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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊退役装備品保存展示に関する提言

2005-12-13 23:56:45 | コラム
 陸上自衛隊の駐屯地や航空自衛隊の航空機にへ赴いた方は、恐らく一度は基地に入り口や資料館の隣あたりで展示されている退役装備をご覧になっただろう。
IMG_3346 駐屯地祭や航空祭という現用の最新鋭装備が並ぶ中で、いかにも古めかしい61式戦車やF-86戦闘機といった見た目にも古めかしい装備品は、ある種牧歌的な雰囲気をかもし出している。
 退役装備品は、展示に当たって、“広報効果”というものが当然考えられ、耐用年数を過ぎ、本来は廃棄物となるものを配置している訳だ。
 自衛隊や日本の航空史、戦車装備史などを知るうえで、保存展示装備は大きな意義を有しているが、広報効果のほうが重要視される。
 当然、自衛隊は軍事機構であると同時に、一種のお役所であるから、装備品を展示する上でも予算措置が必要となる。したがって、航空機や戦車などを展示するということは当然、相応の広報効果を目的として予算措置が為された筈である。
 その一方で、装備品は長年風雨に曝され、風化や経年劣化が進んでいる。廃棄された自動車などを河川敷やスクラップ向上で見られた方は、エナメル塗装でも意外に早く退色することに驚かれただろう。自衛隊の装備品は、民生車輌よりも塗色変更が頻繁に行われる為、退色も早いのである。また、錆などによる侵食も大きな問題である。
IMG_4091 こうして、最近は破損が著しい展示品については撤去が進んでいる。
 日常的に整備できる予算、若しくは屋根などの保存環境が整備されれば、展示品の保存も容易になろう。
 ここで考えるのは、保存装備の展示によって生まれる広報効果である。広報効果というようなものは算定が難しい、特に即物的な思考を有する日本人にはこうしたソフト的な論理は理解されにくい。従って、広報効果は過小評価されているのではないだろうか。
 戦車など、現用のものであれば砲塔内部に入る事は一般の人には中々機会がないし、航空機に関しても写真撮影はコックピットに関して制限があるし、触ることも航空祭では難しい。
 数値として現れないだけで、広報効果というものは大きいはずである。
FH030026 難しいかもしれないが、各種装備品を多くの駐屯地に展示させると同時に、方面隊や航空方面隊規模で保存する大型の広報館を設置することは難しいだろうか?少なくとも、広報効果意外に装備史を知る上では有意義であると考えるし、戦車などは動く程度の整備を行う予算を付与すれば、普通科連隊だけの駐屯地では戦車との共同訓練の研究に用いる事が出来るし、航空自衛隊でも展示航空機を外見だけでも整備しておけば、F-86でもF-104でも、対テロ訓練や消防訓練などにも用いる事が出来るはずだ。
 現在、朝霞、浜松と佐世保には広報館があるが、なによりも日本という国の広さを考えれば数が少ない。
 保存される退役装備に関しては、もう少し予算措置は為されてもいいのではなかろうか。
 また、考えるに、海上自衛隊の退役護衛艦を広報用に用いる事も出来ないものだろうか、護衛艦に関しては放置しておくだけでは経年劣化で沈没する可能性もある為、多少の整備予算が必要となるが、艦の広報効果は大きい。
 例えば、2008年ごろに退役が始まるヘリコプター護衛艦『はるな』などは、大型のヘリコプター格納庫を有し、広報に用いるスペースも大きい。
 広報について、今一度再考してみるのはどうであろうか。
 
 HARUNA

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