北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【M-5撮影特報】バーデンヴュルテンベルクF-222-BadenWürttemberg.東京寄港(2024-08-22)

2024-09-05 20:11:30 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
バーデンヴュルテンベルク
 バーデンヴュルテンベルク東京寄港の様子のつづき。

 バーデンヴュルテンベルク、ドイツ海軍が世界規模のパワープロジェクションを想定してメルケル政権時代に建造したフリゲイトです。ただ、これ、メルケル政権時代、戦車を永遠に新造しないことを決定したメルケル政権時代のフリゲイトだ。

 二年間母港に戻らずともメンテナンスフリーという、ドイツ海軍の置かれた厳しい状況を反映しているフリゲイトとなっていまして、要するに北海とバルト海に微妙な規模でしか海に接していないドイツ海軍の冷遇ぶりをそのまま体現したフリゲイトで。

 二年間も帰れないのか、とおもわれるかもしれませんが乗員だけは寄港地で交代するといい、それで自分の艦に愛着はわくのだろうかと素朴な疑問を感じてしまいまして、ただ、長期任務に備えて日本の護衛艦にないビアガーデンが後部飛行甲板にでていた。

 パワープロジェクションを想定しているものの、まず、派遣できるフリゲイトが一隻二隻という状況ではまともな対水上戦闘に参加できるものではなく、そのために武装が、太平洋ではやって行くのが難しいほどの水準しか、搭載していないのです。

 ハープーンミサイルは一応搭載しています、が、対空装備はRAM個艦防空ミサイルのみとなっていて、CIWSも搭載していない、けれども海賊船やテロリストの海上移動を制圧するために27mm機関砲は4基積んでいて、12.7mm機銃も多数搭載していて。

 MEKOフリゲイトのように装備品をモジュール方式とした上でさまざまな装備を搭載する計画ではあったのですが、重心の関係からこれもハープーン以外は搭載できないと言うことで、この区画めいっぱいにNSMミサイルを搭載することもできない。

 艦砲は127mmですが、おどろくのは対潜装備がまったくないことで、Vアスロックのようなものはもちろんですが、短魚雷発射管さえなく、そもそもソナーがケルベロスソナーという、ダイバー接近警戒用のものしかないので潜水艦をさがせない。

 進水式の際に傾いていたがみなかったこと西結おうと思っていたら、子供に、あのフネかたむいてるよー、と指摘されたという逸話があり、装備を搭載すると傾きは解消されると説明されたものの、実際には傾きが増した、なんてことも。

 ドイツ海軍が受け取りを一時拒否した事実があり、傾いている艦はやはりお断りなのか、と思いきや、受け取り拒否の理由はシステム不具合が解消されていなかったため、という斜め上の出来事が続いていまして、いやはや、メルケル政権時代は。

 リンクスヘリコプターを2機搭載していて、ハープーン方式で運用している。ハープーン方式というのは蜂の巣状に多数の穴がならぶ甲板にヘリコプターから銛状の突起をさしこんで揺れる甲板にヘリコプターを降ろすというもの。

 ベアトラップ方式のような大型機着艦誘導は不可能ではあるのですが、そのぶん2機を搭載できています。ただ、リンクスは現在でこそさまざまなセンサーを搭載していますがもともとは魚雷運搬ヘリコプターの延長線上、性能は限られて。

 ドイツ海軍、このヴァーデンヴウテンブルク級の建造で行動範囲は増えたのですが。いっそ護衛艦ひゅうが型をビスマルク級航空駆逐艦ということでドイツに新造してみては、とおもったりするのです。対空戦闘能力はこちらのほうが高いのですから、ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ウクライナ東部ポクロウシク市にロシア軍が迫る!ドネツク州における兵站拠点

2024-09-05 07:00:24 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 政府は自衛隊の退役装備に関する予備装備としての予算を計上する事となりましたが有事の際の予備装備が無ければ、ウクライナの現状よりもひどい事となる。

 ウクライナ東部ポクロウシク市にロシア軍が迫る危機的状況となっている。イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月1日付情報として、ここ7日間の概況としてロシア軍がウクライナ東部ポクロウシク市へ加速して接近しており、9月1日までに市街地外縁から10km圏内まで接近していると分析しています。市街地侵入も時間の問題とも分析している。

 ポクロウシク市、ここはドネツク州における戦闘に重要な位置を占める兵站拠点であり、仮にポクロウシク市がロシア軍により制圧された場合、チャシブヤールやヴフレダルといった戦闘地域への補給が大きく迂回を強いられることとなるもよう。ロシア軍は南部やほかの東部地域でほぼ前進しておらず、ポクロウシク市が戦闘の焦点となっています。

 ポクロウシク市に関する唯一の楽観要素は、現在の進撃速度は市街地にウクライナ軍防御部隊が展開しているため、市街地に入れば前進速度が鈍化する事が期待されていますが、いったん市街戦が始まりますと、市街地に侵入したロシア軍を掃討する事もまた難しく、固定陣地に依存した防御は航空機からの滑空爆弾攻撃に曝されることとなります。

 ウクライナ軍は8月31日夜間から9月1日にかけ大規模な無人機攻撃を実施した、ISWアメリカ戦争研究所9月1日付ウクライナ戦況報告がまとめたところでは、百機単位で無人機をロシア領内攻撃に展開させたとのこと。この攻撃について、ロシア国防省はロシア防空軍は16州においてウクライナ軍無人機158機を撃墜したと発表しています。

 ロシア軍の前進について、ISWはハリコフ市北のフリボケ西部、クピャンスク南東に位置するピシュチャネ南西、ドネツク市西方のコスティャンティニフカ北東部で前進したとされ、また新しい焦点となりつつあるポクロウシク市近郊では、特に南東地域にあるミハイロフカの西とドリニフカの集落を攻撃、ISWは集落を占拠したと分析しています。

 ポクロウシク市近郊の戦闘ではロシア軍が損耗を度外視した攻撃を続けている動画がウクライナ側より公開されています。ロシア側としてはウクライナ軍のクルスク州侵攻への対処よりも、クルスク州侵攻そのものを国内報道から情報統制するとともに、ポクロウシク市という新しい目標を制圧する事を国内向けに協調する狙いがあるのかもしれません。

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