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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛力の抜本強化-自民党総裁選議題で求められるのは専守防衛か長距離打撃力かの整備すべき防衛力の中身

2024-09-13 07:00:48 | 国際・政治
■防衛力の抜本強化
 自民党総裁選が告示されいよいよ次期首相を意味する連立与党総裁への権力闘争が本格化しました。

 防衛力の抜本強化、自民党総裁選において強調される重要政策の一つなのですが、防衛力の抜本強化、と聞いた上で現在の台湾海峡情勢やフィリピン周辺情勢にロシアウクライナ戦争と中東情勢をみますと、納得する方が多い、福祉の抜本強化や災害対策の抜本強化、というようなもので、曖昧なものではあるが総論では反対しにくいというところだ。

 防衛力、しかし中身はどうなのか。中距離ミサイルということで射程2000km規模のミサイルをかなりの数まで増強するという施策や航空自衛隊の宇宙航空自衛隊への改編など、様々な施策が並ぶ。けれども重要なのは抜本強化よりも立て直しのほうではないのか。自衛隊は21年間のミサイル防衛、2002年からのミサイル防衛により大きく形骸化した。

 防衛予算を増やせない中でミサイル防衛という、年間4000億円規模の、つまり予算の一割近い金額を別の防衛整備事業につぎ込むのだから、待遇は曹候補士制度廃止による募集広報への影響、本州の戦車全廃、対戦車ヘリコプターと観測ヘリコプター後継機調達中止、偵察機と救難機廃止、救難飛行艇運用縮小、響いている分野があまりに大きすぎる。

 募集広報は待遇悪化が、平成時代と比較しても悪化したものが原因であるのに、少子高齢化という、官は過ちを犯さず原則で原因を認めないために、無人アセット整備というような方向違いの政策を、防衛力強化というよりも少子化による募集難に当てようとしています。抜本強化と少子化対策ならば、打撃力か専守防衛かを議論すべきでは無いのか。

 少子化といえば、師団普通科連隊の定員は1200名、これを即応機動連隊に改編するならば850名で済む、装甲車両は高価だが350名の削減だ。戦車大隊の定員は2個戦車中隊基幹の部隊は250名、そして空挺団普通科大隊の定員は380名です。それならば、普通科連隊を連隊と改め、戦車大隊と普通科大隊を基幹とするならば630名と少子化に対応できる。

 人員が減るならば抜本強化とはいえない、と反論があるかもしれないが、例えば重装備をすべて失っている現在の師団を、上記の連隊3個を基幹とする旅団に改編するならば、人数は少ないけれども戦車大隊3個、強力だ。現状、反撃能力強化というものの、新部隊は増えるが任務は変わらず部隊充足率に響くものを、果たして強化なのかとさえ思う。

 反撃能力、不要だとは断言しないのだけれども、戦争は全面戦争以外に限定戦争というものがあります、だから反撃能力に注力しますと、地域紛争に対して安易に反撃能力として、正bしあれている装備をその通りの運用、相手本土攻撃に用いるならば事態が全面戦争に拡大する、ここまで政治は戦争の類型と対処の違いを理解しているのか、と。

 ミサイル部隊については、ミサイルを使い切ったならば何をするのだろう、という疑問も残ります。この点で防衛力抜本強化は同床異夢があるのでは無いのか、内容まで考えて、反撃能力への転換という現状と、専守防衛へ防衛力再建という視座を、もう少し総裁選では防衛力の中身を議論してほしい、防衛力を金額だけで考えるのは、やめるべきだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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