日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

3.11ショックと購買心理

2011-04-19 13:13:39 | ビジネス
「東日本大震災」から、1ヶ月と1週間が過ぎた。
被災地では、復興への動きも少しではあるが見えはじめたようだ。

震災当時、日本全土を覆っていた「自粛ムード」も、今月に入ってからは「被災地応援のためにも過剰な自粛はやめよう」という動きになってきた。
拙ブログでも「Buy東北」というコトを、積極的に言ってきた。
そのような動きがある反面、「3.11ショック」とも言えそうな、「購入意欲が湧かない」という心理状態の方がいらっしゃるようだ。

「被災地の方々の姿を見て、贅沢はできない」という方も多いと思うのだが、津波で押し流される家屋や車、その後の基礎だけ残った家や押し流されて潰れた車など、被災地の現状をテレビのニュースなどで繰り返し見ることで「ある種の価値観の変化」が起きているように感じている。

単に、「買い物や外食に行かない」というのではない。
「興味が無くなった」という部分も少なからずある、という点が問題なのだ。
その背景には「いくら高いお金をかけて、流行のファッションに身を包んでも、震災にあってしまえば関係ない・・・それどころか、失うモノが多すぎる」とか「外食にかけるお金を違うモノに・・・」という感覚があるのでは無いだろうか?
逆に考えれば、「内省型消費」へと向かいつつあるのかも知れない。

以前から、「欲しいモノが無い型消費」と言われていたのが、日本国内の市場だった。
それを「手を変え品を変え」で、何とか消費に結び付けていたという部分が無かったわけではない。
その「手を変え、品を変え」が生活者に通じなくなってしまった、というのが「3.11ショック」なのかも知れない。
だからと言って、いつまでもこの状態が続くとは思えない。
いつかは戻ってくると思う。
ただ不安なのは「いつか」が、「いつなのか分らない」コトだ。

だからと言って「被災地復興のためにも、経済建て直しの買い物を」と言っても、心というか気持ちが追いつくわけでは無い。
一種の「バーンアウト」状態なのかも知れないのだ。
そこで考える必要があると思うのは、「生活者が生活サイズを縮小しても、売れるモノ」という発想だ。
「生活サイズを縮小しても、売れるモノ」というと、食料品や日用品など生活に必要なモノばかりを思い浮かべるかも知れない。
「家族で過ごす」など、価格では計れない価値を提案するコトのように思うのだ。

「3.11ショック」は、ビジネスの発想も変えるコトになるのかも知れない。