気が回復するまでの我慢であることとして最低賃金を目安とし、1日6時間程度の4千円前後、一カ月に20日も働けば、20日が不可能なら15日程度働けば公営住宅の空き室に一室何人かずつ住まわせて、家賃と食事と何がしかの小遣いを手にすることができる。財源は国と県以下の自治体が負担する。

 あるいは中央分離帯や高架下の空き地に捨てられたビン・カン拾い、雑草が生えっ放しとなっていたなら、草刈も行う。中央分離帯の場合は車の通行があり、車線規制しなければ草刈機を使うことができないから、少しきつい作業になるが、やはり大勢で一人頭の作業量を少なくする方法で手で抜くか草刈釜で刈る作業に変える。

 河川敷や雑草が生い茂った空き地に捨てられた粗大ごみやビン・缶の片付け。空き地が個人所有なら、所有者に掛け合って、カネを少し出させて草刈やゴミ片付けを必要に応じて行う。各企業に話して、敷地内の草取りやゴミ片付けがあるなら、少しのカネで引き受ける。

 あるいは別の車に二、三人乗せてごみ収集車の跡を追いかけさせ、収集車にゴミ袋を投げ込むときにそれを手渡しする手伝いをさせる。十分に人が足りていても、仕事をさせることに意義を持たせるために暫くの間我慢してもらう。

 噂を聞いて、うちの田んぼや畑、あるいは庭の草刈をしてくれないかと申し出る個人や会社が出てくるかもしれない。

 鳩山御殿は相当に敷地が広いようだから、業者に依頼して手入れは行き届いているとしても、竹箒で掃く仕事ぐらいは提供できるのではないだろうか。

 あるいは各自治体に何十台とあるごみ収集者の洗車を手伝わせてもいい。洗車と言うことなら、バス会社のバス、タクシー会社のタクシー、JRの列車車両や新幹線車両の洗車もあるし、室内清掃の仕事を手伝うこともできる。JRの場合は下請清掃業者の清掃で十分に間に合っていても、ほんのお印程度のカネは出すことができるのではないだろうか。

 報酬を介護施設に負わせずに洗濯したタオルや衣類を干したり、乾いた洗濯物を畳むだけの仕事でもあっても、介護従事者の負担を軽くし、介護企業にとっても少しは助かるはずである。

 こういった仕事の提供と最低賃金程度の報酬の保証は2万円を支給しても仕事が見つからなければ結果としてムダとなるばかりか、見つかりっこないと思っていながら就職相談して予想通りに見つからなかった者を一層失望させるよりも本人にとって意義を見い出しやすいはずである。
 
 真面目に就職相談して就職ができなかったという状況を放置したまま元の食・住空間に逆戻りさせたなら、求職者登録したことも腹立たしく、そういった者からしたなら、2万円持って所在不明となった者の方が遥かに利口だなと思えるのではないだろうか。

 そう思わせてはならないはずだ。


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