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ウクライナ情勢-テルミット空中散布無人機ドラゴン実戦投入と警戒されるベラルーシ国境情勢

2024-09-10 07:00:05 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 近接航空支援という概念を無人機が開拓しつつありまして自衛隊も数が限られる対地攻撃任務対応航空機に新しい視座を開ける可能性が。

 ウクライナ軍は無人機からテルミット焼夷剤を撒布し陣地攻撃に多用している、通称"ドラゴン"、アメリカCNNは9月7日にその概要を報道しました。若干、特定通常兵器制限条約対象の油脂焼夷弾やその代表例であるナパーム弾と混同している報道の論調ではありますが、おそらく記者の兵器関連と国際法への理解不足が背景にあるのでしょう。

 テルミット焼夷剤の無人機からの撒布は9月3日頃からウクライナ軍が運用の景況を情報開示として動画を発表していまして、大型のクワッドドローンからテルミットを撒布、森林などに隠された歩兵部隊陣地の真上まで進出して、そこから農薬散布のようにテルミット剤を撒布、真下の陣地を焼尽させるか、陣地を隠す森林を焼き払う構図です。

 テルミットは酸化金属粉末とアルミニウム粉末を混合し燃焼させることで酸化物還元の際に二千度以上の高熱を発します。油脂焼夷弾などは都市部で使用されると大規模な延焼、東京大空襲のような、被害を引き起こすとして特定通常兵器制限条約の対象となっていますが、酸化金属の還元反応についてはいまのところ制限する条約はありません。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本もこういう事情が有るので西方シフトと北方警戒を並行しなければならないという。

 ベラルーシからのウクライナ侵攻懸念の現状について、ISWアメリカ戦争研究所はウクライナ軍事評論家のマショヴェッツ氏による現状報告を紹介しています。マショヴェッツ氏によれば、現状のベラルーシ軍にはウクライナへ侵攻する能力はない、とした上でベラルーシとウクライナとの国境地域に展開している軍事力について顕著な動きを指摘します。

 ウクライナと国境を接するゴメリ州には二つの戦術群が展開しており、バイキング戦術群とヴォラート戦術群、この二つの戦術群をあわせると3000名規模の部隊になると指摘、またこの3000名のうち1000名はロシア人要員により構成されていると指摘しました。もっとも、3000名の規模ではゴメリ州からウクライナへ本格的な侵攻は現実的ではありません。

 ゴメリ州の兵力についてISWはここまで踏み込んだ説明をしていませんが、ウクライナが警戒するのは首都キエフからの北方国境がベラルーシであり、2022年開戦劈頭にロシア軍はベラルーシ側からキエフ攻略を試み大規模侵攻を実施しています。兵力枯渇のロシアが1000名もの兵力をおいていることもウクライナには不確定要素なのでしょう。

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1 コメント

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テルミット焼夷剤の適用範囲 (sleepy)
2024-09-11 12:02:02
少し気になって調べたのですが、特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書(Ⅲ)焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書を見ると、油脂でもテルミットでも焼夷兵器に該当するのでは、と思いました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/htmls/B-S58-0547.html
焼夷兵器の定義をわかりやすく言えば、化学反応で対象を燃やす性質を持ち、燃やすことを第一義的な目的として設計され、弾だけでなくその他容器の形態をとったものは該当する、となっています。

この話の焦点は焼夷剤の使途の方ではないでしょうか。議定書は森林その他の植物群落攻撃を禁止していますが、軍事拠点や戦闘員の隠蔽・偽装として使われたものは除外する、とあります。それとも他にも観点があったりするでしょうか?
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