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ウクライナ情勢-ロシアCTBT包括的核実験禁止条約脱退の動きとロシア軍機阻む東部戦線の大雨

2023-10-12 07:00:19 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 天候は何時の時代も軍事作戦を左右する要素であり特に動力とセンサーに限りある小型無人機にとり雨天は厳しい。

 ウクライナ東部戦線は大雨により状況に不確定要素が生じている、ISWアメリカ戦争研究所10月9日付発表がその概要を示しました。東部戦線北部の焦点となっているクピャンスク、9日付戦況報告ではその北東にあるシンキフカ、そしてイワニフカ、またマキイフカ近郊においてロシア軍が攻撃を実施したがウクライナ軍が撃退したとのこと。

 大雨はロシア軍の近接航空支援や無人機運用能力に制約を強いており、実際問題クピャンスク近郊では航空機が十分飛行できない状況になっているものの、この状況でもロシア軍は攻撃を実施したとの事、一方東部戦線中央部のバフムト近郊ではクリシチフカとアンドリイフカにおいてウクライナ軍が攻撃を実施し、一定程度の成功を収めたとしている。
■少数歩兵浸透攻撃
 少数歩兵分散による浸透攻撃は第一次世界大戦における1918年ドイツ軍春季攻勢が有名ですが、帝政ドイツ軍はこの為に大学生を中心とした短期促成指揮官を分散する部隊に大量投入させている。

 ロシア軍は小規模歩兵部隊浸透攻撃に歩兵攻撃の焦点を移行している、これはウクライナ第四即応旅団のストロジェク報道官の談話を、ISWアメリカ戦争研究所10月9日付発表として明示していました。具体的には、これまでロシア軍の攻撃は百数十名や数百名といった大規模な歩兵による攻撃が主流でしたが第四即応旅団正面で変化が生じた、と。

 浸透攻撃は4名から8名程度、つまり小隊規模でもなく分隊ないし組単位で浸透攻撃を行い、ウクライナ軍防衛正面を避け迂回を多用した浸透攻撃を行っているという。この攻撃はクリシチフカとアンドリイフカを結ぶ鉄道線での防衛戦闘において用いられているとのこと。ただ、この種の攻撃には部隊ごとに判断力を持つ下士官の重要性が高い。
■CTBT包括的核実験禁止条約
 昨年予想した通り核兵器による恫喝は実戦使用よりも核実験の再開の方が意味が大きいと共に、そもそもロシア軍の核兵器整備状況から仮に使用したとして起爆するのか不完全核爆発となるのかの疑問にも応え得る。

 ロシアはCTBT包括的核実験禁止条約脱退の動きを見せている、これはNHKが11日0757時に奉じたもので、ロシア外務次官の発言、“批准に関する条文を取り消す法案を提出すべきだ”、議会下院スルツキー国際問題委員長“関連法案はすでによく練られており、期限の今月18日には法案を提出できるだろう”、という発言を報道しています。

 CTBT包括的核実験禁止条約脱退は地下を含む大気圏内と宇宙空間を含む大気圏外の核実験を禁止しているもので、仮にロシアが脱退した場合、地下核実験などを行いNATOやアメリカに対し恫喝を加える事が可能となります。核兵器を実戦使用した場合NATOが介入すると2022年の時点で明言していますが、核実験への言及はありません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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