■阪急梅田駅撮影記
阪急電鉄は、京都~大阪の通勤網を中心に、多くの支線網を有し関西主要私鉄の一翼を担っている。先日の近鉄特急利用の記事と併せ見ることで、長距離地方旅客輸送鉄道である近畿日本鉄道と、都市間通勤高速鉄道である阪急電鉄との相違を考えたい。
先日、大阪に展開した際に阪急電鉄を利用したのだが、よく考えれば阪急梅田駅、いく割には撮影したことが無く、改めて写真としようと思い立った。何となれ、後に近鉄電車に乗るのだが、考えてみれば阪急線に向かう途上、地下鉄烏丸線で乗り入れている近鉄線に乗っているので、近鉄線に乗る為に乗る阪急線に向かい近鉄電車を利用するという、かなりわけのわからない状況となっている。これを機会に、京都~大阪の鉄道輸送について一つ考えたい。
阪急電鉄は、特に主力の京都線と路線が重複するJR西日本が展開するアーバンネットワークに対抗する高速鉄道網を展開し、通勤旅客輸送を担っている。同時に、梅田~三宮(大阪~神戸)においてもJRと競合しており、京都~神戸という直通列車を運行していない路線特性上、特に速力から生じる所要時間では大きく水をあけられており、車輌アコモやダイヤ頻度、停車利便性などにより対抗せざるを得ないという現状がある。
阪急電鉄の特急電車網は河原町~梅田(京都~大阪)、梅田~三宮(大阪~神戸)に展開しているが、加えて、阪神電鉄・神戸高速鉄道・山陽電気鉄道の共同乗入区間への運転により、新開地までの特急運行を行っている。ただし、梅田駅近傍の十三駅を接点に、Y字状に一方は河原町方面、もう一方は三宮方面に路線を伸ばしており、梅田を終着駅としていることから、前述のような直通運転が出来ない状況に繋がっている。
快速特急、特急は停車駅は異なるものの所要時間は概ね同等で、河原町~梅田の区画47.7kmを42分で走るが、これは競合する京阪電鉄が出町柳~淀屋橋間の51.6kmを48分で結ぶものの、JR西日本の新快速は僅か29分にて快走する。これに対して、京都駅という中心部からやや離れた区画を走るJR西日本に対して中心部を走る阪急と、JRの540円に対して390円という低運賃で勝る阪急に利がある。これは、長距離旅客輸送に主眼を置いた国鉄路線整備と無関係ではない。
対して、梅田~三宮間32.3kmを阪急は26分、同路線とほぼ並行して走る阪神電鉄は梅田~元町の32.1kmを29分で走るが、対してJR西日本は21分にて走る。これならば、差異という程度の所要時間の相違である為、旅客需要の流れはダイヤの利便性に左右されるといえよう。ただし、十三駅での乗り換えのタイムロスを考えれば、京都~神戸の旅客輸送ではJR西日本がその所要時間で圧倒的に優位にある。他方、河原町から伊丹へ450円、三宮へ600円、JRのほぼ半額である阪急にも利は多い。
淀川を渡る阪急電車。同じく阪急電車より撮影したもので、ほぼ同時に2~3両の阪急車輌が梅田より十三へ向かう様子も見られる。これは、阪急電鉄のダイヤの密度を端的に示すものだが、例えば河原町駅より梅田への列車は、昼間時間帯で特急毎時六本、急行毎時六本が運行されており、JRの新快速・快速の毎時約4本に対して利便性の開きは言うまでもない。一方でラッシュ時には毎時16~17本の列車が運行されているがJRでは各種26本が運行されている。ただし、内3~4本は特急料金が必要だ。
長距離旅客鉄道の近鉄難波駅などの写真と比べればその差は対照的である。ダイヤや運賃からは判りにくいが、乗車側と降車側と区分された両側ホームは、梅田駅が阪急線の基点であることを示しており、また駅の規模も500km規模の路線を誇る三大私鉄と比較しても大きいか、東武電鉄池袋駅と同規模のものを誇っている。
実に九つのホームが並ぶ梅田駅は、乗り換えの利便性が高い。しなったホームの近鉄難波駅などの写真と比べれば対照的である。
また、京都線の主力特急はクロスシート車であり、落ち着いた内装を誇る車内は、京阪電鉄や阪神電鉄と同じく特急料金不要の車輌である。写真の神戸線は路線が短いこともあり多くがロングシート車輌であるが、クロスシート車も運行されている。
村上ファンドに端を発する阪神電鉄買収騒動は阪急電鉄が株を買い取る形で収束したことは記憶に新しいが、阪急阪神の提携という複合区画化により利便性の向上は見込まれる。
以上は、鉄道会社の一部事業である鉄道部門を利用者の観点から見たものであるが、移動に際しての必要性が選択に大きく関係することを示しているといえよう。
HARUNA
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