北欧緊張！ロシア軍デンマーク･スウェーデン領空侵犯とフィンランドNATO加盟交渉へロシアが核で牽制示唆

■臨時情報ｰ北欧･ロシア情勢
　ロシア軍ウクライナ侵攻を受けロシアと国境を接する北欧ではNATO加盟や防衛力強化の施策が進められています。日本もロシアに接する国である為に関心事といえる。

　ロシア軍偵察機がデンマークとスウェーデンの領空を侵犯しました、これは4月29日にデンマークのボーンヘルム島上空を領空侵犯、続いてロシア偵察機はバルト海沿いにスウェーデン領空に入り領空侵犯という事態となりました。デンマーク政府とスウェーデン政府はともに5月1日、ロシア大使を呼び出し厳重に抗議するという事態に発展しています。

　ロシア偵察機の領空侵犯事案は、デンマークがNATO加盟国でありスウェーデンがロシア軍事圧力を受け、伝統的な武装中立政策路線からの転換が真剣に議論されており、特にNATOに加盟しなければ防衛は実現しないとの議論が行われている中、まさにロシア側がスウェーデンへ領空侵犯したかたちで、これではロシア脅威論が否応なく高まるでしょう。

　核兵器を国境に配備する、ロシア政府はスウェーデン政府のNATO加盟論高まりを受け、4月14日、ロシア安全保障会議副議長のメドページェフ前大統領が発言した内容が波紋を呼びました、これはスウェーデンとフィンランドがNATOへ加盟するならば、ロシアはフィンランド国境地域とバルト三国地域の国境地域へ核兵器を配備する事になるとの内容だ。

　バルト海沿岸地域にはロシアの飛び地であるカリーニングラードがあり、ロシア第二の都市サンクトペテルブルクはこの飛び地に所在しています、この為NATOは飛び地を結ぶバルト三国、スヴァルキギャップへロシア軍が軍事侵攻する可能性を憂慮しており、バルト三国のリトアニア、ラトビア、エストニアも既にNATO加盟、防衛を強化しているさなか。

　NATOはフィンランド加盟申請中のロシア軍事圧力に対し支援を表明しました、これは4月28日にNATOのストルテンベルグ事務総長がNATO本部の置かれるベルギーブリュッセルでの記者会見で表明したもの。これは加盟申請中の不測の事態が想定されている為です。NATO加盟は簡単ではありません、こういうのもNATOは深部の軍事同盟であるため。

　NATOは加盟国の集団的自衛権行使を深い部分まで一体化しており、例えばNATO弾に代表されるように各種弾薬の共通化を進めるとともに、戦術単位である大隊などの編成内容を共通化させ統合運用が可能となり、NATOの上級指揮官が他国のNATO加盟国大隊などを指揮できるよう英語を標準化、また、ニュークリアシェアリングなども含んでいるもの。

　NATOに加盟する事は極論すればニュークリアシェアリングに基づき自国が加盟した場合は自国領域内での侵攻部隊に対しての戦術核使用、核戦場化なども容認せねばなりません、これらの為の法規制改革なども必要となる為、NATO加盟国と加盟申請国が合意していた場合でも、加盟申請と加盟協議は長期化し得ます、この間隙に備えるとの意思表明です。

　フィンランドのNATO加盟申請に際してのNATO防衛協力表明について、どういった事態が想定されるのか。一つはサイバー攻撃の懸念があるのですが、もう一つの可能性として、ロシア軍による国境地域での限定侵攻が起こり得ると懸念されています。その背景にはNATO加盟交渉はロシアにとりNATOとの国境が延伸する為、好ましくはありません。

　フィンランドNATO加盟交渉は長期化した際に、ウクライナでの侵攻前に実施した様な軍事演習、演習可能な兵力があればという前提ですが、行われ緊張感を高めフィンランド世論を牽制しようとする懸念がある為です。ただ、ウクライナ侵攻と両立して軍事行動が可能なのかは疑わしく、ウクライナ戦線縮小や核恫喝強化など、不測の事態も懸念されます。

北大路機関：はるな　くらま　ひゅうが　いせ
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