自民党の新憲法案が提出され、与党である自民党と第二勢力を誇る民主党との安全保障や国家体制への政策方針において共通点が見られることから、いよいよ憲法改正論議が本格化している。
憲法改正について、最も大きなテーマとなるのは『憲法九条 戦争放棄』に関する記述であろう。折りしも、米軍の世界規模での再編が進み、わが国は米国の『戦略展開拠点』に位置付けられている。
戦略展開拠点に位置付けられたのはイギリスと日本だけであり、日米同盟がアメリカの世界戦略に占めるポテンシャルの大きさがここからも見ることが出来る。
さて、こうした中でかつて革新勢力といわれた勢力は、盛んに憲法改正により『日本が戦争できる国』へとなることを警戒しているようだ。これに関する議論の中で大きなウェイトを占めているのが徴兵制に関する論議である。
憲法改正と徴兵制を同一視する議論に対して、小生としては大きな疑問を感じざるを得ない。NATO諸国は、冷戦終結と同時に脅威対象が減退した為、徴兵制から志願制に移行している。ただ一国、ドイツだけが軍機構の専門職化による閉鎖化を警戒するという観点から、民主的コントロールを行うべく徴兵制を堅持しているが、これ以外は志願制への移行過渡期にある。
アメリカでは、イラク戦争の長期化により志願制ではなく徴兵制への移行が一部保守系議員により提唱されているが、大きな流れとしては志願制を維持するようで、選挙においても徴兵制に関する議論よりは、倫理的問題などに論議が集中している。
RMA(軍事分野における技術革命)が叫ばれて久しいが、かつて、日本における徴兵制といえば、入営し、小銃の扱い方や帝國軍兵士としての心得を会得すれば兵員として認められたが(当時は自動車運転技術も特殊技能とみなされ、一般に教育されていなかった)、今日では小銃も複雑化し、他に装甲車による展開や空中機動などの技能を後期教育として学ぶ必要があり、訓練だけで半年は掛かってしまう。
そして何よりも、歩兵(普通科)という職種よりも、今日では後方支援や特科、機甲科、施設科、通信科など多岐にわたる専門分野と教育があり、一朝一夕に学べるものではない。
加えて、小銃の単価は約30万円、戦闘防弾チョッキ50万円、ヘルメット10万円、迷彩2型戦闘服2万円、という装備をした隊員10名で、一台1000万円近い高機動車に乗車し、または四名で一両3500万円の軽装甲機動車に乗車し、一発220円の小銃弾を各員30発単位で消費し、一発一千万円近い対戦車誘導弾(01式)を発射する訳である。
今日において、徒歩歩兵を充実させるよりは、自動車化、若しくは装甲化を充実させ、極力短いペースで、電子戦装備を近代化するほうが懸命である。
一方で、徴兵制の利点としては、戦時動員に際して戦闘に関する経験者を大量に養成できる点があるが、イラク戦争に見られるように、専守防衛に徹すれば今日の戦争は短期決戦であり動員よりも、現役人員の充実と錬度向上のほうが理にかなっているように思える。
感情論やイデオロギー的な思い込みではなく、科学的に徴兵制と志願制を検証する必要があるように思う。
徴兵制に関する問題は、近年のわが国における論調では、軍事とかけ離れた面で議論されている。北大路機関としては今後、志願制/徴兵制を建設的な面から検証し、何らかの方式で発表してゆきたいと思う。
HARUNA
![IMG_3858 IMG_3858](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/2c/f4/410eafcd161be22399f4c06e23da86f5_s.jpg)
戦略展開拠点に位置付けられたのはイギリスと日本だけであり、日米同盟がアメリカの世界戦略に占めるポテンシャルの大きさがここからも見ることが出来る。
さて、こうした中でかつて革新勢力といわれた勢力は、盛んに憲法改正により『日本が戦争できる国』へとなることを警戒しているようだ。これに関する議論の中で大きなウェイトを占めているのが徴兵制に関する論議である。
憲法改正と徴兵制を同一視する議論に対して、小生としては大きな疑問を感じざるを得ない。NATO諸国は、冷戦終結と同時に脅威対象が減退した為、徴兵制から志願制に移行している。ただ一国、ドイツだけが軍機構の専門職化による閉鎖化を警戒するという観点から、民主的コントロールを行うべく徴兵制を堅持しているが、これ以外は志願制への移行過渡期にある。
アメリカでは、イラク戦争の長期化により志願制ではなく徴兵制への移行が一部保守系議員により提唱されているが、大きな流れとしては志願制を維持するようで、選挙においても徴兵制に関する議論よりは、倫理的問題などに論議が集中している。
![IMG_0648 IMG_0648](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/39/4e/7c0180b51495b86672e032077cfdd776_s.jpg)
そして何よりも、歩兵(普通科)という職種よりも、今日では後方支援や特科、機甲科、施設科、通信科など多岐にわたる専門分野と教育があり、一朝一夕に学べるものではない。
加えて、小銃の単価は約30万円、戦闘防弾チョッキ50万円、ヘルメット10万円、迷彩2型戦闘服2万円、という装備をした隊員10名で、一台1000万円近い高機動車に乗車し、または四名で一両3500万円の軽装甲機動車に乗車し、一発220円の小銃弾を各員30発単位で消費し、一発一千万円近い対戦車誘導弾(01式)を発射する訳である。
![IMG_0620 IMG_0620](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/43/e6/cf9da82bb64be00c72c5b2c4fb3cfe84_s.jpg)
一方で、徴兵制の利点としては、戦時動員に際して戦闘に関する経験者を大量に養成できる点があるが、イラク戦争に見られるように、専守防衛に徹すれば今日の戦争は短期決戦であり動員よりも、現役人員の充実と錬度向上のほうが理にかなっているように思える。
感情論やイデオロギー的な思い込みではなく、科学的に徴兵制と志願制を検証する必要があるように思う。
徴兵制に関する問題は、近年のわが国における論調では、軍事とかけ離れた面で議論されている。北大路機関としては今後、志願制/徴兵制を建設的な面から検証し、何らかの方式で発表してゆきたいと思う。
HARUNA