世の中には、「この人がいなければ、その商品やサービスが誕生していなかった」というモノがある。
S・ジョブスの創りだした「iPod」「iPhone」「iPad」、今では当たり前のようになった「宅配」は、ヤマト運輸の小倉昌男さんが創りだしたサービスだ。ちなみに「宅急便」という言葉は、ヤマト運輸のサービスのみに使われる商標登録された言葉だ。
そして、「家庭用ゲーム機」とその市場を創り出した任天堂の元社長・山内溥さんが、今日亡くなられた。
奇しくも、東京ゲームショーが開かれている最中の訃報だった。
任天堂という、会社は元々「花札」を作っている会社だったことは、ご存じの方も多いと思う。
それが時代の移り変わりとともに「トランプ」などへと、変わっていくのだが、その様な企業が「家庭用ゲーム機」を作り出し、「ゲーム市場」という一大産業を創りあげた、と言うのも興味深い。
以前、任天堂について書かれた本を読んだことがあるのだが、任天堂という企業は「自分達は、生活に必要なモノを作っている企業ではない。だが、そのモノがあるコトで、人が幸せになれるような企業でありたい」と言う考えに、徹底的にこだわっていたようだ。
その考えがあったからこそ、「ファミコン」が大ヒットしたのだと思う。
事実、任天堂の家庭用ゲーム機が大ヒットしたのをうけ、家電各社が一斉に参入をした。
任天堂の「ファミコン」そのものは、家電製品を作っている企業からすれば、作るコトそのものは決して難しいモノでは無かったのだ。しかし、残っているのはご存じの通りソニーだけ。
ソニーがこの分野で生き残れたのは、エンターテイメント事業に携わっていたからだろう。
任天堂が強かったのは、上述したような「思い」があり、それをカタチにし、喜んでもらいたい、と言う一念があったからなのではないだろうか。
山内さんご自身が、ゲーム機やゲームソフト開発に陣頭指揮をすることはなかったようだが、任天堂という企業の経営者としての影響力は強かったのではないだろうか?
何より「ゲーム市場」という、それまで無かった市場を創り出した功績は大きいと思う。
ご冥福をお祈りしたい。