北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊中部方面隊創設46周年記念行事

2006-10-22 23:10:03 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■伊丹駐屯地祭

 十月二十二日、兵庫県伊丹市に所在する陸上自衛隊伊丹駐屯地において中部方面隊創設46周年記念行事が開催された。

Img_0339_1_1   陸上自衛隊は、各国において“軍団”にあたる五個“方面隊”により、日本国内の管区師団制を構築している。中部方面隊は、愛知県・静岡県県境から、北陸、中京、近畿、紀伊、四国、山陰、中国地方を含む関門海峡までの地域をその任務担当範囲としており、域内における防衛出動、災害派遣に対する責任を負っている。中部方面隊は、この程、創設46周年を迎えた。今回はその様子を写真などにより紹介したい。

Img_0263_1  中部方面総監折木良一陸将へ、着剣し、捧げ銃の姿勢を採る隊員。41㌢という64式銃剣が小銃に取り付けられている。

 「即応して行動する時代」、先日の北朝鮮による核実験や一向に進展の展望を見せない拉致事案、工作員侵入の事案を挙げつつ、インドネシアジャワ島津波災害緊急人道支援任務、イラク復興人道支援任務の完遂を祝し、訓示とした。

Img_0358_1  訓示、祝辞が終了した後、観閲行進に移った。観閲行進の先頭を務めたのは、中部方面隊隷下の第三師団、第十師団、第十三旅団、第十四旅団より選抜され臨時に編成されたレンジャー部隊による徒歩行進により開始された。特に本年は、四国善通寺の第二混成団が改編により第十四旅団へと改められた事が中部方面隊の過去四半世紀における最大の改編であり、観閲行進においても第十四旅団隷下部隊の行進が多く含まれていた。

Img_0384  第八普通科連隊の高機動車部隊。装甲を施していない、いわゆるソフトスキン車である高機動車であるが、中部方面隊がその任務担当管区に有する長大な海岸線を、特にゲリラコマンドによる浸透に対処する為には、何よりも急速展開によって火力に代える必要があり、普通科部隊に迅速且つ急速な展開能力を付与した高機動車は、陸上自衛隊普通科部隊を大きく近代化するのに貢献したのは今更言うまでもない。

Img_0376  第十四普通科連隊の軽装甲機動車部隊。軽装甲機動車は、小型装甲車が従来有していた斥候任務という性格を突破し、複数の装甲車により小銃班を機動させることにより、戦闘行動における火力拠点の細分化と、対火力性能を普通科部隊に付与したことで、これまで地形を防禦手段としつつ遅滞行動や防禦戦闘に重点を置いていた普通科部隊を攻勢の主要手段と損耗局限に大きな展望を与えるに至ったと評価できる。

Img_0401  方面通信群所属の車輌部隊。現代地上戦闘における通信の重要性は改めて述べるまでもないが、加えて東海・東南海・南海地震の想定震源区域をその警備担当区に収める中部方面隊にとり、通信の確保は更に別次元の重要性を有している。車列の最後尾を走る車輌は、未だ爪痕を残す1995年、阪神大震災における通信網確保の必要性より導入されたものであり、今この瞬間にも生じるかもしれない災害に備えている。

Img_0391  第14特科隊のFH-70榴弾砲、第二混成団より改編された第十四旅団所属の部隊であり、長躯松山より展開している。後方支援機能強化型連隊戦闘団というべき混成団編成から、二個普通科連隊を基幹とする旅団に改編され、廃止されていた戦車部隊も一個中隊を配属させた旅団編成へと強化している。これで陸上自衛隊に残る混成団は、那覇の第一混成団のみとなったが、遠からず改編が為されると思われる。

Img_0413  観閲行進の最後を、第十戦車大隊の74式戦車4輌が中隊旗を靡かせつつ全速で観閲台前を疾走する。砲塔に描かれた鯱を模る大隊マークが眩しい。滋賀県の今津駐屯地に第三戦車大隊とともに駐屯しており、この他、中部方面隊隷下の戦車部隊駐屯地として日本原駐屯地に第十三戦車中隊、第十四戦車中隊が駐屯し、機動打撃力維持への厳しい訓練に励んでいる。なお、中間の二両には夜戦用赤外線サーチライトが搭載されているのが分かる。

Img_0425  今年度は、訓練展示がプログラムに組まれておらず、また諸事情により祝賀飛行も実施されず、例年飛来する海上自衛隊哨戒ヘリによる航過も中止となっていた。その分、従来装備品展示に用いられるグラウンドを利用し、第三音楽隊、中部方面音楽隊による野外音楽演奏が1300時と1400時より実施され、クラシックやマーチ、アニメ主題歌や時代劇のテーマ曲などを演奏し、生演奏ならではの迫力で会場を沸かせた。

Img_0503  保安中隊によるM-1ガランド小銃を用いたファンシードリルもこれに引き続き実施された。磨き上げられた小銃を軽々と取り回し、太鼓の軽やかな音と共に規則正しい隊形変更を次々とこなし、最後に空へ空包を発射する円舞を行う彼らも、平時にあっては駐屯地の刑事事件対応、有事の際には交通整理や司令部警備、そして捕虜取り扱いという任務に当たる。

Img_0534  関西外国語大学のチアリーディング部“パイレーツ”による展示。中部方面音楽隊の音楽演奏と共に軽々と中を舞う様子は、中部方面音楽祭では過去二年に渡り実施されているが、方面隊記念行事では初めてである。空挺が空から舞い降りたり、ヘリが舞い上がる様子には見慣れているが、チアリーディングが舞い上がるものを実際に駐屯地にて見たのは小生も初めての経験であった。

Img_0502_1  試乗を行う74式戦車。この戦車試乗には長蛇の列が出来ており、時間割整理券を交付したにも拘らず、一時間待ちの状況であり、戦車の人気の高さを端的に示していた。この伊丹駐屯地祭は、一万人以上が訪れる中部方面隊管区最大規模の駐屯地祭であり、この他多数の模擬店などが軒を連ねていた。

HARUNA

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