北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ブルーインパルスとともにみる岐阜基地のあゆみ

2006-10-16 11:25:19 | 航空自衛隊 装備名鑑

■航空開発の拠点として

 今回は航空自衛隊岐阜基地のあゆみを、ブルーインパルスの写真とともにお送りしたい。実は、ブルーインパルスのホームベースは松島基地であるが、T-4練習機の故郷は岐阜なのである。なお、今回の特集は、ブルーインパルスネタを小松で使い果たしたからではないかと勘ぐられる方がおられるかもしれないが、はっきり言ってその通りである!(飛行隊形から演技種目見分ける事、小生には出来ない・・・、誰か面倒で無い妙案あったら教えて)。

Img_9846  航空自衛隊岐阜基地は、1876年の旧陸軍砲兵部隊演習場設置にまで遡る。明治建軍の後、時代は大正時代に入り、我が国においても現代戦闘を展開する上での航空機の重要性が認識され、飛行場としては日本で初めて解説されたものである。なお、航空機による初飛行は帝都東京は代々木練兵場による徳川大尉による飛行が初めてであるが、飛行場としての基地建設は岐阜が日本初のものであり、日本の翼の歴史は岐阜より始まったといっても過言ではない。

Img_9857  この各務ヶ原飛行場は、陸軍航空隊飛行場として用いられた後、太平洋戦争敗戦後、米軍管理下に移されたものの、1957年2月より自衛隊との共同使用へ移行し、1958年には全面返還が為されるに至っている。この返還に伴い、当初、浜松基地にあった航空実験隊が岐阜へ移駐し、加えて木更津基地より補給部隊である臨時岐阜補給隊が移駐し、今日の飛行開発実験団の前身、今日の第二補給処の前身となる部隊が岐阜に集ったわけである。

Img_9871  新型装備や各種装備品の評価試験を実施する航空実験隊は、1974年4月に航空実験団へ組織改編され、また1989年3月には今日の名称である飛行開発実験団へと組織改編されている。

 また、名古屋市を中心とした中京地区への地域防空能力の充実を目的として1972年にはナイキ地対空ミサイルを運用する第四高射群が新編され、岐阜基地にはその司令部がおかれた。

Img_9887  評価試験部隊である岐阜基地の任務は、技術研究本部が実施する研究試験への航空機や資材を用いた協力と評価試験、そして航空技術開発には不可欠なテストパイロットの養成に加え、技術幹部の教育訓練がその任務として挙げられる。

 より端的な事例として、基地内に保存展示されたT-2練習機初号機の説明に大きく“空の勝利は技術にあり”という言葉が刻まれており、これが岐阜基地の任務といえる。

Img_9874  T-4練習機の故郷と冒頭に挙げたが、それはT-4を始めとした航空機製造を行う川崎重工岐阜工場が隣接し、且つ滑走路を共用している為である。かつて第二次大戦末期までは、同じく航空機生産の主柱である三菱重工名古屋工場にも近傍に滑走路が無いため、実に三日間をかけ製造した零戦や中攻などの機体を分解し、牛車(自動車輸送では振動が著しく機体が損壊する為)により輸送し、この飛行場より熾烈きわまる南方戦線や太平洋上の機動部隊、そして本土防空に供していた。

Img_9963  こうした関係もあり、航空自衛隊が運用する各種航空機に加え、川崎重工にて生産、整備された航空機も見る事が出来る。蛇足ながら、本年二月、海上自衛隊納入直前のMCH-101が試験飛行中の写真を撮影に成功し、再度鮮明な写真撮影を試み後日展開したところ、偶然飛行開発実験団のT-1/T-2ラストフライトという歴史的瞬間に立ち会う事が出来、更に現地に集まってみえた方々より翌日の小牧基地T-1Bラストフライトのお話をお教えいただき、撮影し掲載できたのは望外の機会であった。

Img_9978  そう、岐阜基地は航空機の宝庫である。評価試験を実施する飛行開発実験団とあって、T-1やT-2を最後まで運用したのは無論のこと、F-2の試作機も全て岐阜基地に配備されており、加えて現在では川重岐阜工場と技術研究本部において次期輸送機・次期哨戒機が初飛行に向け開発中である、いわば日本航空史の生き字引というべき基地ということさえできるのではないだろうか。特に、F-2試作機には独特のカラーリングが施され、例えばブルーインパルスとの対比も面白い。

Img_9981  岐阜基地より、本年三月、前述のようにT-1、T-2が退役し、また今年度はT-3練習機が退役予定である。一方で、彼らはCCV実験機やF-104Jと同じく保存機として翼を休め、これから来るであろうC-Xや間もなく選定が為されるであろうF-Xを見守り続けるだろう。なお、この岐阜の空の歴史は隣接する“かがみがはら航空宇宙博物館”にも詳しく展示されており、一見の価値がある。

HARUNA

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コメント (4)
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