■週報:世界の防衛,最新9論点
陸上装備体系の頂点に立つ戦車、今回は戦車の話題のみに焦点を合せまして昨今の各国戦車動向を見てみましょう。
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レオパルド2A7主力戦車とルクレルク主力戦車を置き換える独仏主力戦車計画MGCS主力地上戦闘システムについて、独仏両政府は4月28日に締結した2035年までの開発計画の一段階として18か月間のシステム概念実証調査をほぼ画定したとの事。MGCS主力地上戦闘システムそのものは昨年のユーロサトリ2019兵器見本市にて実証車が展示されている。
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ユーロサトリ2019兵器見本市ではルクレルク主力戦車の砲塔を搭載したレオパルド2車体が展示され、これは改修限界に達しC4Iの面で先進的な砲塔を模索するレオパルド2と機関部の信頼性の低さを払拭したいとされるルクレルクの長所を採ったものと理解されたが、システム概念実証調査は将来戦車を模索するとされ、実質、第四世代戦車へ指向している。
■ポーランドのレオパルド2PL
自衛隊の90式戦車も改修するか、放置するくらいならば10式戦車の300両への量産を急ぎ偵察警戒車にでも回収した方がよい。
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ポーランド陸軍では今年5月にポルスカPGZ工業より受領した改良型レオパルド2PLに関する訓練が順調に進められている。各国のレオパルド2はドイツ連邦軍向けに1979年に完成したものの延長線上に在るが、楔形装甲を追加したレオパルド2A5とともに、旧型と呼ばれるポーランドが導入したレオパルド2A4についても順次改良が進められている。
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レオパルド2PLは砲塔正面及び左右と後方に追加式装甲が装着され外見が大きく一新されたほか、砲安定装置の換装や照準装置には第三世代型のKLW-1アステリア熱線暗視装置を採用している。ポーランドは冷戦後、レオパルド2の大量取得と改修を進め、今や欧州NATO諸国では最大規模の機甲部隊を有し、ドイツフランスと共にNATO三大戦車大国とされる。
■トルコの改良型レオパルド2
レオパルド2の優れたところは冷戦時代に無駄に量産した為にサードパーティが形成された点でしょうか、日本も戦車を考えるならば今後は輸出を真剣に考える必要が。
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トルコ陸軍が運用するレオパルド2A4について年内にもトルコロケットサン社製T-1爆発反応装甲装着の改良型量産車が納入されるとのこと。レオパルド2A4はドイツ製第三世代戦車ながらレオパルド2A5のような楔形装甲などの改良を受けておらず1979年設計であり、陳腐化が進んでいた。シンガポール軍輸出仕様などでは増加装甲が装着されている。
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T-1爆発反応装甲は8月30日の時点でトルコ軍へ40輌分の納入が発表されており、これにより砲塔正面部分と側面部分、車体正面及びサイドスカート前面部分に装着されている。ただ、詳細は発表されていないが砲塔正面部分は形状の特徴から爆発反応装甲ではなく単なる増加装甲か中空装甲であると考えられ、サイドスカート部も中空装甲の可能性が高い。
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レオパルド2A4の戦闘重量は55tであるがT-1爆発反応装甲の装着により戦闘重量は62tに増大している、なお、この装甲追加に際して発煙弾発射装置の一部が増加装甲装着部に転用され省略された。増加装甲により重心や復元性には変化が生じているが、機動力や転覆限界などについては評価試験により戦術機動に支障ない範囲内に収められているという。
■ヨルダンへルクレルク中古戦車
ルクレルク戦車の運用国が増える事となりました、中古車両の譲渡いう事になりますが。同時にこれはチャレンジャー1戦車最後の運用国が運用終了の目処がついた事ともなる。
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アラブ首長国連邦は9月15日、同国陸軍が保有するフランス製ルクレルク主力戦車の内80両を友好国ヨルダンへ供与する方針を発表しました。アラブ首長国連邦は1993年に戦車戦力近代化の一環としてルクレルク戦車388両と戦車回収車48両を導入、この際に機関を信頼性の高いディーゼルエンジンとした事で当時世界一高い戦車として注目されました。
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ヨルダン陸軍は旧式化したチャレンジャー戦車の後継を探しており、ヨルダン軍第3機甲師団隷下に在る4個戦車大隊のうち、2個戦車大隊をこのルクレルク戦車により充足するとのこと。フランス政府はこの輸出ルクレルク戦車近代化改修を提案しており、アラブ首長国連邦もイエメン内戦介入の戦訓反映させる改修を希望、ヨルダンも参加が見込まれます。
■チェコ軍更なるT-72戦車改修
チェコ軍は近代化の為にレオパルド2の導入を希望していましたが実現しなかったもよう。
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チェコ国防省は10月、現在運用中のT-72CZ戦車の一部をT-72M4CZより近代化改修する計画を発表した。T-72CZは冷戦時代にチェコスロバキアがライセンス生産したソ連製T-72戦車を1995年より近代化改修したもので、エンジンをイギリス製1000hpに火器管制装置をイタリア製に置換えている。元々、チェコ軍はT-72CZを50両近代化改修している。
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今回の近代化改修は既に改修されたT-72M4CZを更に近代化するもので、改修対象は50両のT-72M4CZのうち30両、2025年までに実施されます。この計画はレオパルド2戦車かM-60戦車サブラ改修型を導入する陸軍戦車計画が予算的な問題から棚上げとなった為に既存戦車を改修する事となったもので、2030年代までT-72はチェコ軍の主力となります。
■パキスタンにVT-4主力戦車
VT-4戦車、実は安価ながら性能表には秀でたものがありまして運用実績がいかに積まれるかには日本として興味が。
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パキスタン陸軍は九月、今年4月に新たに導入を開始した中国製VT-4主力戦車の初の実弾射撃訓練を実施した。同軍では中国製90-II式戦車が既に470両を配備し2020年にも納入が継続されている。240両をノリンコ社に発注、4月には最初の4両が納入された。費用は第一次契約176両で8億6000万ドル、2019年タイ輸出時、10両で5800万ドルである。
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VT-4戦車は90-II式戦車の発展型であり、戦闘重量52t、125mm滑腔砲を主砲としており機動力は1200hpディーゼルエンジンにより最高速度70km/hを発揮し航続距離は500kmという。装甲は砲塔及び車体正面部分に複合装甲を配置する他、主要部には爆発反応装甲を採用する。VT-4はタイに輸出され2020年4月にからはナイジェリア軍へも配備された。
■T-90が演習中の誤射で大破
アクティヴ防護装置、いわゆるミサイル攻撃を迎撃して無力化する防御装置は新世代の装甲厚に頼らない防護として注目されていますが。
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ロシア軍軍事演習カフカス2020の最中に対戦車ミサイルが誤ってT-90戦車を直撃する事故が発生しました。事故が発生したT-90戦車の損傷の様子がSNSなどに掲載されていますが、ロシア軍当局からの公式の発表はありません。命中した対戦車ミサイルは9M113コンクルース、ソ連時代1974年に開発された第二世代対戦車ミサイルで重量14.6kgです。
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カフカス2020演習は9月15日から26日に掛けて実施、命中したT-90戦車は車体後部に直撃し火災を発生させています。ただ、T-90はT-72戦車の拡大発展型となっていますが、湾岸戦争では車内に弾薬露出するカセトカ式自動装填装置が被弾時に誘爆を起こし砲塔が吹き飛ぶ事案が多発しましたが、今回事故に見舞われたT-90はそうした損傷はありません。
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T-90が事故当時、乗員が乗車していたかなどについては明らかとなってはいません。なお、T-90には現在順次アクティヴ防護システムが搭載され、対戦車ミサイルの攻撃を受けた場合にはレーダーにて検知し擲弾投射により迎撃する能力がありますが、今回のT-90はアクティヴ防護システムを作動中だったか演習中は電源を落としていたのか発表はありません。
■インドのアージュン戦車に一歩
アージュン主力戦車、日本亜戦車国産が定着していますが、その技術というものは一筋縄ではいかないようです、制度面も含めてですが。
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インドの新型国産戦車アージュンが主砲発射レーザー誘導ミサイルの発射に成功した、ラジナスン国防大臣が9月23日に発表しました。この試験は国防技術開発機構DRDOが実施したもので目標までの距離は3km、実験に用いられたレーザー誘導ミサイルは独自のもので、爆発反応装甲等を破壊するべく、タンデム弾頭構造を採用しているとのこと。
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アージュン主力戦車は旧式化するヴィッカース中戦車の後継として開発が続けられているが、予想以上に開発が長期化された為インド軍はT-72戦車を導入し開発続行、しかし車体と砲塔共に問題が解決できなかった事からインド軍はT-90戦車を導入し開発続行、一時は車体だけを採用し自走砲化も検討されたが、2010年代後半に最新試作車が完成しています。
■インド軍のT-90戦車
アージュンが遅延に遅延を重ねている為にこうした話題にも慣れましたが。
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インド国防省はロシア製T-90S主力戦車のライセンス生産を本格化させるとのこと。これは2016年11月に締結されたインド軍向けT-90戦車ライセンス生産権の延長交渉に基づくもので、2019年4月月にはT-90S主力戦車464両を19億3000万ドルにて取得する契約交渉を進めていました。今回すすめられている交渉は製造権を2028年まで延長すること。
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T-90S主力戦車はインド軍が開発を実に半世紀以上、長期にわたり継続させているアージュン主力戦車の技術的難航を背景とするもので、アージュン主力戦車は今度こそ最終試作に向けて評価試験が進められているのですが、T-90Sライセンス生産を2028年まで継続するという交渉は、改めてアージュン主力戦車の完成への道程が簡単でない事を示しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
陸上装備体系の頂点に立つ戦車、今回は戦車の話題のみに焦点を合せまして昨今の各国戦車動向を見てみましょう。
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レオパルド2A7主力戦車とルクレルク主力戦車を置き換える独仏主力戦車計画MGCS主力地上戦闘システムについて、独仏両政府は4月28日に締結した2035年までの開発計画の一段階として18か月間のシステム概念実証調査をほぼ画定したとの事。MGCS主力地上戦闘システムそのものは昨年のユーロサトリ2019兵器見本市にて実証車が展示されている。
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ユーロサトリ2019兵器見本市ではルクレルク主力戦車の砲塔を搭載したレオパルド2車体が展示され、これは改修限界に達しC4Iの面で先進的な砲塔を模索するレオパルド2と機関部の信頼性の低さを払拭したいとされるルクレルクの長所を採ったものと理解されたが、システム概念実証調査は将来戦車を模索するとされ、実質、第四世代戦車へ指向している。
■ポーランドのレオパルド2PL
自衛隊の90式戦車も改修するか、放置するくらいならば10式戦車の300両への量産を急ぎ偵察警戒車にでも回収した方がよい。
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ポーランド陸軍では今年5月にポルスカPGZ工業より受領した改良型レオパルド2PLに関する訓練が順調に進められている。各国のレオパルド2はドイツ連邦軍向けに1979年に完成したものの延長線上に在るが、楔形装甲を追加したレオパルド2A5とともに、旧型と呼ばれるポーランドが導入したレオパルド2A4についても順次改良が進められている。
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レオパルド2PLは砲塔正面及び左右と後方に追加式装甲が装着され外見が大きく一新されたほか、砲安定装置の換装や照準装置には第三世代型のKLW-1アステリア熱線暗視装置を採用している。ポーランドは冷戦後、レオパルド2の大量取得と改修を進め、今や欧州NATO諸国では最大規模の機甲部隊を有し、ドイツフランスと共にNATO三大戦車大国とされる。
■トルコの改良型レオパルド2
レオパルド2の優れたところは冷戦時代に無駄に量産した為にサードパーティが形成された点でしょうか、日本も戦車を考えるならば今後は輸出を真剣に考える必要が。
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トルコ陸軍が運用するレオパルド2A4について年内にもトルコロケットサン社製T-1爆発反応装甲装着の改良型量産車が納入されるとのこと。レオパルド2A4はドイツ製第三世代戦車ながらレオパルド2A5のような楔形装甲などの改良を受けておらず1979年設計であり、陳腐化が進んでいた。シンガポール軍輸出仕様などでは増加装甲が装着されている。
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T-1爆発反応装甲は8月30日の時点でトルコ軍へ40輌分の納入が発表されており、これにより砲塔正面部分と側面部分、車体正面及びサイドスカート前面部分に装着されている。ただ、詳細は発表されていないが砲塔正面部分は形状の特徴から爆発反応装甲ではなく単なる増加装甲か中空装甲であると考えられ、サイドスカート部も中空装甲の可能性が高い。
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レオパルド2A4の戦闘重量は55tであるがT-1爆発反応装甲の装着により戦闘重量は62tに増大している、なお、この装甲追加に際して発煙弾発射装置の一部が増加装甲装着部に転用され省略された。増加装甲により重心や復元性には変化が生じているが、機動力や転覆限界などについては評価試験により戦術機動に支障ない範囲内に収められているという。
■ヨルダンへルクレルク中古戦車
ルクレルク戦車の運用国が増える事となりました、中古車両の譲渡いう事になりますが。同時にこれはチャレンジャー1戦車最後の運用国が運用終了の目処がついた事ともなる。
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アラブ首長国連邦は9月15日、同国陸軍が保有するフランス製ルクレルク主力戦車の内80両を友好国ヨルダンへ供与する方針を発表しました。アラブ首長国連邦は1993年に戦車戦力近代化の一環としてルクレルク戦車388両と戦車回収車48両を導入、この際に機関を信頼性の高いディーゼルエンジンとした事で当時世界一高い戦車として注目されました。
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ヨルダン陸軍は旧式化したチャレンジャー戦車の後継を探しており、ヨルダン軍第3機甲師団隷下に在る4個戦車大隊のうち、2個戦車大隊をこのルクレルク戦車により充足するとのこと。フランス政府はこの輸出ルクレルク戦車近代化改修を提案しており、アラブ首長国連邦もイエメン内戦介入の戦訓反映させる改修を希望、ヨルダンも参加が見込まれます。
■チェコ軍更なるT-72戦車改修
チェコ軍は近代化の為にレオパルド2の導入を希望していましたが実現しなかったもよう。
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チェコ国防省は10月、現在運用中のT-72CZ戦車の一部をT-72M4CZより近代化改修する計画を発表した。T-72CZは冷戦時代にチェコスロバキアがライセンス生産したソ連製T-72戦車を1995年より近代化改修したもので、エンジンをイギリス製1000hpに火器管制装置をイタリア製に置換えている。元々、チェコ軍はT-72CZを50両近代化改修している。
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今回の近代化改修は既に改修されたT-72M4CZを更に近代化するもので、改修対象は50両のT-72M4CZのうち30両、2025年までに実施されます。この計画はレオパルド2戦車かM-60戦車サブラ改修型を導入する陸軍戦車計画が予算的な問題から棚上げとなった為に既存戦車を改修する事となったもので、2030年代までT-72はチェコ軍の主力となります。
■パキスタンにVT-4主力戦車
VT-4戦車、実は安価ながら性能表には秀でたものがありまして運用実績がいかに積まれるかには日本として興味が。
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パキスタン陸軍は九月、今年4月に新たに導入を開始した中国製VT-4主力戦車の初の実弾射撃訓練を実施した。同軍では中国製90-II式戦車が既に470両を配備し2020年にも納入が継続されている。240両をノリンコ社に発注、4月には最初の4両が納入された。費用は第一次契約176両で8億6000万ドル、2019年タイ輸出時、10両で5800万ドルである。
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VT-4戦車は90-II式戦車の発展型であり、戦闘重量52t、125mm滑腔砲を主砲としており機動力は1200hpディーゼルエンジンにより最高速度70km/hを発揮し航続距離は500kmという。装甲は砲塔及び車体正面部分に複合装甲を配置する他、主要部には爆発反応装甲を採用する。VT-4はタイに輸出され2020年4月にからはナイジェリア軍へも配備された。
■T-90が演習中の誤射で大破
アクティヴ防護装置、いわゆるミサイル攻撃を迎撃して無力化する防御装置は新世代の装甲厚に頼らない防護として注目されていますが。
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ロシア軍軍事演習カフカス2020の最中に対戦車ミサイルが誤ってT-90戦車を直撃する事故が発生しました。事故が発生したT-90戦車の損傷の様子がSNSなどに掲載されていますが、ロシア軍当局からの公式の発表はありません。命中した対戦車ミサイルは9M113コンクルース、ソ連時代1974年に開発された第二世代対戦車ミサイルで重量14.6kgです。
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T-90が事故当時、乗員が乗車していたかなどについては明らかとなってはいません。なお、T-90には現在順次アクティヴ防護システムが搭載され、対戦車ミサイルの攻撃を受けた場合にはレーダーにて検知し擲弾投射により迎撃する能力がありますが、今回のT-90はアクティヴ防護システムを作動中だったか演習中は電源を落としていたのか発表はありません。
■インドのアージュン戦車に一歩
アージュン主力戦車、日本亜戦車国産が定着していますが、その技術というものは一筋縄ではいかないようです、制度面も含めてですが。
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インドの新型国産戦車アージュンが主砲発射レーザー誘導ミサイルの発射に成功した、ラジナスン国防大臣が9月23日に発表しました。この試験は国防技術開発機構DRDOが実施したもので目標までの距離は3km、実験に用いられたレーザー誘導ミサイルは独自のもので、爆発反応装甲等を破壊するべく、タンデム弾頭構造を採用しているとのこと。
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アージュン主力戦車は旧式化するヴィッカース中戦車の後継として開発が続けられているが、予想以上に開発が長期化された為インド軍はT-72戦車を導入し開発続行、しかし車体と砲塔共に問題が解決できなかった事からインド軍はT-90戦車を導入し開発続行、一時は車体だけを採用し自走砲化も検討されたが、2010年代後半に最新試作車が完成しています。
■インド軍のT-90戦車
アージュンが遅延に遅延を重ねている為にこうした話題にも慣れましたが。
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インド国防省はロシア製T-90S主力戦車のライセンス生産を本格化させるとのこと。これは2016年11月に締結されたインド軍向けT-90戦車ライセンス生産権の延長交渉に基づくもので、2019年4月月にはT-90S主力戦車464両を19億3000万ドルにて取得する契約交渉を進めていました。今回すすめられている交渉は製造権を2028年まで延長すること。
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T-90S主力戦車はインド軍が開発を実に半世紀以上、長期にわたり継続させているアージュン主力戦車の技術的難航を背景とするもので、アージュン主力戦車は今度こそ最終試作に向けて評価試験が進められているのですが、T-90Sライセンス生産を2028年まで継続するという交渉は、改めてアージュン主力戦車の完成への道程が簡単でない事を示しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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