日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

焦りを感じるトヨタの戦略

2008-07-16 20:45:02 | ビジネス
今日、エントリした「トヨタの広告車」について、もうひとつ思い出したことがある。
それが、大分前にエントリした「CMに騙されるな」の「エコ替え」だ。

「エコ替え」のCMを見てみると、一見「地球に優しいCO2排出量の少ないクルマに買い替えるのが、エコな生活・生活者」という、「エコライフ推進CM」のように思える。
だが、よくよく見ると何のことは無い、「クルマの買い替え推進CM」なのだ。

そして、今回の奇妙奇天烈な販促策。
日本のクルマの市場どころか、世界のクルマ市場のトップを走るトヨタの、焦りのようにも見えてくる。
トップを走る企業の宿命なのだろうか?その地位を守るために、積極的な策に売って出たことが、裏目に出ているというか・・・。
自社の市場確保のために様々な策を練った上で、最悪とまで言われたdocomoの「反撃してもイイですか?2.0キャンペーン」を連想させる。

docomoの「反撃キャンペーン」のときにも感じたことなのだが、自分たちの市場ポジションを守ろうとする余り、生活者というか利用者、ステークホルダーのことを見るような余裕すら失ってしまっているように感じるコトだ。
CMや販促策を見る限り、自己満足で終わってしまっているように思えるという点では、docomoも今回のトヨタの「エコ替え」や「広告自動車」も、同じような気がしてならないのだ。

クルマの市場と携帯電話の市場は、まったく違う。
それだけではなく、携帯電話市場には「想定外」なコトが次々と起こった。
クルマの市場で、それと同じようなコトが起きるとは思えないし、思わない。
だが、手を変え品を変え次々と打ち出してくる生活者感とはかけ離れたトヨタの戦略には、一種の焦りを感じてしまうのだ。

禁じ手だと思うんだけど・・・-トヨタの広告車-

2008-07-16 14:06:33 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトに、あなたの車に広告を トヨタ、実質値引きで若者狙うという記事が掲載されている。
確かに自動車の販売台数は、前年に比べると伸び悩んでいる。
それに追い討ちをかけるように、原油高騰によるガソリン代の値上げだ。
既に自動車を持っている人でも、自転車でいけるところは自転車を利用し、なるべく自動車を使わないようにしている、というのが現状だろう。
それを如実に表すのが、都市部でなくなりつつある渋滞だろう。

「若者の自動車離れ」とは言うけれど、クルマの免許を取得してもクルマを購入するだけの資金やメンテナンスに必要な費用を考えると、簡単に買えるモノではない。
なにより、クルマが一番欲しい世代での雇用が不安定な時代なのだ、当然クルマを購入するより先に考えるモノがあるだろう。

先日エントリした「適正価格ってなんだろう?」に、zosojhさんがコメントをしてくださったように、クルマそのものの「市場価格」があやふやだと感じている若年層がいるのかも知れない。
私自身は、クルマの免許すら持っていないのでクルマの市場価格が、安いのか高いのか良く分からないというのが、本当のトコロなだ。
ただ、クルマを購入した友人によると、オプションやら何やらいっぱい付けて、割引があって・・・と言う話を聞く。
オプションを付けて、下取りがあって、何とか割引があって・・・となると、本当の価格はいくらなのか?分からなくなってしまうのは当然だろう。
それも、購入者によってその割引が違う、という話を聞いたこともある。
もう少し「明朗会計」な価格設定にすることのほうが、クルマビギナーにとっては安心できると思うのだ。
そのほかにも日本の場合、短期間でクルマの買い替えを勧めているような気がしてならないのだ。

それとは別に、今回の「走る広告車」というのは、一般宣伝とは又違った意味で「禁じ手」のような気がするのだ。
コレまで、「走る広告車=社用車」に限られていた。
だからこそ、そのクルマを見た人は「あぁぁ~○○と言う会社のクルマが走っている=営業している」と思っていたはずだ。
ところが、乗っている人と広告車とはまったく関係が無いということになると、市中を走るクルマの脇や後ろにある広告ばかりが目立って、うっとうしいだけだ。

拙ブログでは、アフェリエイトをしていないが、アフェリエイトでお小遣いを稼いでいる人でも、自分でその広告を選び、より効率の良い広告へと使い捨てているのではないだろうか?
クルマの場合、その様な身軽さがあるわけでもなく、その広告主企業と縁もゆかりも無いのに、制限が多い上に、90日間で6万円(税込み)のお小遣いが貰えるからという理由で、このようなクルマに乗る気にはならないような気がするのだ。
なにより、最初の90日間よりも、もっと長い日数を乗らなくてはいけないのだから、二の足を踏んで、当然だと思う。

トヨタのこの「斬新なアイディア」は、目先の販売台数Upだけを考えた販促のように思えてならないのだが・・・。