日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ブランドを守る-一色産うなぎの場合・その後-

2008-07-10 22:16:56 | アラカルト
先週エントリした「一色産うなぎ偽装」の件について、新しい動きがあった。
それが以前から問題になっていた「里帰りうなぎ」と呼ばれる、うなぎに「一色産」という表示を禁止するという方法だ。

以前からいわゆる「里帰りうなぎ」については、イロイロと問題を指摘されていたようだ。
私などは初めて聞く「里帰りうなぎ」ということばなのだが、どうやら業界団体などでは一般化していたようで、稚魚を日本近海(といっても、どこまでが「日本近海」なのか分からないのだが・・・)で獲り、ある一定の大きさになるまで台湾などで育てた後、再び日本に逆輸入し日本国内で育て出荷する「うなぎ」のことのようだ。
考えてみれば、日本で消費されるうなぎの量から考えれば、その中に「生まれも育ちも外国」といううなぎがいても、おかしくはないような気がする。

それが儲け至上主義の一部の業者によって、都合の良いように解釈され「生まれも育ちも外国」といううなぎを、養殖期間が一番長いという理由で「国内産」と偽ってしまうのではないだろうか。
もちろん、「魚秀」のような真っ赤なウソ「国内産」という業者などは許されるべきではないのだが、彼らによっては都合の良い隠れ蓑になっていたようにも思う。

改めて今日、このコトを取り上げたのには、訳がある。
それは、「一色産うなぎブランド普及協議会」が、この「里帰りうなぎ」を「一色産うなぎ」から外し、トレーサビリティー制度を設けるという話がされたというのだ。
その背景にあるのは、もちろん「魚秀」が起こした「一色産うなぎ偽装事件」も関わっているだろう。
もうひとつは、愛知県内でも不正表示事件があったことによるもののようだ。
「魚秀」の事件が余りにも悪質で、問題としても大きかったことから、余り注目されず、私もニュースでチェックしきれていなかったのだが、「一色産うなぎブランド普及協議会」とすれば、自分の足元というか同業者仲間が起こした事件であったがために、問題視していたのかも知れない(←ブランド好きさんの指摘は、このコトだったのかも知れません)。

数年後、もしかしたらトレーサビリティーのタグが付いたうなぎが、売られるようになるのかも知れない。
とすれば、スーパーに並ぶ蒲焼はどうなるのだろう?
耐熱タグのようなモノをつけた蒲焼が、並ぶのだろうか?

プレミアム効果か?サントリーの躍進

2008-07-10 13:13:06 | マーケティング
日経新聞他のWEBサイトに1―6月のビール系飲料シェア、サントリー初の3位 という記事が掲載されている。

しばらく前から、同じような調査で「サッポロを抜いた」という記事を、見かけることが多かったのだが、半年という期間での調査結果として「3位」というのは、その意味が大きいと思う。

サントリーの躍進を考えると、最初に思い浮かぶのが「プレミアムモルツ」だ。
いわゆる「プレミアムビール」の火付け役となった、ビール。
その後、他社も次々と「プレミアムビール」を発売するものの、なかなか定着に至っていないような気がする。
もちろん、古くからのファンがいて元々「プレミアム」的存在だった「エビスビール」などは別だが、昨年発売されたキリンのニッポンプレミアムなどは、今年から販売地域が限定されたのか?ここ名古屋ではテレビCMはおろか、近所の大型スーパーやお酒のディスカウントショップなどでも、見かけることがない。
ビールを含む飲料水は、年間で新発売されるうち、残る商品は極々僅かといわれているのだが、それにしても「キリン=ビール」というほどのブランド力のあったはずのキリンですら、プレミアムビールという分野においては、サントリーに水をあけられたような印象がある。

その「プレミアム」イメージとはまったく逆のイメージで売り出したのが「第3のビール」と呼ばれる「新ジャンル」(ビール業界ではこのように呼ぶらしく、各社のHPなどを見ても「新ジャンル」というカテゴリーになっている)では、「0カロリー」というキャッチコピーで、「健康」というか「ビールの好きなメタボのお父さんにも、美味しく安心して飲めます(もちろん、家計にも優しい)」という明快なアプローチのCMを展開し、支持されたようだ。
余りにもストレートで明快すぎるCMのためなのか?他社の同様のCMがかすんでしまうほどだ。

サントリーのビール事業というのは、決して順調な事業ではなかったはずだ。
以前、45年かけ、やっと黒字というニュースに驚き、「よく我慢したな~」と、思ったことがある。
昨今の洋酒離れで、サントリーとしては、新たな事業の柱となって欲しいと考えていたところに、「プレミアムモルツ」がモンドセレクションのビール部門で最高金賞を受賞し、それが3年続いたことで、生活者からの信頼度が高くなり、「サントリーのビール」としてではなく「プレミアムビール」として、受け入れられた結果としての躍進ように思えるのだ。