日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

判断ミスをするのは何故

2013-09-04 17:09:07 | アラカルト

今月は、「がん征圧月間」だというコトを、ご存じの方は余り多くないかも知れない。
実際、私自身乳がんという病気になってから知った。

今書店に行くと、「がん治療拒否」の本と「がん治療を勧める」本が並んで置いてあるコトが多い。
そして、多くの人は「がん治療拒否」の内容を知ると、安心と言うか「がん治療のために、早期発見・早期治療は必要無い。抗がん剤は、がん治療には効果が無い」と考え、極力「がん」という病気から目を離すことで、「自分はがんにならない」という、確信のない安心を得ようとしているかのように見える。

実際の統計から言えるコトは、日本人の死亡原因の第1位はがんで、約3割を占める。
男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんに罹患している。
この傾向は日本だけではなく、欧米やお隣韓国などでも同様だと言われている。
と言っても、一番顕著なのは日本なのだ。
何故なら、日本が「長寿大国」だから。
そして、がん治療は日進月歩に進んでいる。

その様な事実がありながら、何故多くの人は「がん治療拒否」に、心動かされるのだろうか?
著者自身は抗がん剤を使って治療をする、腫瘍内科医ではない。
放射線治療を専門とする医師である。
専門家以外の言葉のほうが、世間的に支持され信用されている、と言うおかしな状況なのだ。

おそらくそれは「がん」という病気に対しての、知識も理解も十分にされていないからだと思う。

特に「がん治療拒否」を掲げる本に書かれている、「抗がん剤は効果がない」という一文は、一般的に知られている抗がん剤の副作用のイメージと相まって、「あんな辛い治療はしたく無い」という気持ちが、「がん治療拒否」を支持しているのではないだろうか?

人は悲しいかな、様々なデータにより立証されているコトよりも、自分にとって都合の良い情報を優先的に良しと理解してしまう傾向があるのだ。
「がん」という病気は、生死に関わる問題なので大きく取り上げられるのだと思うのだが、実際のビジネスでもこの様な「自分の都合に良い情報を優先的に判断材料としてしまう」というコトは、間々としてあるはずだ。
「こんなはずでは無かった!」という結果を生むのも、この様な判断のミス(と言って良いかどうかはわからないが)が、一因だと思う。

「冷静な判断さえできていれば・・・」と言うコトになるのだが、人はそれほど常に冷静ではない。
むしろ、自分の価値観や感覚を優先し、行動するコトのほうが多い。
私などは、それでどれだけ失敗を繰り返してきたことか!
だからこそ、一呼吸置いて専門家(最近は、似非専門家も多いので、注意が必要だが)の意見を聞く、と言う「余裕」が大切になってくる。

むしろ「余裕」と知識の少なさが、判断を誤る誘因となっているのかも知れない。
結果を急ぐ余り、本質を見る「余裕」を見るコトもなく、判断をするための客観的知識を得ようとしない。そして自分の都合の良い情報を信用する・・・判断を誤らせるモノは、自分の中にも沢山あるのだ。