■特報:世界の防衛,最新論点
自衛隊の次期戦闘ヘリコプター計画が間もなく本格化しますが、ここでアメリカや欧州など各国戦闘ヘリコプターの最新情勢を参考として観てみましょう。
アメリカ海兵隊はAH-1Z戦闘ヘリコプターと海軍のMQ-8無人ヘリコプターの協同試験を実施しました。これはカリフォルニア州エルセントロ海軍航空基地において実施されVMX-1第1海兵評価試験飛行隊とHSC-21海軍第23海上戦闘飛行隊が参加しています。2022年3月10日に実施した試験では、この運用にUH-1Y中型ヘリコプターも参加した。
AH-1Z戦闘ヘリコプターはAH-1対戦車ヘリコプターを原型とし、双発化したAH-1Wを更に能力向上したもので、海上戦闘におけるデータリンク能力付与等が行われていますが陸軍のAH-64D/Eのようなミリ波レーダーは搭載せず、代えて高精度の光学情報装置を搭載しています。今回の試験では遠距離目標の標定と目標選定などを無人機と連携している。
MQ-8無人ヘリコプターは今回、後期型として機体規模を大型化させたMQ-8Cが試験に参加しています。2018年の海兵隊近代合計画では無人機の多用という国防総省の指針が盛り込まれており、海軍艦艇からの運用可能な無人機として本機が選ばれています。両用作戦では母艦から作戦空域までの距離が大きく、今回の試験はその貴重な第一歩となりました。
■ユーロコプタータイガー改良
ユーロコプタータイガーは遅ればせながらアパッチロングボウのように進化を始める模様です。
フランスとスペインはユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプター開発を開始しました。これは合弁会社であるOCCARジョイントアーマメントコーポレーションオーガニゼーションがフランス国防省とスペイン国防省との間で開発契約したもので開発に加え既存のユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターをMkⅢへの能力向上改修など含んだもの。
開発計画は2025年までに試作機を初飛行させ2029年にフランスへ、2030年にスペインへの配備を目指すとのこと。機体はフランスが25機を新造により追加すると共にフランス軍に配備されている25機とスペインが運う要する18機の既存機改修を予定しており、またドイツ連邦軍の計画への参加も期待しているという。改修作業はエアバスが担当します。
改良によりリンク16データリンクシステムに接続する他、FlytXアビオニクスシステムやSafran社製Strix次世代光学照準装置にTopowl社製ヘルメットマウントディスプレイを搭載しMAST-F空対地ミサイルやミストラル3空対空ミサイル、70mm誘導ロケット弾といった各種装備を追加するとの事で、これにより更なる長期間、第一線に対応を目指します。
■ユーロコプタータイガーMkⅢ
ユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプターの概要を見てみましょう。
ユーロコプタータイガーMkⅢ、ユーロコプタータイガーは2000年代に新時代の欧州共同開発攻撃ヘリコプターとして開発されていますが、その原点はPAH-1対戦車ヘリコプター等観測ヘリコプターへ対戦車ミサイルを搭載した武装ヘリコプターの後継としてであり、データリンク能力など戦域戦闘システムとして統合化は初歩的な水準となっていました。
デジタル戦場への対応が主眼、ユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプターは現在の性能をそのまま維持した上で、データリンク能力を抜本的に強化し、飛行中に無人ヘリコプターからの偵察情報の受信と飛行管制、衛星通信能力や地上基地局及び歩兵の先進型通信機とのデータリンク能力付与等が含まれ、ヘリコプター単体での戦闘を脱却するのが狙い。
改良は更にコックピット部分のワークロード軽減型への改良、先進型光学情報装置のローター基部への追加と統合型ヘルメットマウントディスプレイの採用、より射程の長い対戦車ミサイル搭載能力の付与、空対空戦闘能力の強化などを盛り込むとのことですが、AH-64Eアパッチガーディアンが構想する様な30km以遠を狙う様な水準ではありません。
■ATAK-II海軍型
ATAK-II戦闘ヘリコプターも新しい一歩を。
トルコのTAIトルコ航空宇宙産業はATAK-II戦闘ヘリコプター海軍用の開発を発表した。トルコはイタリアのアグスタウェストランド社よりA-129マングスタ戦闘ヘリコプターのライセンス生産及び技術移転を受けT-129-ATAK戦闘ヘリコプターを開発している、T-129-ATAKは原型のA-129よりも輸出に成功、2021年にはフィリピンも導入している。
ATAK-IIは正式名称をT-929、全備重量を11tと大型化させるとともに従来よりも出力を強化したウクライナ製エンジンを搭載し2023年に初飛行を見込んでいる。もともとA-129はイタリアがAH-64アパッチのような重量級の戦闘ヘリコプターと差別化を図り、AH-1コブラに対抗する軽量さと、マングスタの名の通りコブラを上回る性能を盛り込んだもの。
T-929は、これを大型化させ、より強力な兵装とセンサーの搭載を見込んだもので、当面はトルコ陸軍が10機を導入計画している。一方、トルコ海軍では水陸両用作戦能力強化へ戦闘ヘリコプターの導入を希望しており、このT-929海軍型を導入するか、その配備によりで陸軍では余剰となるAH-1Wスーパーコブラ戦闘ヘリコプターの移管を行う計画である。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
自衛隊の次期戦闘ヘリコプター計画が間もなく本格化しますが、ここでアメリカや欧州など各国戦闘ヘリコプターの最新情勢を参考として観てみましょう。
アメリカ海兵隊はAH-1Z戦闘ヘリコプターと海軍のMQ-8無人ヘリコプターの協同試験を実施しました。これはカリフォルニア州エルセントロ海軍航空基地において実施されVMX-1第1海兵評価試験飛行隊とHSC-21海軍第23海上戦闘飛行隊が参加しています。2022年3月10日に実施した試験では、この運用にUH-1Y中型ヘリコプターも参加した。
AH-1Z戦闘ヘリコプターはAH-1対戦車ヘリコプターを原型とし、双発化したAH-1Wを更に能力向上したもので、海上戦闘におけるデータリンク能力付与等が行われていますが陸軍のAH-64D/Eのようなミリ波レーダーは搭載せず、代えて高精度の光学情報装置を搭載しています。今回の試験では遠距離目標の標定と目標選定などを無人機と連携している。
MQ-8無人ヘリコプターは今回、後期型として機体規模を大型化させたMQ-8Cが試験に参加しています。2018年の海兵隊近代合計画では無人機の多用という国防総省の指針が盛り込まれており、海軍艦艇からの運用可能な無人機として本機が選ばれています。両用作戦では母艦から作戦空域までの距離が大きく、今回の試験はその貴重な第一歩となりました。
■ユーロコプタータイガー改良
ユーロコプタータイガーは遅ればせながらアパッチロングボウのように進化を始める模様です。
フランスとスペインはユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプター開発を開始しました。これは合弁会社であるOCCARジョイントアーマメントコーポレーションオーガニゼーションがフランス国防省とスペイン国防省との間で開発契約したもので開発に加え既存のユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターをMkⅢへの能力向上改修など含んだもの。
開発計画は2025年までに試作機を初飛行させ2029年にフランスへ、2030年にスペインへの配備を目指すとのこと。機体はフランスが25機を新造により追加すると共にフランス軍に配備されている25機とスペインが運う要する18機の既存機改修を予定しており、またドイツ連邦軍の計画への参加も期待しているという。改修作業はエアバスが担当します。
改良によりリンク16データリンクシステムに接続する他、FlytXアビオニクスシステムやSafran社製Strix次世代光学照準装置にTopowl社製ヘルメットマウントディスプレイを搭載しMAST-F空対地ミサイルやミストラル3空対空ミサイル、70mm誘導ロケット弾といった各種装備を追加するとの事で、これにより更なる長期間、第一線に対応を目指します。
■ユーロコプタータイガーMkⅢ
ユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプターの概要を見てみましょう。
ユーロコプタータイガーMkⅢ、ユーロコプタータイガーは2000年代に新時代の欧州共同開発攻撃ヘリコプターとして開発されていますが、その原点はPAH-1対戦車ヘリコプター等観測ヘリコプターへ対戦車ミサイルを搭載した武装ヘリコプターの後継としてであり、データリンク能力など戦域戦闘システムとして統合化は初歩的な水準となっていました。
デジタル戦場への対応が主眼、ユーロコプタータイガーMkⅢ戦闘ヘリコプターは現在の性能をそのまま維持した上で、データリンク能力を抜本的に強化し、飛行中に無人ヘリコプターからの偵察情報の受信と飛行管制、衛星通信能力や地上基地局及び歩兵の先進型通信機とのデータリンク能力付与等が含まれ、ヘリコプター単体での戦闘を脱却するのが狙い。
改良は更にコックピット部分のワークロード軽減型への改良、先進型光学情報装置のローター基部への追加と統合型ヘルメットマウントディスプレイの採用、より射程の長い対戦車ミサイル搭載能力の付与、空対空戦闘能力の強化などを盛り込むとのことですが、AH-64Eアパッチガーディアンが構想する様な30km以遠を狙う様な水準ではありません。
■ATAK-II海軍型
ATAK-II戦闘ヘリコプターも新しい一歩を。
トルコのTAIトルコ航空宇宙産業はATAK-II戦闘ヘリコプター海軍用の開発を発表した。トルコはイタリアのアグスタウェストランド社よりA-129マングスタ戦闘ヘリコプターのライセンス生産及び技術移転を受けT-129-ATAK戦闘ヘリコプターを開発している、T-129-ATAKは原型のA-129よりも輸出に成功、2021年にはフィリピンも導入している。
ATAK-IIは正式名称をT-929、全備重量を11tと大型化させるとともに従来よりも出力を強化したウクライナ製エンジンを搭載し2023年に初飛行を見込んでいる。もともとA-129はイタリアがAH-64アパッチのような重量級の戦闘ヘリコプターと差別化を図り、AH-1コブラに対抗する軽量さと、マングスタの名の通りコブラを上回る性能を盛り込んだもの。
T-929は、これを大型化させ、より強力な兵装とセンサーの搭載を見込んだもので、当面はトルコ陸軍が10機を導入計画している。一方、トルコ海軍では水陸両用作戦能力強化へ戦闘ヘリコプターの導入を希望しており、このT-929海軍型を導入するか、その配備によりで陸軍では余剰となるAH-1Wスーパーコブラ戦闘ヘリコプターの移管を行う計画である。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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