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電力コストを考える

2011-04-24 20:48:46 | ビジネス
東京電力の「福島第一原子力発電所事故」発生以来、各地で「原発反対」とか「原発停止」デモが広がっている。
今だ収束の見通しが立たない状況なので、仕方のないといえるだろう。
もちろん、東京電力自体収束に向け現場では、身の危険を顧みず絶え間ない努力が続いているはずだ。

このような状況に対して、ソフトバンクの孫さんが「自然エネルギー財団」を設立をいち早く発表した。
素早い動きには、驚くばかりだが「自然エネルギー」といえども、それなりの投資が必要となってくる。

これまでの「電力コスト」というと、設備投資や石油などの原材料などを中心に考えられてきたのではように思う。
その意味で、原子力発電はCO2を排出しない「クリーンなエネルギー」であり、「(プルサーマルなどを利用すれば)コストの安く抑えられる」という、メリットが高いエネルギーだったはずだ。
「安定的供給とコスト安」でなくては、日本の産業の発展にも影響が大きかったからだ。
だから東京電力「福島第一原子力発電所」を始め、日本の原子力発電は「石油後の電力」というコトを考えて、官民一体となって推進してきたという過去がある。

ところが今回の「福島第一原子力発電所事故」のようなコトが起きるという想定は、されてこないように思う。
それを表すのが「原発安全神話」と呼ばれるモノだろう。
東京電力としても、「事故があった場合の修理保全」という意味でのコスト意識はあったと思う。
しかし、「放射能汚染」という「健康被害や風評被害」というリスクまでは、想像していなかったと思う。
そして、その「健康被害や風評被害」が、「事故発生時の修理保全」にかかる費用よりも、膨大だということが、今回初めてわかったのでは無いだろうか。

とすれば、現在全国各地で稼動している原子力発電にも同じコトが言えるのでは?
一旦事故を起こせば、施設の修理保全に掛る費用よりも遥かに膨大な「損害賠償費用」が発生する、という現実だ。
電力会社+政府+金融機関が一緒になって、基金を設立したところで、支払わなくてはならない金額の多さと、その被害の広がり方を考えると、原子力発電所がとてもリスクの高い事業ということになるのでは?

もしかしたら、現在盛んに行われているデモに影響されるのではなく、「福島第一原子力発電所事故」の「損害賠償額」によって、各電力会社が原発の運用と建設の見直しをするコトになるかもしれない。
その意味で、これまでの原子力発電リスクというの「パンドラの箱」を開けてしまったのが、今回の「福島第一原子力発電所事故」だったのかも知れない。