■戦車連隊!これがその底力
戦車部隊の躍動感ある写真とともに雑感所感など。
10式戦車も90式戦車も、実のところ第四世代戦車の概要がどのように展開するのかが未知数であるなかの設計ではあったのですが、世界をみますと第四世代戦車については革新的な転換点となる戦車がでない中で第三世代戦車の改良が進んでいまして、特に防御面で。
対戦車ミサイルへの備え。近年特に考えさせられるのはアクティヴ防御装置の搭載です。アクティヴ防御装置は対戦車ミサイルを検知し擲弾などを投射して迎撃するというソ連が末期に開発した防御装置、ここからはじまります、もっとも今年勃発した戦争で評価は。
ロシア軍ウクライナ侵攻では緒戦数日間でアクティヴ防護装置を搭載したT-90戦車がウクライナ軍に供与されたジャベリン対戦車ミサイルに破壊され戦車ごとくろこげになっている写真が報道され、電源が入っていなかったのか迎撃できなかったか、議論となりました。
カールグスタフでも効果が在った。上記の通りですがただ、今度はT-90がスウェーデン製カールグスタフ携帯無反動砲に撃破された車体が報道され、これで自衛隊も大量に装備しているカールグスタフが、効果が有ると認識すると共に、防御装置の限界を突き付けた。
西側の第三世代戦車はともかくとして北海道に侵攻してくるだろう戦車に対しては有効だ、と認識できたのは僥倖ではあったのですが。このアクティヴ防護装置、イスラエルのラファエル社が開発し、ドイツのラインメタル社も追随、特別な装備とは言えないのですね。
BAEシステムズ社はヴィッカース社時代に実用化を研究していましたが断念されつつ、技術的要素は残っていますし、日本は防衛装備庁が技術研究本部の時代から実施していました、この西側のアクティヴ防護装置が、実用化されつつあるのですね、性能も実用的に。
アメリカがM-1エイブラムス戦車シリーズに搭載を開始します。レオパルド2戦車もドイツの改良型であるレオパルド2A7から本格的に搭載されますし、装甲戦闘車への搭載も、考えてみれば破壊されれば人的損害が戦車よりも遙かに大きく当然といえば当然だ。
戦車は勿論装甲車にも、こうした動きがあります。アメリカ軍は別としまして、背景に考えられるのは欧州NATO諸国が冷戦終結後、徹底的といえるほどに戦車を削減し、ドイツ連邦軍などは東西統一時に4800両あった戦車を225両まで、削減されているのです。
欧州ではフランス陸軍も戦車が200両、これだけしか戦車がないのに両国とも機甲師団を二つも維持しているのは不思議ですが、そして1000両以上戦車があったオランダは現在15両、まあ凄いものでして、自衛隊や韓国陸軍、トルコ陸軍や台湾陸軍などは例外的か。
戦車の近代化改修が凄い背景には、戦車が削減されているために戦車の予算を限られた数の戦車に集中投入できるようになったのですね。もっとも、このために次世代戦車の開発が、戦車がこれだけしかなにも関わらず開発できないと新型戦車に乗り換えられない事に。
EMBT,既存の戦車を改修するとともにEMBT欧州戦車のように、過去幾度も頓挫し中止されつづけてきました国際共同開発を選択せざるをえないような状況があるのですが。アクティヴ防護装置、ソ連制のものを維持していたロシアは燦々たる状態となっています。
ロシア軍はいまやアクティヴ防御装置など装着もしていないT-62戦車を現役に復帰させていますが、アメリカが評価試験をおこなったトロフィーは、十分実用的であるとして装備が進められています、特に対戦車ミサイルは第三世代戦車の発想、原点にあるのですがね。
戦車が生き残るためには第三世代戦車はその拡張性を以て近代化改修を重ねなければ、M-4シャーマンがアイシャーマンとなって第二世代戦車のT-62戦車を撃破する様な状況は考えられるのです。そしてこれは日本の第三世代戦車の改修の必要性を意味しています。
ミサイル万能時代に対抗して重装甲だが軽量となった複合装甲という技術により命中しても貫徹させず受けとめることが可能となった、こうした構図があった。複合装甲、しかし対戦車ミサイルは重量の制約が実質ありませんしミサイルの威力を強化するのも容易い。
ミサイルは戦車砲のように口径の制約を受けませんし、ブースターの出力を強化することで弾頭を強力なものと出来、要するに圧延均一鋼板1000mmの貫徹などは基本となっていますし、ミサイルが大型化しますと当然のように射程も5km10km15km延伸してゆきます。
トップアタック式軌道という戦車の装甲が正面装甲よりも遙かに薄い部分をねらう弾頭が、1996年にアメリカのジャベリン、自衛隊でも2001年に01式軽対戦車誘導弾が、もとをたどればスウェーデンのビル対戦車ミサイルが1986年には実験に成功していたものがある。
これはもう装甲を強化するよりは迎撃する、という時代に転換をしいられているのですね。自衛隊の戦車については、アクティヴ防護装置の追加搭載、死活的に重要と考えるのですが。防衛装備庁のアクティヴ防護装置は、擲弾ではなく別のこう安全なものを投射します。
防衛装備庁のものは、擲弾ではなくエアバッグを投射してミサイルの弾道を阻害するという、少々難しい方式を考えているもようで。普通科部隊の装甲化が不十分であるために従来の擲弾を投射するアクティヴ防護装置を採用した場合は擲弾の炸裂による影響が。
普通科隊員がこちらで死傷する懸念があったのですね、故に難しいというか少々頓珍漢といえるような迎撃手段を考えているという、なぜ装甲車に乗せないのか。普通科と戦車の協同といいますが、機動力で戦車は陸上装備の中でも最高度の性能を有しているのです。
1500hpのエンジンにものをいわせて90式戦車は70km/hで前進しますので普通科部隊に随伴能力を求めるには高機動車の機動力では道路上でなければ随伴できません、いや高機動車という区分も実質は路上高機動車ですので不整地では高機動の車では、ありません。
予算不足が背景にあることは認識しているのですが、装甲車の不足はこうした部分に影響している。装甲車も73式装甲車であれば最高時速は戦車よりも遙かに、なにしろ現在では低速である74式戦車に随伴を求められた設計、第三世代戦車に随伴することはできません。
戦車の機動力、そして現在最新鋭の装甲戦闘車は、いまだに最新鋭という89式装甲戦闘車ですが、こちらのエンジン出力は600hp、当時ではこれでよかったのかもしれませんが、現代の視点から考えれば、まあ設計が30年以上前なので当然なのでしょうが時代遅れで。
1000hpクラスのエンジンにより不整地を遮二無二突破する能力が必要ではないか、こう考えるのですね、もちろん懸架装置技術の技術革新により600hpで1200hpの10式戦車を凌駕するほどではなくとも伍する機動力を発揮できればそれはそれで素晴らしいのですが。
結果的に普通科部隊の装甲化の遅れが戦車の機械化部隊としての能力を抑えて仕舞う現実はあるように感じる。下車戦闘、アクティヴ防護装置を運用するばあいの懸念点となる視点ですが、装甲戦闘車も幾度か指摘しましたが、装甲戦闘車は最後の瞬間まで下車しない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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戦車部隊の躍動感ある写真とともに雑感所感など。
10式戦車も90式戦車も、実のところ第四世代戦車の概要がどのように展開するのかが未知数であるなかの設計ではあったのですが、世界をみますと第四世代戦車については革新的な転換点となる戦車がでない中で第三世代戦車の改良が進んでいまして、特に防御面で。
対戦車ミサイルへの備え。近年特に考えさせられるのはアクティヴ防御装置の搭載です。アクティヴ防御装置は対戦車ミサイルを検知し擲弾などを投射して迎撃するというソ連が末期に開発した防御装置、ここからはじまります、もっとも今年勃発した戦争で評価は。
ロシア軍ウクライナ侵攻では緒戦数日間でアクティヴ防護装置を搭載したT-90戦車がウクライナ軍に供与されたジャベリン対戦車ミサイルに破壊され戦車ごとくろこげになっている写真が報道され、電源が入っていなかったのか迎撃できなかったか、議論となりました。
カールグスタフでも効果が在った。上記の通りですがただ、今度はT-90がスウェーデン製カールグスタフ携帯無反動砲に撃破された車体が報道され、これで自衛隊も大量に装備しているカールグスタフが、効果が有ると認識すると共に、防御装置の限界を突き付けた。
西側の第三世代戦車はともかくとして北海道に侵攻してくるだろう戦車に対しては有効だ、と認識できたのは僥倖ではあったのですが。このアクティヴ防護装置、イスラエルのラファエル社が開発し、ドイツのラインメタル社も追随、特別な装備とは言えないのですね。
BAEシステムズ社はヴィッカース社時代に実用化を研究していましたが断念されつつ、技術的要素は残っていますし、日本は防衛装備庁が技術研究本部の時代から実施していました、この西側のアクティヴ防護装置が、実用化されつつあるのですね、性能も実用的に。
アメリカがM-1エイブラムス戦車シリーズに搭載を開始します。レオパルド2戦車もドイツの改良型であるレオパルド2A7から本格的に搭載されますし、装甲戦闘車への搭載も、考えてみれば破壊されれば人的損害が戦車よりも遙かに大きく当然といえば当然だ。
戦車は勿論装甲車にも、こうした動きがあります。アメリカ軍は別としまして、背景に考えられるのは欧州NATO諸国が冷戦終結後、徹底的といえるほどに戦車を削減し、ドイツ連邦軍などは東西統一時に4800両あった戦車を225両まで、削減されているのです。
欧州ではフランス陸軍も戦車が200両、これだけしか戦車がないのに両国とも機甲師団を二つも維持しているのは不思議ですが、そして1000両以上戦車があったオランダは現在15両、まあ凄いものでして、自衛隊や韓国陸軍、トルコ陸軍や台湾陸軍などは例外的か。
戦車の近代化改修が凄い背景には、戦車が削減されているために戦車の予算を限られた数の戦車に集中投入できるようになったのですね。もっとも、このために次世代戦車の開発が、戦車がこれだけしかなにも関わらず開発できないと新型戦車に乗り換えられない事に。
EMBT,既存の戦車を改修するとともにEMBT欧州戦車のように、過去幾度も頓挫し中止されつづけてきました国際共同開発を選択せざるをえないような状況があるのですが。アクティヴ防護装置、ソ連制のものを維持していたロシアは燦々たる状態となっています。
ロシア軍はいまやアクティヴ防御装置など装着もしていないT-62戦車を現役に復帰させていますが、アメリカが評価試験をおこなったトロフィーは、十分実用的であるとして装備が進められています、特に対戦車ミサイルは第三世代戦車の発想、原点にあるのですがね。
戦車が生き残るためには第三世代戦車はその拡張性を以て近代化改修を重ねなければ、M-4シャーマンがアイシャーマンとなって第二世代戦車のT-62戦車を撃破する様な状況は考えられるのです。そしてこれは日本の第三世代戦車の改修の必要性を意味しています。
ミサイル万能時代に対抗して重装甲だが軽量となった複合装甲という技術により命中しても貫徹させず受けとめることが可能となった、こうした構図があった。複合装甲、しかし対戦車ミサイルは重量の制約が実質ありませんしミサイルの威力を強化するのも容易い。
ミサイルは戦車砲のように口径の制約を受けませんし、ブースターの出力を強化することで弾頭を強力なものと出来、要するに圧延均一鋼板1000mmの貫徹などは基本となっていますし、ミサイルが大型化しますと当然のように射程も5km10km15km延伸してゆきます。
トップアタック式軌道という戦車の装甲が正面装甲よりも遙かに薄い部分をねらう弾頭が、1996年にアメリカのジャベリン、自衛隊でも2001年に01式軽対戦車誘導弾が、もとをたどればスウェーデンのビル対戦車ミサイルが1986年には実験に成功していたものがある。
これはもう装甲を強化するよりは迎撃する、という時代に転換をしいられているのですね。自衛隊の戦車については、アクティヴ防護装置の追加搭載、死活的に重要と考えるのですが。防衛装備庁のアクティヴ防護装置は、擲弾ではなく別のこう安全なものを投射します。
防衛装備庁のものは、擲弾ではなくエアバッグを投射してミサイルの弾道を阻害するという、少々難しい方式を考えているもようで。普通科部隊の装甲化が不十分であるために従来の擲弾を投射するアクティヴ防護装置を採用した場合は擲弾の炸裂による影響が。
普通科隊員がこちらで死傷する懸念があったのですね、故に難しいというか少々頓珍漢といえるような迎撃手段を考えているという、なぜ装甲車に乗せないのか。普通科と戦車の協同といいますが、機動力で戦車は陸上装備の中でも最高度の性能を有しているのです。
1500hpのエンジンにものをいわせて90式戦車は70km/hで前進しますので普通科部隊に随伴能力を求めるには高機動車の機動力では道路上でなければ随伴できません、いや高機動車という区分も実質は路上高機動車ですので不整地では高機動の車では、ありません。
予算不足が背景にあることは認識しているのですが、装甲車の不足はこうした部分に影響している。装甲車も73式装甲車であれば最高時速は戦車よりも遙かに、なにしろ現在では低速である74式戦車に随伴を求められた設計、第三世代戦車に随伴することはできません。
戦車の機動力、そして現在最新鋭の装甲戦闘車は、いまだに最新鋭という89式装甲戦闘車ですが、こちらのエンジン出力は600hp、当時ではこれでよかったのかもしれませんが、現代の視点から考えれば、まあ設計が30年以上前なので当然なのでしょうが時代遅れで。
1000hpクラスのエンジンにより不整地を遮二無二突破する能力が必要ではないか、こう考えるのですね、もちろん懸架装置技術の技術革新により600hpで1200hpの10式戦車を凌駕するほどではなくとも伍する機動力を発揮できればそれはそれで素晴らしいのですが。
結果的に普通科部隊の装甲化の遅れが戦車の機械化部隊としての能力を抑えて仕舞う現実はあるように感じる。下車戦闘、アクティヴ防護装置を運用するばあいの懸念点となる視点ですが、装甲戦闘車も幾度か指摘しましたが、装甲戦闘車は最後の瞬間まで下車しない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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